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俺のトモダチ事情。  作者: 日向栞
【日常、春。】
2/19

長い時間×お説教=死ぬ。

「あー、死ぬかと思った」


 それが廊下に出た一樹の第一声だった。

 まぁ、分からないでもない。あの那賀川の説教を聞いたんだ。そりゃ死にそうだ。

 もー長い、長い。


「だよね、私も死ぬかと思った」


 不意に、女の声が聞こえ振り向くと、そこには――――誰もいなかった。

 ………………やばい。幻聴を聞いてしまうほど、末期なのか俺は。疲れてるのか。そんなにダメージ大きかったか? あの説教?


「そうですね、大変でした」


 悩みながらも、声がしたので意識を戻す。

 視線をずらすと、菜乃花がにこやかに下を(・・)見ながら会話を続けている。

 ……やけに、目線が下だな。

 何を見ているのか、気になり、追ってみるとそこには腕を組みながら、不服そうな顔をする女子がいた。


「大体さー、いいじゃんよ? 嬉しいじゃんか。話し短いの、私嬉しい」

「そうですね」

「でしょ? 流石なのちゃんは分かって……うん?」


 流石に俺の視線が気になったのか、不思議そうな顔をして菜乃花と話していた女子が俺を見てきた。

 多分、さっきの声はコイツだったんだろう。

 ……にしても、


「小せぇ」

「あ゛ぁ?」


 俺の声が聞こえてしまったのか、すごい形相で睨みつけられた。

 そして、俺の足を蹴りながら、その女子はぼそぼそと何か言い出した。


「小さいからって舐めんなよ。伸びるんだよ、私は将来」

「いや、中三だから、もう成長期は来ないだろ」

「死ね」


 最後にひときわ大きく足を動かし、綺麗に俺の脛を蹴った彼女は、さっさと席についてしまった。


「いやぁ、相変わらずだな」


 思わず俺が笑いながら言うと、心配そうな顔をした菜乃花が小さく俺を突きながら呟いた。


「お知り合いなんですか」

「うん、友達の友達で、だから今は、俺の友達」

「……そうですか。良かった」

「何が?」

「知らない人のコンプレックスを言うような最低な人になってしまったのかと思いました」

「酷いいわれようだな、それは」


 一息に、しかも目線を合わせず、そういわれ思わず苦笑してしまった。

 もし本当に菜乃花が言ったとおりの人間だったら……一生口を利いてもらえなさそうだな。

 それくらい、横から見えた目は冷たかった。


 あぁちなみに。さっき言ったとおり、俺は彼女を知っている。

 名前は内藤実咲ナイトウ ミサキ、身長は確か150cm。以前の身長測定で175cmだった(ちなみに、まだ成長期だ)俺からすると、すごく小さい。

 お互いに首が痛くなるような身長差だ。


 だから、さっきのように口喧嘩をするのは挨拶代わりのようなものなのだが、俺と彼女の仲を知らない人間から見れば、内心穏やかじゃないのだろう。


 まぁ、気をつけようかな。


 そう思いながら今だ、怒り気味ながらも話し始める那賀川の声を聞きながら、俺は席に着いた。

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