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剣の民と華の少女  作者: ナナヤ
第一章 ティル・ナ・ノーグ編
2/21

第二話 救出

速く大規模なバトル展開を書きたい今日この頃。

とりあえず、ストック分を掲載します。

経験不足で駄文ですが、読んで頂けると幸いです。


 リアとの食事が終わり、宿に着くとレオは部屋の中に人の気配を感じた。

 一瞬ドアを蹴り破り、中の者を組み伏せようかと迷ったが、不法侵入者の素性に見当が付き普通に扉を開けた。


「俺の部屋で何をしているんだ?」


 ベッドに腰をかけている初老の男性にレオは呆れながらも親しげに声をかける。

 実際、男性とレオとは十年来の付き合いがある。


コレ()だよコレ()。お前さんもどうかの」


 筋肉質だが年老いて皺のある手を口の前で上に動かす仕草を見せる。


「はぁ~、遠慮するよ。ロー爺さん」


 ロー爺さんと呼ばれた彼は目を細めてレオを睨む。


「ワシの名はロードスなのだが」

「じゃあ、今度からはロージンって呼ぶ事にするか?」

「それこそ遠慮するわい」


 ロードスは諦めて溜め息を吐いた。

 自分の荷物であるリュックをレオは椅子代わりに座り、歳の離れた旧友と向かい合う。


「で、本題は何だ?」


 その一言だけで部屋の空気が張り詰める。


「仕事の事で……ちょっとのぅ」

「やっぱり何かあるのか?」


 レオはその言葉を予想していたように平然と返事をする。

 何故、レオが予想できていたかというと、今回の仕事が詳細不明な事と街の様子からだった。


「大規模に傭兵を集めているのに物騒な噂一つ聞かない。おまけに、治安は悪いって程ではない。おかしいと考えるには条件が十分に揃っている」


 わざとらしくレオは説明口調で現在自分が解っている事を口にする。

 つい先程、リアが絡まれていたが、あれくらいはどこの街でも起こっており、酷い場合はその場で人拐い位は起こるのだ。


「ワシ独自の調べだと雇われた傭兵の数は千近いらしいぞ」

「傭兵を千……。どこかと戦争でもするつもりなのか?」

「噂では既にヘルガナール砦にも五百の傭兵が集まっているという話じゃよ」


 ヘルガナール砦とは、かつて戦乱の時代に隣国のアルゼス王国が攻め込んだ時にその堅固な守りで相手を退けたというティルナノーグ最強と呼ばれる砦だ。

 レオに言わせれば、戦を知らないアルゼスを退けただけでティルナノーグ最強と呼ぶなんて馬鹿馬鹿しいなという所だ。


「……戦争の噂無いようだし」

「やはり内乱かの?」

「その線が高いな」


 憶測でしかないが、真実味はかなり濃いと二人は考えている。

 レオとロードスは同時に今後の行動を決定した。


「いくら給金がよくても内乱わのぅ」

「俺は降りる。あんまりこういう事に関わると碌な事がおきない」

「お前さんが降りるのならワシも降りるしがないの」


 話がまとまると、ロードスは入り口から帰って行った。

 独りになったレオはベッドにダイブして目を閉じた。

 同時に心地の良い眠気がやってきてレオは意識を手放した。





「レ……」


 ──遠くで俺を呼ぶ声が聞こえる。

 レオは何も無い暗く寂しい所に立っていた。

 そこには果てしない無だけが広がっている。


「レ……きて」


 声は暗闇に反響してどこから聞こえてくるのか解らない。

  ──ココは冷たい。早く『  』の所に行きたい。


「……レオ」


 遠くから綺麗な音で響いてきていたその声が段々とはっきり聞こえてくる。

 ──この声は……たしか、


「も~レオ、起きて!!」


 ガツン

 激しい音と一緒に地面に投げ飛ばされたような痛みが走る。


「──ッ!!」


 痛みで悶絶するレオだったが、意地で声を出さない。

 長年の傭兵生活により鍛えられた、寝込みを襲われた場合の習慣から、レオは自分に攻撃を加えられた時でも声をあげずにジッと息を殺すという事が身に付いている。


「やっと起きたのね。レオ」


 反撃をする為に体勢を整えようとしたレオだったが、つい最近に出逢った少女の声で動きを止める。


「えっ、リアか?」


 居るはずのない人物の姿が眼に入ってくる。

 余談だが、昨日とは違う栗色の服に赤いチェックのスカートが良く似合っている。


「私以外の誰に見えるっていうの? レオは寝坊助さんなのね」

「いや、そういう意味じゃなくて何でココにいるのかって意味で言ってるのだけど」


 その言葉に対してリアは拗ねたような顔をする。

 レオはドギマギしながら昨日も同じような表情をしていた事を思い出していた。

 実際、客観的に見てリアは十人居たら十人が可愛いという程可愛らしい。そんな彼女が拗ねたような顔をするのは勿論破壊力抜群だ。


「私がレオの所に行つてはいけないというの?」

「いや、そうじゃないけど……」

「ならいいのね。それじゃあこれから毎日来ましょうかしら」


 クスクスと笑いながら舞踏会で踊るようにクルッと回り、ベッドから離れる。

 レオは溜め息を吐きながらベッドの横から起き上がる。


「さぁ、朝食にしましょう」


 その提案に頷いてレオはリュックから着替えを取り出す。

「リア、悪いが下で待っててくれないか?」

「わかったわ。なるべく早く来てちょうだいね」


 部屋から出て行ったリアを扉越しに見送り、レオはなるべく時間をかけずに着替えを済ます。

 ちなみにレオが着ているのは通気性が良く動きやすいシャツと黒色の革のジャンバーのような物にジーンズのようなズボンだ。黒い革のジャンバーのような物はレオが昔ちょっとした理由でアルゼス軍と共に共闘した時に恩賞として貰った特別製だ。

 ──あれから一年か、早いな。

 レオが感慨深くアルゼス王国で起きた事を思い出していると外からリアの声が聞こえてきた。


「レオ、速く速く!!」


 嬉しそうな明るい声に苦笑いしながらレオは宿の前を目指した。

 廊下と階段、その二つを合わせただけの距離では時間的に五分もかからなかった筈だった。

 しかし、宿の前に着くとリアがもう何時間も待たされたように不機嫌な表情をしていた。


「レオ、遅いわよ。私が待ってあげてるのだからもっと速く来なさい」

「そんなに時間は経ってはないと思うんだけどな……」

「レオと一緒の時間は一分、一秒でも惜しいもの。だから速くしないとダメなのよ」


 そう言うとリアはレオの手を引いて市場の方向に歩き始めた。

 レオにはその足取りがスキップをしているように見えていた。





「次はアッチに行きましょ!!」


 朝から街の端から端までを見て回っていた為、空はすっかり紅く染まっていた。

 レオは歩き疲れた重い脚を半ば引きずりながらついて行く。


「ちょ、ちょっと待ってくれリア」


 普段から怠惰に過ごしている訳ではないレオが疲れているのは、いつも歩いている山道と違い人混みを抜ける歩き方の力の入れ方法が違うからだった。


「どうしたの、レオ?」

「いや、そろそろ家に帰らないでいいのか?」


 流石に女性より先に疲れたと音を上げるのはプライドが許さず、素朴な疑問を投げかけお茶を濁す。

 すると、リアは不機嫌そうに頬を膨らませる。


「イヤよ。家に居ても作法がどうだとか、言葉遣いがどうのとか言われるのだもの」

「作法とか言葉遣いってやっぱりリアの家は貴族なのか?」


 昨日は隠すような素振りがあったが、今は気にしている様子は無い。

 すっかりその事を忘れているという事があるかもしれない、とレオは考えてもいるが。


「まぁ、そんな所よ。レオになら話しても問題無いし」

「信用されてるのかどうでもよく思われてるのか解らない台詞だな」

「信用してるに決まっているじゃない」


 クスリ、と笑いながらリアは躊躇する事もなく、堂々と言い切った。

 言われてみれば、リアの言動は確かに粗雑かもしれないが、どこか気品があり優雅だった。


「それは良かった。仕事柄、信用される事が少ないからな」


 少し諦めたような顔をしてレオが愚痴をこぼす。


「仕事で人柄を見るのは愚の骨頂よ」

「そう言って貰えると嬉しい」

「ふふ、これくらいでいいのならいくらでも言ってあげるわよ」


 リアの笑顔で心が和んでくるのを感じていたレオだったが、ここである事に気が付く。

 同時に嫌な汗が頬を伝い落ちる。


「少しいいか、リア?」


 落ち着くために一拍だけ置く。


「貴族の娘さんがどこの馬の骨かも分からない傭兵の男と会っていていいのか?」


 普通だったら打ち首も良いところだ。

 リアもその事実に気付き、気まずそうな苦笑いを浮かべる。


「……お父様にバレたらマズいかも」

「だろうな」


 ダラダラ流れ落ちる汗を耐えるレオ。


「だ、大丈夫よ。レオの事誰にも言ってないし、家は脱け出して来たし」


 すかさず、フォローをするリアだったが。


「それは確実に誰かと密会しようとしてるって言ってるようなものだよな?」

「……言われてみたら、そうね」


 それがトドメだった。

 諦めて二人はぎこちなく笑いあい。乾いた笑い声が夕闇に消えていった。

 気を取り直して歩き出した二人だったが、別れの時間がすぐに訪れる。


「あ、教会の鐘」


 ゴーンゴーン

 遠くもなく、近くもないどこかから体に響く鐘の音が聞こえてくる。

 ちなみに教会の鐘は夕食の時間や子供がちゃんと家に帰るようにという理由で午後六時に鳴らされる。


「ごめんレオ。私帰らなきゃいけないの」


 それまで楽しそうだったリアが申し訳無さそうに頭を下げた。


「そうか。ならここでお別れだな」


 レオは寂しそうに笑う。

 勿論、それにはリアが帰るというだけではなく、きちんとした理由がある。


「今日は家にお客様来ていて無理だけど明日また会いましょう」


 リアの言葉を聞いてレオは決意する。

 別れの言葉を口にするのを。


「……悪いけど無理だ。今日の夜この街を離れる」

「え?」


 理解できないというような表情をしてリアは首を傾げる。


「だから明日からは会えない」


 相手が誰であろうとレオは深入りはしない。

 それはレオが自分自身に誓った哀しい制約だ。


「……なんで?」

「今回の仕事には関わらないって決めたんだ」


 少し震えるリアの声が壊れ掛けている心を抉る。

 実際は仕事の事は関係無い。多少反乱に巻き込まれたとしてもレオにはそれをものともしない実力がある。

 しかし、反乱以上にリアの存在が彼にとってこの街に居られない原因になっている。


「でも、この街を離れる理由にはならないじゃない」

「今回の仕事はそれだけ面倒な事なんだ」


 たった一日前に知り合った自分をこんなにも大切に思うリアは優しい娘だとレオは思った。

 だから辛い。自分の勝手な制約で彼女を傷付けるのが、レオには剣で身を貫くように辛い。


「せっかく、仲良くなれたと思ったのに」


 リアの瞳に涙が浮かぶ。


「なら、なんであの時助けたの?」


 助けなければ会うこともなかったのに、と呟く。

 その台詞をレオは黙って受け止める。


「レオのバカ!!」


 そう叫んでリアは走り出す。

 その背中を見つめながらレオはせめて言いたかった言葉を口にする。


「リア、家でおかしな様子があったらすぐに逃げろ」


 貴族なら反乱で狙われるかもしれないと思ったレオの忠告だったが場違いにも程がある言葉だった。





「準備は終わったかの?」

「ああ、すぐに出れる」


 リアと別れたその日の夜、ロードスが宿まで訪れ、レオは支度を整えて街を歩いていた。


「それにしても静かだな」


 辺りは真っ暗になっており、時間も深夜と言って過言は無い時間帯になっていた。

 街の中心部に灯りが見えるが、それは城を警護する兵士達の為にある灯りである。


「……すまない」


 ロードスに聞こえないようにレオは城の方向へ謝罪をする。


「この時間だと門からは出れないからのぅ。水路に向かうぞ」

「水路?」

「水路と言っても数ヶ月前の大雨で出来た自然の水路だがの」


 ロードスによると大雨により川の水が溢れ、都市を守る城壁に人が一人通れる程の穴が出来たらしい。


「水が満ちていた時と違って今は単なる大穴になっとるからちょうど良いじゃろう」

「そこまでどの程度かかる?」

「ここからだと、そうさなぁ十分程かかるじゃろう」

「そこまで兵士に見つからないようにしないとな」


 夜中になると不埒な輩が活動を始める場合が多い。その為にこの時間は兵士達が巡回している事がある。

 無論、見つかれば宿が牢屋になる事は確実だ。

 十分後、ロードスが言った通りに到着する。


「それにしても今日は異様に静かだな」


 普段ならどんな街でも二回か三回は兵士に出会す筈なのだが、レオ達は一度も姿すら見ていない。


「……何か嫌な予感がするな」

「奇遇じゃの。ワシもそうなのじゃよ」


 普通だったら気にし過ぎだと思うところだが、長年傭兵をやってきた二人にはそれが取り越し苦労には思えなかった。

 傭兵という稼業は嫌がおうにも迷信深くさせるのだ。


「こういう時は逃げるのが一番じゃな。先に失礼するぞ」


 そう言い残し、ロードスは水路に入っていく。

 水路は小さく人が一人這って入れる位の大きさだったので、レオはロードスが無事に通り抜けるまでその場で待っいた。

 すると、


「────!!」

「──!!」


 ロードスが出口に到着する前にそう遠くない場所から言い争いのような怒鳴り声が聞こえる。


「マズい、ロー爺さん」


 急いで水路に入ろうとしたレオの視界にある人物が一瞬映り込んだ。

 レオがこのままこの街から無事に出て行くには早急に水路に入って逃げるのが最善だ。

 しかし、


「あんな顔されたら……」


 レオは背負っていた荷物をその場に置き、腰に下げている鞘から歪な刀……紫竜しりゅうを抜く。

 歪と言っても形は刀を模している。違う所と言えば幅が広いのと峰にもう一つ刀を取り付けたような形をしている事だろう。


「すまないが、先に行っててくれ」

「あい、わかった」


 そう一言言い残し、レオはある人物を助ける為に駆け出す。

 話が変わるが、レオが修得している剣術は少しだけ変わっており、その剣術の基礎を静止と動作の速さにしている。

 つまり、静止した状態から一気に最大限の加速をするのがレオの剣術の基礎だ。


「俺も甘いな」


 そう呟くとレオは水路から数十メートル先の門をスピードを落とさずに直角に曲がる。

 曲がった先は一本の路地になっており、奥が行き止まりになっていた。


「へへ、追い詰めたぜ」

「追いかけっこは終わりか?」


 つい最近見たような形で奥の行き止まりの壁に一人の女の子と三人の男が居た。

 三人の男の内二人は傭兵らしく、統一性の無い格好をしている。


「盛るな、傭兵風情が」


 ただ一人だけ白の鎧で身を固めているリーダーと思われる騎士が二人の傭兵の前に出る。

 ──あの格好は確か、ダルタニア騎士団。

 ダルタニア騎士団とはこのティルナノーグで最強と呼ばれる騎士団だ。

 ──普段はダルタニア領に居る筈。

 元々、騎士団とは領地を持っている貴族が自分の領地と国を護る為にある。ダルタニア騎士団も通常ならダルタニア領で警備や訓練をしている筈だ。

 因みにダルタニア領はガリレクスのある国王領の隣に位置する。


「失礼しました。この者達は少々礼儀を理解できないらしくて」


 騎士の男は恭しく頭を目の前の少女に下げる。


「…………」


 しかし、少女は口を結び、相手を睨み付ける。

 気丈に振る舞ってるのだろうが、少女の手恐怖から小刻みに震えていた。


「そろそろ城にお戻り下さい。リアーナ・サ・ティルナノーグ殿下」


 その騎士の言葉にレオは目を見開いて驚いた。

 何故なら追いかけられていた少女はこの国の第二王女だったのだからだ。


「……ふざけないでっ!!」


 王女は敵意のこもった眼で騎士を睨む。

 すると、騎士は肩をすくめ、隣に居た傭兵に行けと顎で命令する。

 ──今だっ。

 レオは一瞬で十メートルの道をゼロにする。

 その動きは予備動作無しで静止の状態からトップスピードになる為、レオが瞬間移動したように周りの人間からは思えただろう。


「はっ!!」


 騎士と傭兵の間をすり抜け、王女に手を出そうとしていた傭兵の腕を刀の峰で叩き折る。

 同時に振った刀の勢いで体を反転させ、そのままスピードを付けて腕の折れた傭兵に回し蹴りをおみまいする。


「リア、大丈夫か?」


 突然の出来事にレオ以外の全員が呆然としていると、レオはリアーナ……リアに優しく声をかける。


「レ、オ?」

「それ以外に見えたなら腕のいい医者を紹介しよう?」


 驚いているリアにレオは軽口で答える。


「なん──」

「ぎゃぁぁあ、腕が腕が俺の腕が!!」


 リアが何かを言う前に腕を折られた傭兵が叫びながらのた打ち回る。

 それを見ていた騎士が鋭い眼でレオを睨み敵意をあらわにする。


「貴様、何者だ?」

「そう聞かれて答える人間が居ると思うのか?」

「……減らず口を」

「褒め言葉として受け取っておくことにする」


 ギリ、と騎士は歯ぎしりをしながら剣を抜く。

 騎士の剣はレオと違い、ティルナノーグで伝統的な両刃の長剣だ。


「行け」


 短く隣の傭兵に命令し、騎士は一歩下がる。


「あんたには怨みは無いが、コレも仕事なんでね」

「こっちはボランティアだ。気にするな」


 傭兵はレオの言葉が終わると、問答無用で上段に刃こぼれのある使い古された剣を振り上げる。

 一連の動作からそれなりの手練れだと推測されるが、レオには動きが単調過ぎて欠伸が出そうになる。

 良く言うと基本に忠実、悪く言うと教本通りの剣術。故に、予想しやすい。


「ぐふぅ」


 剣が振り下ろされる瞬間にレオは脚の全ての筋力を使い傭兵の前に移動する。

 それは余りに速過ぎて瞬間移動と言われても信じられる速さだった。

 同時に左肘で水月……鳩尾みぞおちをえぐる。

 傭兵が倒れ、腹を押さえてうずくまる。

 騎士は悔しそうにレオを睨み、剣を中段に構える。


「そんなナマクラで戦うのか?」

「貴様!! ダルタニア騎士団長に与えられるこの剣をナマクラだと!!」


 レオの小言に激怒した騎士は斜めに剣を振り上げ、飛び込んでくる。

 ──そこだ。

 振り下ろす瞬間にレオは全て筋力を使い跳躍する。

 カチャン


「えっ? いつの間に?」


 リアが驚いて思わず声をあげる。

 納刀し、レオはリアに微笑みかける。


「リア、行こう」

「え!? でも」


 オロオロ、とリアはレオと騎士の間を交互に見比べる。


「大丈夫だ」


 微笑みながらリアの手を握り、落ち着かせる。

 だが、レオの予想とは反対にリアの顔が真っ赤に染まり、心臓が狂ったように拍動する。


「もう勝負はついている」


 台詞と同時に騎士が握っていた剣が中央から二つに折れる。

 折れた、と表現するより斬れたと表現した方が正しい。

 その事は武器を使用不可にするだけではなく、プライドの高い騎士の心も同時に折り再起不能にした。


「……すごい!?」


 驚くリアを引っ張り、ロードスの待つ水路に向かった。






先日あったテストの前日に「明日のテストが終わったら二次元に旅立つんだ」と死亡フラグ建て、見事に爆死しました。

そんな馬鹿のような単なる馬鹿が書いてる小説ですが、これからも暇つぶしで読んで貰えると幸いです。


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