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俺のトモダチ事情。  作者: 日向栞
【嘘つき彼女、赤い傷。】
8/19

悩む。

 アレは、やっぱり……。


 家に帰って、飯を食べて、自室に戻ってからも俺はずっと、もやもやとした気分だった。

 どうしても、今日見た実穂アレが気にかかる。おそらく、傷だ。

 普通にどこかの角で擦ってしまったり、切ってしまっただけ、という可能性もある。

 そもそも傷だったのだろうか? 手が滑って赤ペンを引いてしまったとか、赤いゴムとか。

 ……手が滑って手首に線? どういう状況だよ。それに、赤いゴムは拘束で禁止されている。


 なにより“左手首”という場所がよからぬ想像をさせる。

 明日、聞いてみようか? いや、でも……俺はそこまで彼女と仲がよかったのか?


 そもそも……あいつはそういうこと(・・・・・・)をする奴か? 分からない。数ヶ月彼女を見てきた限り、そんな悩みがありそうだったか? 何か苦しそうだったか? いや、それだけで切るとは限らないし……ていうか切ってると断定してたらダメだ。


 悩みだしたらきりがない。

 俺は唸りながらベットの上を転がった、途端壁に頭を強打する。


「い、っ~~~!?」


 声の出ない悲鳴を上げながら、逃げるように転げると、今度はベットから落ちた。

 ……ツいてなさ過ぎだろう。今日。

 ずれた眼鏡を直すと、俺はため息をつきながら机の前に行き、今日取りに行った宿題のノートを開く。

 けれども、どうしても彼女のことが気になってしまい――――結局、手に付かなかった。

 取りに言った意味がないじゃないかよ。そんなことも思ったが、悩みだすと、もうどうしようもなかった。

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