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少女騎士団は今日から僕のハーレムになりました  作者: 真木あーと
第一章 気さくな王女は男の子
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第4話 騎士団の日常(団長すらも頭が上がらない少女)

「殿下、何をしていらっしゃるのですか?」


 そんな、王女のご乱心で、もう誰も止められない場面に、冷静な声が届く。


「マ、マエラ……!」


 第一王女、この国で女王と王配に次ぐ地位にあるエメフィーがその声に慌てて手を離す。

 離されたシェラはててて、と逃げて行く。


「いや、これは違うんだよ!」

「何が違うのですか?」

「いや、その……」



 彼女は、この訓練場にいる者達の勇ましい服装からすると、異彩を放つ、だが、宮廷で見かければ至って普通の衣服。


 ゆったりとした、日常的に纏って宮廷に参上するような、フォーマルだが、古臭さはなくデザインされ、そして何より着こなす者のセンスの良さがうかがわれる、鮮やかな美しい衣服に身を包む少女。


 肩までのブラウンの髪は清楚さを、ダークブルーの瞳は知性を主張していた。

 戦いに備える者達とも違う、かと言って、メイドのようなお付きとも違う、知性と気品溢れる雰囲気を持つ少女。


「マ、マエラ、もうそんな時間かな?」

「いえ、まだお時間はありますが、湯浴みをごゆっくりお楽しみいただくなら、そろそろお時間かと」

「そっかあ、じゃあそろそろ──」



「そんなことで私が誤魔化されるとでも?」


「ひっ!」


 その一瞬、周囲の空気が凍るのを感じる。


「私はこの前申したはずですが? 殿下はもうすぐ公人になります。これまでのようなことを続けることは許されない、公人としての──」

「あ、僕、他の隊も見てくるよ! 先行ってて? じゃあ!」

「殿下!」



 エメフィーは、マエラから逃れるため、他の部隊の見回りに向かう。

 マエラは、シェラと同じく、エメフィーの子供の頃から一緒にいた貴族の子女だ。

 名前は、マエラースン・モルディーン。


 モルディーン公爵の次女で、エメフィーより歳上の十七歳だ。

 幼いころから一緒で、同じように育った。


 そのはずなのだが、エメフィーやシェラとは違い、非常に知性的で、政治軍事から、魔法、花や動物の名前まで、あらゆる知識をその手にしている。


 エメフィーも心から彼女を信頼しているので、彼女の進言には必ず従っている。

 最早マエラはエメフィーの教育係的な位置にいると言ってもいい。

 彼女はシェラのような卓越した運動能力はないため、騎士団の知性、参謀として団に組み込まれている。


 また、戦法長(シヴァリーダー)でもある。


 戦法長(シヴァリーダー)、というのは言ってしまえば団のまとめ役の事だ。

 騎士団の団長は基本的に王族しかなれない。

 が、大抵の騎士団では団長という王族は基本的にお飾りだ。


 実質団をまとめているのがこの戦法長(シヴァリーダー)になる。


 この騎士団に限っては、団長であるエメフィーはお飾りではない。

 だが、彼女に権限があることに間違いはない。


 つまるところ、マエラは戦いに参加しないにもかかわらず、エメフィー女騎士団で二番目の権力を誇っている。


 団員をそれぞれ得意な分野別に分けてそれぞれを鍛える、隊別を提案したのも彼女であるし、貴族ではない民衆を選抜し、それぞれの隊に振り分けているのも彼女だ。


 更に言うなら、エメフィー女騎士団、などという組織を創設するにあたって、エメフィーの母である女王に反対されてきたが、マエラの説得によって何とか認められた、という経緯もある。



 マエラがいたからこそ、エメフィー女騎士団が存続し、かつ、総勢六十名を越える大きな騎士団になりえたとも言える。

 シェラのような歳下の愛らしさではなく、歳上で頼もしいため、こちらが甘えたくなる魅力がある。


 シェラともども、側近でいてくれることを嬉しく思う。

 彼女がいなければ、今でもエメフィーは、僕が戦う僕が戦う、と我儘を言っているだけのお転婆王女という立場のままだっただろう。


 もちろん、この団が大きくなり、そして強くなったのは彼女たちだけの功績ではないのだが。

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