第十話 小休止
お久しぶりです。
遅れてすいません。
今回は日常パートで戦闘はありません、戦闘を期待していた人には申し訳ないです。
「どうも、ハリス・グネルヴァです」
長めの茶色の髪に黒いフレームのメガネかけた鋭い目つきの青年が頭を下げて挨拶をしてきた。
レオは一瞬何をされたのか訳も解らず固まってしまった。
「どうしたのですかレオ?」
レオの様子に隣に立つウィーナは心配そうに声をかける。
レオはどうにか首を動かしてウィーナを見つめる。
「領地を持っている大貴族が傭兵に頭を下げる事があるのに驚いた」
ウィーナはその言葉に頷きながらも苦笑いをする。
「そうですね。このティルナノーグでも平民を見下す貴族は居ますからね」
彼女の言う通り、大多数の貴族は自分より身分が下な平民を良くて馬鹿にし、悪くてゴミのように扱う。
ウィーナや現在この場に居ないリアは貴族と王族の中でもかなりの変わり者だ。
ちなみに、貴族には家を表す苗字があり、平民には名前しか無く、王族には名前と苗字の間に性別と第何子か表す文字が入る。
「私はくだらない貴族意識という物が嫌いなんですよ」
ハリスは冷たい声色で吐き捨てるようにそう言った。
「ハリスは昔からそういう人間なのであまり気にしないで下さい」
「ウィーナとグネルヴァ卿はどういう間柄なんだ?」
「単なる腐れ縁です。後、ハリスでいいですよ」
ウィーナは呆れたような顔でハリスに反論する。
「ヒドい言われようですね。昔は私の後ろを付いてくるだけのハリスだったのに……」
「なっ、何を言っているのか理解出来ません」
「確かあれは九歳の頃」
「その話はやめてください!!」
ハリスに意地悪するウィーナはいつもとは違う少し砕けた様子になっていた。
その事にレオはウィーナの新しい一面を見る事ができ、嬉しくあり意外でもあった。
「ウィーナとハリスは仲がいいんだな」
「「やめてください。ただの幼なじみです」」
「息もぴったりだし」
「「うぐぅ!!」」
もう少しからかいたくなる衝動にかられるレオだったが、これ以上は話が進まないので自重する。
「で、話は?」
シュク砦での防衛戦の後、ウィーナ達国王騎士団とレオ、リアは援軍に来たグネルヴァ騎士団と共にハリスの住まいの館に訪れていた。
移動した理由は攻めるにしても守るにしてもシュク砦よりは行動がしやすいという事だ。
「明後日の昼にガリレクスに向かう事が決まったのでその報告ですよ」
「それだけなら俺が呼び出された理由が分からないんだが?」
レオは防衛戦で負った傷がまだ癒えず、あてがわれた部屋で休息をとっている所をウィーナに連れられてハリスの元に来た。
来る途中ウィーナから理由を聞き出そうとしたが、曖昧な返事が返ってくるだけで要領を得なかった。
「それは私から話します」
「いいのか? さっきは話辛そうにしていたようだけど」
「大丈夫ですよ。理由言いたくなかったのではなく、話す場所に問題があっただけですから」
些細な事でも心配してくれるレオにウィーナは内心嬉しい気持ちが溢れていく。
勿論顔には出さないようしているが、ハリスは長年の付き合いからウィーナの気持ちを察して無言に徹する。
「それでは話に戻ります」
「ああ、頼むよ」
今度はどんな無理難題を頼まれるのか、とレオは身構えた。
「レオには私とリアと数名の騎士と共に隠し通路から城内に潜入してもらいます」
「隠し通路?」
「はい。ガリレクスの教会は知ってますか?」
「ガリレクスの西にあるあの教会か?」
「その教会です。そこにあるハイト像の下に隠し通路の入り口があるのでそこから侵入します」
ウィーナの言っている事は理解出来るレオだったが、一つだけ疑問が思い浮かぶ。
「ガリレクスには城壁がある。それをどうやって抜けるんだ?」
「それについては地下水路を使おうと考えてます」
ウィーナの説明によると、ガリレクスには複雑に絡み合った地下水路が存在していて全容は貴族でも一部の人間しか知らないらしい。
「ウィーナは知っているのか?」
「はい。流石に全てという訳にはいきませんが」
「わかった。他の指揮は二人に任せる」
「レオはゆっくり休んでください」
レオは二人に礼を言って部屋を出て行く。
自分用に用意された部屋の帰り道、レオはグネルヴァ領に来てからほとんど話していないリアの事を考える。
──リアは大丈夫なのか?
人一倍責任感が強く、自分に害なす人間でも国民なら当たり前のように心配し涙を流すリア。
そんな彼女が反逆者を討つという名目でも王都へ攻め込むのに罪悪感が無い事は有り得ないだろうとレオは考えている。
「少しでも話が出来れば、な」
いくら防衛戦で活躍したといっても所詮レオは傭兵だ。一国の王女であるリアに非常事態でもなければおいそれと会える訳がない。
どうしようもない、とため息を吐いてレオは自分の部屋の扉を開いて中に入る。「えっ?」
「あっ」
入った瞬間、レオは驚いて思わず声を出す。
何故なら。
「レ、レレレレレオー!?」
「何をしてるんだ、リア?」
誰も居ないと思っていたレオの部屋にリアが居たからだ。
しかも、ベッドに座ってレオが使用している枕を両腕で抱きしめ、顔を埋めていた。
「にゃ、にゃににょににぇにゃににぇにゅにょ」
「……言葉になってないぞ」
「うにゃー!!」
恥ずかしさのあまりリアが壊れてしまった。
数分後。
「大丈夫かリア?」
「ごめんなさい。ちょっと取り乱したわ」
「ちょっと?」
こんなにも取り乱すリアが珍しくレオの悪戯心に火が灯る。
「うにゃー、って叫んでいたと思うんだけど」
「うぅ……」
「その前にうやむやになったけどリアが何やってたのかも聞いてないし」
「うぅ、レオの意地悪ぅ」
あまりイジメ過ぎると可哀想なのでレオは苦笑いをしながら謝り、リアの隣に腰をかける。
レオは気がつかなかったようだが、レオが隣に座ると一瞬だけリアの頬が赤く染まる。
「傷は大丈夫なの?」
「ああ、大分良くなったよ。後一日あれば完全に治ると思う」
「そう、良かった」
グネルヴァ領に来てからずっと心配していたリアは安堵して胸をなで下ろす。
「ふふ、今気がついたのだけど。レオの口調って最初の頃と結構変わったわよね?」
「まぁ、最初の頃はリアと関わる気がなかったから距離とろうとしてたし」
「えー、ヒドいわレオ。傷ついた私はレオに謝罪を要求します」
「はいはい。ごめんなさい」
謝る理由が無いが、そうしないとリアのわざと拗ねたような表情が直らないと感じたレオは適当に謝る。
しかし、リアはそれを狙っていたようにニヤリと笑って屁理屈を言う。
「誠意が感じられません。なので、買い物に同行を要求します」
「ウィーナの物真似なのか?」
「そうよ。どう、似ていたかしら?」
「上から過ぎる。ウィーナはそんなに高圧的じゃないだろう?」
「そうかしら? 似ていたと思ったのだけど」
レオはため息を吐き、三文芝居に付き合う事を決めてリアの前に跪き右手を彼女の胸の位置まで掲げる。
「リアーナ・サ・ティルナノーグ殿下。このレオンハルト幾百の試練、幾千の道、あなた様と共にどこまでも参ります」
レオが言った台詞はこの国の隣にある神聖ティリア王国で実話を元に作られた有名な舞台のワンシーンだ。
この台詞を言った後、本来なら言われた方が掲げられている手をとるのだが、レオはなかなか手に握られる感触が訪れずどうしたのだろうと顔を上げる。
すると、リアの顔は林檎のように朱く染まっていて恥ずかしさから必死に閉じている口からは言葉になっていない声が時折もれてくる。
「ぅ……ぁう」
「どうしたんだリア?」
訳が分からず、レオは立ち上がりリアの肩に手を置く。
「ひゃっ!!」
肩を触った瞬間、リアは奇声をあげて体を震わした。
「いきなり何するのよレオ!!」
「肩を叩いただけだけど」
「……あんな台詞聞いた後に触られちゃったらドキドキしちゃうじゃない」
「ん? 何か言ったか?」
「な、何でもないわよ。それより早くお買い物に行きましょ」
「ああ、わかった」
リアの言動を不思議に思ったレオだったが、深く追及はせずに頷いた。
「さ、早く早く!!」
腕を引っ張ってくるリアにレオは苦笑いしながらついて行った。
「リアどこに行くんだ?」
「んー、まだ決めてないけど街を見てみたいわ」
「わかった。適当に歩いて目にとまった店に入る事にしようか?」
「そうね。じゃあ、まずあのお店に入りましょう」
リアはこの数日間とは違う年相応の笑顔を見せてレオの腕を引っ張り、斜め前にある店屋に向かう。
ちなみに店屋の名前はフィルリシア、商売と風の女神の名前を変化させて作った一般女性の名前としてはよくある名前だ。
「いらっしゃいませ~」
二人が店に入ると扉に付いていた鈴が鳴り、奥から綺麗な女性が現れた。
「あら? あらあら!!」
女性は二人の姿を見ると嬉しそうに微笑みながら近寄ってくる。
その行動にリアは不思議そうな顔をし、レオは体をこわばらせて警戒をする。
「あなた二日前にこの街に来た騎士様じゃない!?」
「え? 騎士?」
「国王騎士団のウィーナ様の隣に居たでしょ?」
「ああ、そうだけど」
女性の勢いにレオはだじろいて半歩後ろにさがる。
しかし、逃げる事は出来ずに女性は更に詰め寄ってキスができそうなほど近くに顔がくる。
「ちょ、ちょっとレオに何するのよ。あなた」
状況について行けなかったリアだったが、女性の行動が頭にきて二人の間に体を滑らして割り込む。
「あっ、失礼しました。私ったらお客様に何をしてるんでしょうか」
リアの行動で正気に戻った女性はレオから体を離して頭を下げる。
「別に気にしてないから大丈夫だ」
「ありがとうございます」
さっきの勢いには驚いたレオだったが、女性の謝る姿を見て悪い人ではないと感じていた。
二人が話している間、リアが頬を膨らまして怒っていたのは余談だ。
「ところで、さっきのは何か理由があったのか?」
いきなり詰め寄られた理由が解らないレオは女性に質問する。
すると、女性は恥ずかしそうに眼をふせて答える。
「えっと、それは……その。騎士様に一目惚れしてしまい……」
「「は?」」
女性の答えにリアとレオは思わず示し合わせたように声を同時にあげる。
「騎士様。お名前は?」
「えっ、ああ、レオンハルト。あなたの名前は?」
「フィルリシアです!! レオ様、フィルとお呼びください!!」
それから十数分、必死の説得と説明により落ち着きを取り戻したフィルは再び頭を下げて謝った。
「それでレオ様。当店で何をお探しですか?」
「レオ様は確定なのか……」
自分の呼び名に絶望するレオ。
そんなレオをしり目にリア軽くフィルを睨みながら質問をする。
「この店には何が置いてあるのかしら?」 言葉の端々にトゲがあるのはご愛嬌だ。
「当店は小さなアクセサリーから日用品まで幅広く揃えさせて頂いてます。リアさん」
リアを恨めしそうな目で見ながらフィルは店の説明をする。
フィルが恨めしそうに見ている理由はリアが見せつけるようにレオの右腕に自分の左腕を絡ませているからだ。
「どんなアクセサリーがあるんだ?」
この状況に諦めたレオはフィルに店内の商品について案内を求める。
フィルは少し考えるような素振りをしてから口を開く。
「アクセサリーについては主に神々の姿やマークを彫刻した物が多いですよ。レオ様」
「……なるほど。例えばコレは?」
フィルの自分に対する態度の変わり方に呆れつつレオは近くにあった青色の石が付いた指輪を手に取る。
「それは水と旅の女神であるエイル神の姿を模した指輪です」
「綺麗ね。付いている石は蒼水石[そうすいせき]かしら?」
「そうですよ。なかなか高価な宝石なので値は少しお高くなりますけど」
「へ~、いくらなの?」「四万二千エルです」
フィルは見事な営業スマイルをする。
エルはこの大陸の共通通貨で一エルは一円と同等だ。
「ちなみにレオ様が私と付き合ってくださるならタダでいいですよ。レオ様」
「……遠慮させてもらうよ」
「レオ様のいけずぅ」
レオは苦笑しながら答え、店内を散策する。
程なくすると剣を模したような形のネックレスに目がとまった。
「そちらは光と生の神、ハイト神のマークである十字剣を真似て作られた物です。レオ様」
「十字剣?」
「はい。十字剣はハイト神が魔神と戦った時に使われた剣なんですよ。ちなみにハイト神は十字剣を愛人である女神アルトリヤから授かったとされてます」
なるほど、と思いながらレオはネックレスを手にとって観察する。
そうしているとフィルは思い出したように手を叩く。
「そういえば、レオ様の名前にもハイト神の名が付いてますよね」
「あっ、そういえばそうね。ハイトを少し変えてハルトって名前は多いものね」
リアとフィルは新しい発見が嬉しいのかさっきまでの険悪さが嘘のようにハイタッチをする。
そんな二人を見ながらレオは少し恥ずかしい所に気がつかれたなと心の中で毒づいた。
「実際の所はどうなんですかレオ様?」
「レオ、どうなの?」
フィルの素朴だが整った綺麗な顔とリアのあどけなさがあり可愛くも綺麗な顔に詰め寄られ、レオは恥ずかしくなって視線を外しながら答える。
「正解だよ。俺の名前は昔の言葉で獅子を表すレオにハイト神の名から取ったハルトでレオンハルト。意味は光の獅子だったと思う」
「カッコいい名前でレオ様にぴったりですね。なので結婚しましょうレオ様」
「文法がおかしいわよフィル」
フィルの猛烈アタックにリアはため息を吐きながらツッコミを入れる。
レオは自分だけ名前の由来を言わされて不公平だと感じ、二人にも同じ質問をする。
その質問にまず答えたのはフィルだった。
「私の名前は親が商売に成功するように女神フィルスの名前を借りて名付けられたと聞いてます」
予想通りの答えが返ってきてレオは頷き、次にリアを見る。
すると、何故かリアは勝ち誇ったような表情をしていた。
「リアはどんな意味があるんだ?」
リアの表情は気になったが、話が進まないのでスルーする。
「私の名前はね、ハイト神と妻である女神ヘスの二柱がこよなく愛したリアーナの花から名付けられた名前なのよ」
女神ヘスとは闇と死を司る女神でハイト神とは真逆でありながら妻となった神で。リアーナの花とは強い日射し無ければ育たないが、花が咲くのは月の無い深夜という不思議な花だ。
「どう、これで身をわきまえたかしらフィル?」
「まだ負けてないですよ。結局はレオ様が選ぶ事ですから」
フィルの言葉にレオは何か解らないが二人が勝負していたのだと間違った確信をしていた。
その後、フィルと談笑しながらリアとレオは十字剣のネックレスとフィルスを模した小さな置物を買って店を出た。
「これからどうするんだ?」
買ったばかりネックレスを首に下げてレオは隣を歩くリアに聞く。
リアは少し考えた後、少し離れた場所を指差す。
「あそこに行きましょ」
「教会か? でも、何で?」
「来ないなら置いてくわよレオ」
「お供しますよ。リアーナ殿下」
二人は教会の大きな扉を開けて中に入る。
「ちょっと待っててねレオ」
「ああ、わかった。ここに座ってるから終わったら呼んでくれ」
レオは近くにあった長椅子に座り、リアは部屋の奥にある髪の長い美女の像の前まで足を進める。
リアは美女の像の足下まで近づくと跪いて胸の前で自分の両手を握り祈りを捧げる。
そんなリアを見つめているとレオは後ろに気配がある事に気づく。
「誰だ?」
レオは振り返らず、相手に声をかける。
そうすると、後ろから驚くような気配を感じた。
「怪しい者では無いですよ。私はここの神父です」
「神父?」
「信じられないなら創世記のお話でもしましょうか?」
敵意が無い事が分かり、レオは振り返って顔を確認する。
そこには黒い服装で身を包み、まぶたを閉じた長身の男性が居た。
「目の事は気にしないでください。昔戦場で無くしたモノなので」
「わかった」
「ありがとうございます。お暇ならお話でもよろしいですか?」
「リアが帰ってくるまでなら」
神父はレオに礼を言った後、神代の話を始める。
「あなたは最初に生まれた神の名を知っていますか?」
「確かカオスだったか?」
「そうです。全と無を司るカオスが生まれ、次に光と生を司るハイト、闇と死を司るヘスが生まれました」
レオは黙って神父の話に耳を傾ける。
「彼らは初源の世界を創り、その余波で更に四柱の神が生まれました」
ニッコリと微笑みながら神父は部屋の奥にある像を指差す。
「まず、あの像のモデルである空と未来を司るアルトリヤ、地と過去を司るアルス、海と現在を司るシータ、山と記憶を司るロマニオン達です」
「アルトリヤは確か十字剣をハイトに渡した愛人だったか?」
「そうです。アルトリヤは戦場に向かおうとするハイトの姿に不吉なモノを感じて身を守る為に渡したとされています」
先ほど知った知識が正しいのかレオはわからなかったが、神父が肯定した事で正しいと結論付ける。
「話を戻します。アルトリヤ、アルス、シータ、ロマニオンの五柱が初源の世界に空、地、海、山を創りました」
「なるほど」
「世界の創世で再び余波が発生して第三世代の神々が生まれたのです」
「名前は?」
「名は火と愛情を司るアポイム、水と旅路を司るエイル、土と学業を司るノートン、風と商売を司るフィルス、木と農業を司るローリアです」
そう神父が言い終わるのと同時に足音がレオに近付いてくる。
「レオ、終わったわよ」
「ああ、わかった」
リアはレオの隣まで歩くと神父の姿に気がついて頭を下げる。
神父はそれに微笑む事で返事をする。
「レオさん。つまらない話に付き合って頂きありがとうございます」
「いや、こっちこそ貴重な話を聞かせてもらったよ」
「そう言っていただけると幸いです」
「それでは」
リアとレオは頭を少し下げて教会から出て行く。
「あなた方に神のご加護を」
神父の言葉は教会の中に木霊して消えた。
「はぁ~、疲れた」
レオは自分の部屋の前まで帰ってきていた。
ちなみにリアとは玄関で別れて各々の部屋に帰った。
「もう少しすれば夕食か……」
腹の空き具合を確かめながら扉を開ける。
すると、つい最近どこかで見たような光景を目にした。
「レ、レレレレレオ!?」
反応まで同じだった。
レオは呆れながら中に居た人物を見る。
「何やってるんだウィーナ?」
ウィーナは昼間のリアと同じようにベッドに乗ってレオの使っている枕を抱きしめて顔を埋めていた。
「こ、これは……その、あれです」
名前を呼ばれたウィーナは恥ずかしいのか力一杯腕を締めて枕を強く抱く。
同時に力が強すぎて枕の布が少し破れた。
「あれ?」
どういう意味かわからずレオは聞き返す。
「レオの匂いがする枕で発情したんですっ!!」
混乱したウィーナがその後も他人が聞いたら勘違いしそうな台詞を大声で叫び、それを落ち着かせる為にレオは多大な苦労をした。
「私は匂いフェチの変態ですっ!!」
テストが近い……。
なので更新スピードが更に遅くなると思います。
読んで下さっている方には申し訳ない。