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少女騎士団は今日から僕のハーレムになりました  作者: 真木あーと
第三章 騎士団の結束は魔の眼でも覗けない
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第42話 魅了した、いや、された

「槍剣隊はみんなでエメさまを守るですっ!」


 シェラの号令。

 そう、ハーピーが狙うとしたら、それはこの騎士団で唯一の男性であるエメフィーなのだ。


「! 槍剣隊、止まれっ!」


 だが、マエラは慌てて止める。


「マエラさま!?」

「殿下が特定されてしまう!」


 この騎士団で唯一の男性であるエメフィー。

 だが、エメフィーは十六年間王女として育てられ、これでも一応は女の子として綺麗に見えるよう、気を使ってきた。

 だから、一見で男とは分からないのだ。


 一人ひとりじっくり見れば男だと分かるのだが、上空から矢を避けながら特定することは非常に困難と言えるだろう。

 それを守るという目的で固めると、特定出来てしまう。


「りゃっ!」

「アァァァァァァァァァッ!」


 シェラの動きを察して特定したハーピーが一匹降りて来たところを、シェラが槍を突き立てる。


 残りは三匹。

 だが、今の一連の動きで、エメフィーを特定されてしまった。


 上空の三匹は一旦離れ、そして、エメフィー目がけて急降下してくる。


「アァァァァァァァァァッ!」


 その直線的になった一匹をサイの矢が貫き。


「アァァァァァァァァァッ!」


 降りて来た別の一匹をシェラの槍が貫く

 だが、その後ろに、もう一匹がいた。


 サイの連射もロングボウでは速射とは行かず、シェラも槍を引き抜くのに、時間がかかる。

 双方達人クラスであるため、それにかかる時間は、非常に短いが、それでも三匹目がエメフィーに近づくまでには終わらない。


 目を見合ったら終わりだ、魅了されてしまう。

 だが、エメフィーもただ攻撃されるのを待っているだけではなかった。


「む……ぐっ……!」


 エメフィーはそのハーピーにキスをした。

 もちろん反撃も出来るのだが、一匹くらいは捕らえて情報を引き出した方がいいだろう。


「あ……ああっ……!」


 ハーピーは恋する少女の瞳でエメフィーの胸に甘える。


「ふう……これで終わりかな?」


 エメフィーはその頭を撫でてやりながら、そうつぶやいた。

 敵の数も先程よりも多かったが、より被害もなく、簡単に終わった。


 おそらく少女たちの中には、人型をしたものが貫かれて即死した、という光景を目の当たりにして多少なりともショックを受けた者もいるだろうが、その克服も考えなければならないかもしれない。


「だい、すき……」


 ハーピーが起き上がり、エメフィーを見つめる。

 今となってはただのペットだ、エメフィーは微笑み返してやる。


 見た目は可愛い女の子だ。

 潤んだ瞳で見つめられると、こちらも好きになってしまう。

 可愛い、本当に、可愛い。


 この子に比べたら、マエラやシェラなんて愛らしくも何でもない。

 可愛い、可愛い、可愛い……。

 僕は、この子のためなら、何だって出来──。


「いけない! シェラ、ハーピーを殺して!」


「え? は、はいっ!」


 次の瞬間、ハーピーは槍を逃れ、飛び立つ。


「待って! 行かないで!」


 叫んだのはエメフィー。

 魅了しているはずのエメフィーが、魅了されているのだ。


「戻って来てよ! 何だってするから!」


 ハーピーは上空でにやり、と微笑む。

 だが、それは慢心からくる油断。


「アァァァァァァァァァッ!」


 サイが矢を命中させ、落ちてくる。


「殿下! 大丈夫ですか!?」


 マエラの叫びに近い声。


「あ……れ……? 僕は何をしていたんだっけ?」


 意識が遠くなっていた気がする。

 とても愛しい人がいた気がする。


「殿下、私が分かりますか?」

「分かるかって、マエラを忘れるわけないじゃないか?」



 エメフィーが不思議そうに笑う。


「……良かった」

「ち、ちょっと、マエラ!?」



 エメフィーは抱きついてくるマエラに戸惑う。


 マエラと抱き合うのは初めてではなく、これまでも何度もじゃれ合ってきた仲だ。

 だが、自分が王子だと分かってからは控えているし、自分のこの感情の正体が性欲だと分かったので、心が落ち着くまでは控えようとしていたのだ。

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