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2、二児の母として国譲りまで

 さて、わたしも子供を生むことにしました。まあ、愛しの方のことはここでは伏せます。たいした人ではありませんが、わたしには大切な方です。それで、長男が生まれたので、その水蛇に「火の神」にしました。これなら、強くて、国を繁栄させられそうです。次男が生まれたので、次男は「耳の神」にしておきました。わたしは音楽とかも好きでしたので、耳が聞こえるのが好きだったのです。

 それで、「火の神」の長男はすぐに死んでしまいました。

「おお、なんということだ」

 わたしを祭り上げている人間たちが嘆き悲しみました。それで、やっぱりわたしに国の主神など務まらないと思いましたので、辞退を申しあげますと、男たちは、

「しかたない。次男を大王にしよう」

 といって、「耳の神」を大王にしてしまいました。それ以来、「耳の神」は人であるかのように装って生きているようです。本当は水蛇ですのに。

 男たちが騒いで、出雲の国から主権を奪うことを計画しているそうです。出雲の国は大国主というとても強い神が治めているらしく、わたしはとても心配しました。

 それで、出雲の国へ出かけて行って、大国主と話し合いをしたのですが、大国主は、オオナムチという蛇でした。

「あら、あなたも蛇なのね」

「そうなのです。わたしは蛇です。人間たちに祭りあげられて、この国の神ということにされていますが、実はわたしはただの蛇なのです」

「どうやって出雲の国の神になったんですか」

 とわたしが聞くと、大国主は答えました。

「それが、もともと八岐大蛇という蛇がこの国を治めていたのですが、その蛇を人間のスサノオという英雄神が退治しまして、わたしはスサノオの子孫である蛇だということで、出雲の国の神をやっているんです」

「はあ。蛇だらけなんですね」

「そうです。蛇だらけです」

「わたしはただの水蛇なのに、どうして、出雲の国と大和の国の神となれましょうか」

「いや、任せますよ、出雲の国の神。どうぞ、どうぞ」

 と大国主にすすめられて、断れないまま出雲の国を譲り受けました。


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