第1章:初めての日
こんにちは!
この物語を読んでくださって、本当にありがとうございます。
『キラナ:桜と私たちの日々』は、日本で暮らし始めたインドネシア人の少女・キラナが、桜森中学校で学生生活を始める日々を描いた、日常系の物語です。
この物語には、学校での何気ない出来事や友達との友情、ちょっとしたユーモア、そして少しのミステリーとファンタジーが詰まっています。
物語のほとんどは、普段の生活に近い何気ない日々ですが、物語が進むにつれて、少しずついろいろなことが明らかになっていきます。
この物語を通して、新しい日々を過ごすこと、新しい友達と出会うこと、そして今まで想像したこともなかったような出来事を経験することが、どんなものなのかを描いてみたいと思いました。
キラナとその友達たちが過ごす、桜森での日々を楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは、どうぞお楽しみください。
そして、キラナの日々の中に、あなた自身の小さな物語も見つけてもらえたら嬉しいです。
— マナンザイニ
2019年7月8日(月)- 朝
その朝、桜森中学校の周辺はすでにかなり賑わっていた。
生徒たちは制服姿で校門を通り、何人かは友達同士で話しながら歩いている。一方で、遅刻しそうなのか、急いで校門をくぐっていく生徒もいた。
校門の近くには、学校名が書かれた看板が立っていた。
桜森中学校
その賑わいの中、一人の新入生がスクールバッグを持って立っていた。
キラナ・アウリア・プラメスワリ。
今日は、彼女がこの学校の生徒として過ごす初めての日だった。
通り過ぎる何人かの生徒は、見慣れないキラナをちらちらと見ていた。
少し離れたところでは、友達と一緒に歩いていた黒髪の女子生徒が、ふとキラナに気づいた。
女子生徒:「ん? 転校生かな?」
友達もキラナのほうを見る。
友達:「たぶんそうじゃない? 私も初めて見るよ。」
女子生徒は小さく笑うと、そのまま校舎へ向かって歩いていった。
こうして、キラナの桜森中学校での初めての日が始まった。
そして、先ほどの二人の女子生徒が校舎へ向かったあとも、キラナはしばらく校門の近くに立っていた。
すると、キラナの顔がだんだん赤くなっていく。
キラナ:「もう......さっきの子たち、私のこと見てたよね......?」
少し恥ずかしくなったキラナは、急いで校舎へ向かって歩き始めた。
校舎の中に入ると、キラナは突然立ち止まった。
校舎の中では、ほとんどの生徒が自分の下駄箱の前にいた。外で履いていた靴を脱ぎ、別の靴に履き替えている。
キラナは不思議そうな顔で、みんなの様子を見ていた。
キラナ:「え......? 何してるの?」
一人の男子生徒が靴を脱ぐのを見て、キラナはさらに首をかしげる。
キラナ:「えっ......なんで靴を脱いでるの?」
その男子生徒は外履きを下駄箱に入れ、代わりに別の靴を履いた。
キラナはますます困惑した。
キラナ:「靴を履いてるなら、そのまま学校に入ればいいんじゃないの?」
キラナは、ちょうど靴を履き替え終わった女子生徒のところへ近づいた。
キラナ:「すみません......」
女子生徒が振り向く。
女子生徒:「ん? どうしたの?」
キラナは、生徒たちが履いている靴を指差した。
キラナ:「どうしてみんな、靴を履いてるのに履き替えるんですか?」
女子生徒は少し不思議そうな顔をしてから、しばらくキラナを見る。
女子生徒:「ああ......もしかして、転校生?」
キラナはすぐにうなずいた。
キラナ:「はい。今日からこの学校に通うことになりました。」
女子生徒は小さく笑った。
女子生徒:「あはは、なるほど。それなら分からないよね。」
そして、キラナが履いている靴を指差す。
女子生徒:「日本の学校では、外で履いていた靴から、校内専用の靴に履き替えるのが普通なんだよ。この靴は『上履き』っていうの。」
キラナ:「上履き?」
女子生徒:「うん。上履き。」
キラナは自分の足元を見て、靴をじっと見つめる。
キラナ:「それで......上履きって、何のために履くんですか?」
女子生徒は落ち着いた様子で答えた。
女子生徒:「学校をきれいに保つためだよ。外で履いていた靴には、土とかホコリとか、いろんな汚れがついてるでしょ? だから外履きは下駄箱に入れて、校内では上履きを履くの。」
キラナはしばらく黙っていた。
キラナ:「なるほど......」
ようやく理由を理解した。
キラナ:「つまり、学校の床をきれいに保つためなんですね......」
女子生徒:「そうそう。」
キラナは何度もうなずく。
キラナ:「分かりました......!」
しかし、心の中ではまだ少し面倒だと思っていた。
キラナ(心の中):「でもやっぱり......ちょっと面倒だなぁ。学校に入るたびに靴を履き替えないといけないなんて......」
すると、その女子生徒は時計を見て、そろそろ行かなければならないことに気づいた。
女子生徒:「あっ、そろそろ教室に行かないと。じゃあ、またね!」
女子生徒は廊下へ歩きながら、手を上げる。
女子生徒:「バイバイ!」
キラナは笑顔で手を振り返した。
キラナ:「バイバイ!」
女子生徒が去ったあと、キラナはもう一度周りを見渡した。
キラナ:「よし......次は職員室に行かないと。」
キラナは一階の廊下を歩き始めた。
まだ何もかもが新鮮なので、時々周りを見ながら歩いている。
廊下にはいろいろな教室が並んでいた。閉まっているドアもあれば、中から先生の声や生徒たちの話し声が聞こえてくる教室もあった。
キラナは、それぞれの部屋の前にあるプレートを見ながら歩いていく。
キラナ:「うーん......職員室ってどこだろう?」
そのまま歩き続ける。
キラナ:「職員室を探せばいいって言われたけど......学校、けっこう広いなぁ。」
しばらく歩いたところで、キラナはついに「職員室」と書かれたプレートを見つけた。
職員室
キラナは立ち止まる。
キラナ:「あっ! あった!」
ドアの前に立ち、キラナは小さく息を吸った。
キラナ:「よし......入るだけだ。」
そして、手を上げて――
コンコンコン!
中から先生の声が聞こえた。
先生:「どうぞ、入ってください。」
キラナはその場で一瞬固まった。
キラナ:「......」
先生の言っていることは分かる。
ただ、今まで勉強してきた日本語よりも、話すスピードがずっと速く感じた。
キラナ(心の中):「言ってることは分かるけど......こんなに速く話されると、ちょっと考えないと......」
キラナは小さく息を吸ってから、ゆっくりと職員室のドアを開けた。
キラナ:「失礼します......」
机で仕事をしていた一人の先生が、キラナのほうを振り向いた。
先生:「ああ、今日から来る新しい生徒だね?」
キラナはうなずいた。
キラナ:「はい、先生。」
先生は笑顔を見せた。
先生:「それじゃあ、入っておいで。君がキラナさんだね?」
キラナはもう一度うなずく。
キラナ:「はい。キラナ・アウリア・プラメスワリです。」
先生は席を立ち、キラナのところまで歩いてきた。
先生:「桜森中学校へようこそ、キラナさん。」
キラナは少し頭を下げる。
キラナ:「ありがとうございます、先生。」
先生は優しく笑った。
先生:「私は田中です。この学校の教師の一人だよ。『田中先生』と呼んでくれればいいからね。」
キラナ:「はい、田中先生。」
田中先生は机の上に置いてあった書類を手に取った。
田中先生:「教室に行く前に、いくつか説明しておくことがあるからね。」
キラナは静かに話を聞く。
キラナ:「はい。」
田中先生は書類を開き、少し確認する。
田中先生:「自分のクラスはもう分かってる?」
キラナはゆっくり首を横に振った。
キラナ:「いいえ、まだ分かりません。」
田中先生:「そうか。じゃあ、私が教室まで案内するよ。」
キラナはほっとしたように笑った。
キラナ:「はい!」
田中先生は書類を閉じる。
田中先生:「君のクラスは三階だよ。」
さっきまで落ち着いていたキラナが、少し驚く。
キラナ:「三階?」
田中先生:「そうだよ。」
キラナは職員室のドアを見る。
キラナ(心の中):「初日から階段を上ったり下りたりするのかぁ......」
田中先生は職員室から出ていく。
田中先生:「さあ、キラナさん。行こう。」
キラナ:「はい、先生!」
キラナもすぐに田中先生の後を追って、職員室を出た。
田中先生は一階の廊下を歩き、キラナはその後ろをついていく。
キラナは歩きながら、まだ学校の様子を眺めていた。
時々、壁に貼られている掲示板にも目を向ける。
キラナ(心の中):「この学校、けっこう大きいなぁ......」
やがて二人は階段の前に到着した。
田中先生が二階へ向かって階段を上り始める。
キラナ:「......」
キラナもその後に続いて階段を上る。
二階に着くと、二人は再び廊下を歩いた。
キラナは、自分の教室へ向かって歩いている何人かの生徒を見かけた。
しばらくすると、次の階段が見えてきた。
キラナ:「まだ上るんですか......?」
田中先生が少し振り返る。
田中先生:「うん。君の教室は三階だからね。」
キラナ:「分かりました......。」
キラナは再び田中先生の後について、階段を上っていった。
三階に着くと、さっきよりも少し賑やかな雰囲気になっていた。
授業が始まる前なのか、あちこちから生徒たちの話し声が聞こえてくる。
田中先生は数歩歩いたところで立ち止まり、クラスの一覧が書かれた掲示板の前に立った。
田中先生:「ちょっと待って。まず君のクラスを確認しよう。」
キラナも隣に立って、掲示板を見る。
自分の名前を探し始める。
キラナ:「うーん......」
掲示板に書かれた名前を一つずつ見ていく。
キラナ:「私、何組なんだろう......?」
すると、田中先生が掲示板の一か所を指差した。
田中先生:「あった。これだ。」
キラナはすぐに近づく。
キラナ:「えっ?」
キラナ・アウリア・プラメスワリの名前の横には、
1-2
と書かれていた。
キラナはそれをゆっくり読む。
キラナ:「1年2組......」
田中先生はうなずいた。
田中先生:「そう。今日から君は1年2組の一員だよ。」
キラナは小さく笑った。
キラナ:「よし......」
田中先生は廊下の先を指差す。
田中先生:「じゃあ、行こう。君の教室はあっちだよ。」
キラナは再び田中先生の後について、新しい教室へ向かって歩き始めた。
田中先生とキラナは、三階の廊下をそのまま歩いていった。
教室の外にいた何人かの生徒が、見慣れないキラナをちらちらと見ている。
キラナ自身も、少しずつ緊張してきた。
キラナ(心の中):「どうしよう......もうすぐ新しいクラスメイトに会うんだ......」
やがて田中先生は、一つの教室の前で立ち止まった。
ドアの上には、
1-2
と書かれている。
キラナはその文字を見つめる。
キラナ:「ここが教室ですか?」
田中先生:「そう。1年2組だよ。」
ドアの向こうから、何人かの生徒が話している声が聞こえてくる。
キラナは大きく息を吸った。
キラナ(心の中):「よし、キラナ......落ち着いて。緊張しない、緊張しない......」
田中先生が教室のドアを開ける。
田中先生:「失礼します。」
話をしていた何人かの生徒が、一斉にドアのほうを見る。
田中先生と一緒に、見慣れない女子生徒が立っているのを見て、教室は少しずつ静かになった。
キラナは田中先生の後ろに立ち、少しだけ頭を下げている。
田中先生はクラス全体を見渡した。
田中先生:「みんな、今日は新しい生徒が来ているよ。」
何人かの生徒が、さっそく小声で話し始める。
男子生徒A:「新しい子?」
女子生徒A:「うん、誰だろう?」
田中先生はキラナに前へ出るよう合図する。
田中先生:「じゃあ、自己紹介してくれるかな?」
キラナは教室の前へ歩いていく。
1年2組の生徒たちの前に立つ。
キラナは小さく息を吸った。
キラナ:「みなさん、こんにちは。キラナ・アウリア・プラメスワリです。インドネシアから来ました。」
何人かの生徒が、驚いたような顔をする。
男子生徒B:「インドネシア?」
女子生徒B:「へえ......!」
キラナは少し笑った。
キラナ:「今日からみなさんと一緒に勉強することになりました。よろしくお願いします。」
自己紹介を終えると、キラナは丁寧に頭を下げた。
すると、何人かの生徒が小さく拍手をする。
田中先生も笑顔になる。
田中先生:「よし。キラナさん、空いている席があるから、好きなところに座っていいよ。」
キラナは教室を見渡し、自分の席を探す。
すると、壁際にある一つの空いている席が目に入った。
キラナ:「あっ......あそこ、空いてる。」
キラナはその席を指差す。
田中先生はうなずいた。
田中先生:「じゃあ、そこに座っていいよ。」
キラナ:「はい、先生。」
キラナはその席へ向かって歩いていった。
何人かの生徒は、インドネシアから来た新しい生徒に興味津々で、まだキラナを見ている。
席に着くと、キラナはスクールバッグを丁寧に置いた。
そして椅子に座り、教室を見渡す。
キラナ(心の中):「よし......やっと席に着けた。」
田中先生はもう一度クラス全体を見る。
田中先生:「それじゃあ、みんな。授業が始まるまで、準備をしておいてね。」
そう言って、田中先生は教室を出て職員室へ戻っていった。
生徒たちは再び友達と話し始める。
キラナは自分の席に座ったまま、新しいクラスの様子を眺めていた。
こうして、キラナの1年2組での初めての日が本格的に始まった。
キラナはそのまま席に座り、教室を見回していた。
新しいクラスメイトたちは、友達と話したり、本を読んだり、授業の準備をしたりしている。
キラナ(心の中):「ここが......私の新しいクラスなんだ。」
キラナは少し離れたところに座っている何人かの生徒を見る。
キラナ(心の中):「私もみんなと仲良くなりたいな......でも、誰から話しかけよう?」
キラナが教室の様子を眺めていると、突然、隣から女子生徒の声が聞こえた。
女子生徒:「あの......」
キラナはすぐに振り向く。
そこには、優しそうな笑顔を浮かべた女子生徒が立っていた。
キラナ:「えっ?」
女子生徒は少しだけ頭を下げる。
女子生徒:「キラナさん、だよね?」
キラナはうなずく。
キラナ:「うん、そうだよ。」
女子生徒はさらに笑顔になる。
女子生徒:「私はアイカ。よろしくね!」
キラナは少し驚いたが、すぐに笑顔になった。
キラナ:「私もよろしく、アイカ!」
アイカはキラナの近くにあった椅子を引いて、キラナのほうを向いて座った。
アイカ:「日本の学校に通うの、初めて?」
キラナは小さくうなずく。
キラナ:「うん。最近こっちに引っ越してきたんだ。」
アイカはますます嬉しそうな顔をする。
アイカ:「じゃあ、いっぱい話そうよ!」
キラナは小さく笑った。
キラナ:「うん、いいよ。」
キラナがまだ知らないうちに、新しいクラスで最初に話しかけてくれた女子生徒の名前は、アイカだった。
そして、キラナの近くに座っていたアイカが、突然、教室の反対側で一緒に話している三人の男子生徒に目を向けた。
アイカは手を上げる。
アイカ:「ねえ! 三人とも! ちょっとこっち来て!」
三人の男子生徒は話すのをやめ、アイカのほうを振り向いた。
男子生徒1:「ん? アイカ、俺たち呼んだ?」
アイカ:「そう! こっち来て!」
三人はアイカとキラナのところまで歩いてきた。
キラナは三人を一人ずつ見る。
そのうちの一人は眼鏡をかけていた。
なぜかキラナは、その眼鏡をかけた男子がとても頭が良さそうだという気がした。
キラナ(心の中):「眼鏡の人......なんか、すごく頭良さそう。」
三人が到着すると、アイカはすぐにキラナを指差した。
アイカ:「そうそう、みんなにキラナを紹介したかったの! この子、今日から私たちのクラスに来た新しい子だよ!」
キラナは突然三人まとめて紹介されて、驚いた。
キラナ:「えっ!?」
キラナは慌てて笑顔を作り、三人に挨拶する。
キラナ:「こんにちは!」
三人はほぼ同時に答えた。
三人:「こんにちは!」
キラナは興味津々な様子で三人を見る。
キラナ:「よかったら、みんなの名前を教えてくれる?」
アイカはすぐに三人の紹介を始めた。
まず、少し髪が乱れている男子を指差す。
アイカ:「こっちは坂本ハルト。」
ハルトは軽く手を上げる。
ハルト:「よろしく、キラナ。」
続いて、眼鏡をかけている男子を指差す。
アイカ:「こっちは高橋レン。」
レンは眼鏡を直してから、小さく笑った。
レン:「よろしく。」
キラナは再びレンを見る。
キラナ(心の中):「やっぱり......頭良さそう。」
最後に、アイカは三人目の男子を指差した。
アイカ:「そして最後が藤森カイト。」
カイトは笑顔を見せる。
カイト:「よろしく、キラナ。」
キラナも三人に笑顔を返す。
キラナ:「みんなもよろしくね!」
アイカは満足そうに笑った。
アイカ:「よし! これでみんな仲間だね!」
キラナは少しずつ安心してきた。
日本に来てまだ間もないのに、短い時間で何人もの新しい友達と知り合うことができたのだった。
五人はそのまま話を続けていた。
キラナは、アイカ、ハルト、レン、カイトが思っていたよりもずっと話しやすいことに気づき、だんだん緊張がほぐれていった。
五人の会話は思った以上に長く続いた。
そして、気づかないうちに――
キーンコーンカーンコーン!
始業のチャイムが鳴った。
すると、教室の雰囲気が一気に変わった。
さっきまで立って話していた生徒たちは、すぐにそれぞれの席へ戻っていく。
アイカ:「あっ! チャイム鳴った!」
ハルト:「えー、せっかく盛り上がってたのに。」
カイト:「またあとで話そうぜ。」
レンはただうなずき、自分の席へ戻っていった。
キラナも急いで自分の席に戻る。
しかし、数秒後。
キラナは、まだその場を離れていないアイカに気づいた。
キラナ:「えっ!?」
よく見ると、アイカはキラナの隣の席に座っていた。
キラナは驚いた顔でアイカを見る。
キラナ:「アイカ?」
アイカ:「ん?」
キラナ:「アイカの席って、私の隣なの?」
アイカは少し不思議そうな顔をする。
アイカ:「うん。そうだけど......どうして?」
キラナはアイカの机を指差す。
キラナ:「さっきは、私と話すためにここに座ってただけなのかと思ってた。」
アイカは小さく笑った。
アイカ:「あはは、違うよ。ここが私の席なの。」
キラナはようやく理解した。
キラナ:「ああ......そういうことか。じゃあ、私たち隣の席なんだ?」
アイカ:「うん! これからずっと隣だよ。」
キラナは嬉しそうに笑った。
キラナ:「わあ、すごい偶然!」
アイカも笑顔になる。
アイカ:「そうだよね!」
そのとき、教室の入り口から先生の足音が聞こえてきた。
アイカはすぐに前を向く。
アイカ:「あっ、先生来た。」
キラナも前を向き、1年2組での初めての授業に備えた。
やがて、教室のドアが開いた。
一人の先生が何冊かの教科書とファイルを持って入ってくる。
まだ話していた生徒たちは、すぐに席に着いて姿勢を正した。
アイカ:「おはようございます、田中先生。」
ほかの生徒たちも続けて挨拶する。
生徒たち:「おはようございます、田中先生。」
田中先生は教卓に本を置いた。
田中先生:「おはよう、みんな。授業を始める準備はできてるかな?」
生徒たち:「はい!」
キラナも少し緊張しながら答える。
キラナ:「はい......!」
田中先生は出席簿を手に取った。
田中先生:「授業を始める前に、出席を確認するよ。」
そして、一人ずつ名前を呼び始める。
田中先生:「中村アイカ。」
アイカ:「はい!」
田中先生:「坂本ハルト。」
ハルト:「はい。」
田中先生:「高橋レン。」
レン:「はい。」
田中先生:「藤森カイト。」
カイト:「はい。」
田中先生は次の名前を確認する。
田中先生:「キラナ・アウリア・プラメスワリ。」
机を見ながら先生の話を聞いていたキラナは、突然名前を呼ばれて少しびっくりした。
キラナ:「えっ? あっ! はい!」
近くの生徒たちが、キラナの反応を見て小さく笑う。
アイカも口元を手で隠しながら笑いをこらえている。
アイカ:「ふふっ......」
キラナは少し恥ずかしそうにアイカを見る。
キラナ:「もう、笑わないでよ......」
アイカ:「ごめん、ごめん。」
田中先生は小さく笑いながら、出席簿にチェックを入れた。
田中先生:「よし。今日は全員いるね。」
そして、黒板に何かを書き始める。
キラナはその文字をじっと見つめた。
こうして、キラナの1年2組での初めての授業が始まった。
田中先生は黒板に今日の教科を書いた。
国語
キラナはその文字を見る。
キラナ(心の中):「あっ......一時間目は国語なんだ。」
隣に座っているアイカが、小さな声で話しかける。
アイカ:「そういえば、まだ知らなかったよね。田中先生って国語の先生なんだよ。」
キラナはアイカのほうを見る。
キラナ:「えっ、本当?」
アイカ:「うん。」
キラナは、授業の準備をしている田中先生を見る。
キラナ:「へえ......すごい偶然。」
田中先生は黒板の前に立ち、チョークを置いてクラス全体を見る。
田中先生:「よし、みんな。じゃあ、国語の授業を始めよう。」
生徒たちはそれぞれ教科書を開く。
キラナもバッグの中から教科書を取り出して、ページを開いた。
田中先生はキラナのほうを見る。
田中先生:「キラナさん、今日が初めてだから、分からないところがあったら遠慮せずに聞いてね。」
キラナはうなずいた。
キラナ:「はい、田中先生。」
田中先生:「うん。それじゃあ、始めよう。」
キラナは黒板に集中する。
キラナ(心の中):「ちゃんと授業についていけるかな......」
こうして、桜森中学校の生徒としてのキラナの最初の授業が始まった。
――数十分後。
一時間目の国語の授業が終わった。
田中先生は教科書を閉じ、教室の時計を見る。
田中先生:「よし、今日はここまで。」
生徒たちは教科書を閉じ、筆記用具を片付け始める。
田中先生:「じゃあ、次の授業でまた会おう。」
生徒たち:「ありがとうございました、田中先生!」
田中先生はそのまま教室を出ていった。
キラナは小さく息を吐きながら、椅子にもたれかかった。
キラナ:「はあ......やっと終わった。」
アイカがキラナのほうを見る。
アイカ:「どうだった? 授業、ついていけた?」
キラナ:「まあまあかな。でも、先生が速く話すと、まだちょっとついていけなくなる......」
アイカ:「ふふっ、そのうち慣れるよ。」
キラナはうなずいた。
すると、しばらくして授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。
キーンコーンカーンコーン!
生徒たちは次の授業の教科書を取り出し始める。
キラナは渡された時間割を取り出して確認する。
キラナ:「えーっと......次は何の授業?」
アイカがキラナの時間割をちらっと見る。
アイカ:「二時間目は......」
そして、アイカは笑顔で答えた。
アイカ:「数学だよ。」
キラナはアイカを見つめる。
キラナ:「数学!?」
アイカ:「うん。」
キラナはゆっくりとバッグの中から数学の教科書を取り出した。
キラナ:「よし......あんまり難しくないといいな。」
そして、まもなく二時間目の担当の先生が教室へ入ってきた。
1年2組の教室のドアが開いた。
一人の女性教師が何冊かの本とファイルを持って入ってくる。
先生は教卓まで歩いていき、持っていたものを机の上に置いた。
さっきまで話していた生徒たちは、すぐに席に戻って姿勢を正す。
アイカ:「あっ、あの先生が数学の先生だよ。」
キラナはその先生のほうを見る。
キラナ:「あっ......。」
先生は教室の前に立ち、笑顔でクラス全体を見渡した。
先生:「おはよう、みんな。」
生徒たち:「おはようございます、瑞野先生!」
瑞野先生は出席簿を手に取った。
キラナは静かに瑞野先生の様子を見ている。
瑞野先生:「授業を始める前に......このクラスには新しい生徒が一人いるね。」
何人かの生徒が、すぐにキラナのほうを見る。
キラナは少し戸惑いながら、自分を指差す。
キラナ:「私......?」
アイカが隣から小声で言う。
アイカ:「うん、キラナのこと。」
瑞野先生は笑顔でキラナを見る。
瑞野先生:「キラナさん、だよね?」
キラナ:「はい、瑞野先生。」
瑞野先生:「1年2組へようこそ。私たちと一緒に、数学の授業を楽しんでくれると嬉しいな。」
キラナは笑顔になる。
キラナ:「ありがとうございます、先生。」
瑞野先生は黒板に「数学」と書く。
瑞野先生:「それじゃあ、みんな。数学の教科書を開いて。」
教室中から、教科書を開く音が聞こえ始める。
キラナも数学の教科書を開いた。
キラナ(心の中):「よし......二時間目。日本の数学ってどんな感じなんだろう?」
瑞野先生は黒板を使いながら、今日の内容を説明し始めた。
キラナも先生の話をよく聞きながら、授業についていこうとする。
――数十分後。
瑞野先生が説明を終え、生徒たちがいくつかの問題を解き終えると、再び授業終了のチャイムが鳴った。
キーンコーンカーンコーン!
瑞野先生は教科書を閉じる。
瑞野先生:「よし、今日はここまで。さっきやった練習問題、忘れずにやっておいてね。」
生徒たち:「はい!」
瑞野先生はそのまま教室を出ていった。
キラナは椅子にもたれかかり、少し休む。
キラナ:「はあ......やっと終わった。」
アイカが小さく笑う。
アイカ:「キラナ、ちょっと疲れてるね。」
キラナ:「ちょっとね。まだ新しい学校に慣れないといけないから。」
アイカ:「大丈夫だよ。そのうち慣れるって。」
キラナは笑顔でうなずいた。
そして、バッグの中から時間割を取り出して確認する。
キラナ:「次は三時間目......。」
アイカもキラナの時間割を見る。
アイカ:「あっ、次は理科だよ。」
キラナ:「理科?」
アイカ:「うん、理科の授業。」
キラナはすぐに理科の教科書を取り出した。
キラナ:「よし! 私、理科好き!」
何人かの生徒も次の授業の教科書や筆記用具を準備し始める。
しばらくすると、教室のドアが開いた。
一人の男性教師が教科書を持って入ってくる。
先生は教卓まで歩き、本を机の上に置いてから、クラス全体のほうを向いた。
先生:「おはよう、みんな。」
生徒たち:「おはようございます、小林先生!」
小林先生は笑顔になる。
キラナは小林先生を見ながら、わくわくした様子で授業の準備をする。
キラナ(心の中):「よし! 三時間目は理科だ!」
小林先生は黒板に今日の授業のタイトルを書き始めた。
小林先生:「それじゃあ、みんな。理科の教科書を開いて。」
キラナも教科書を開き、桜森中学校での三時間目の授業に備えた。
数分後、理科の授業が終わると、再びチャイムが鳴った。
キーンコーンカーンコーン!
小林先生は教科書を閉じた。
小林先生:「はい、みんな。今日の理科はここまで。」
生徒たち:「ありがとうございました、小林先生!」
小林先生はそのまま教室を出ていった。
キラナは理科の教科書をカバンにしまった。
キラナ:「はぁ......これで三時間終わったぁ。」
アイカがキラナのほうを見る。
アイカ:「まだ大丈夫?」
キラナ:「まだまだ大丈夫だよ!」
キラナは次の授業を確認するため、時間割を取り出した。
キラナ:「次は四時間目......」
アイカがすぐに答える。
アイカ:「英語だよ。」
キラナ:「あ、英語か。」
キラナはカバンから英語の教科書を取り出し、机の上に置いた。
すると、ほどなくして教室のドアがまた開いた。
一人の女性教師が教科書と何枚かのプリントを持って入ってきた。先生は教卓まで歩いていき、持ってきたものを置くと、教室の前に立った。
先生:「みんな、おはよう。」
生徒たち:「おはようございます、藤田先生!」
藤田先生は笑顔を見せた。
キラナは藤田先生を見る。
キラナ(心の中):「英語か......これなら私、けっこう分かるかも。」
藤田先生は黒板に「English」と書いた。
藤田先生:「じゃあ、みんな。英語の教科書を開いて。」
生徒たちはそれぞれ教科書を開いた。
アイカも教科書を開き、キラナに小声で話しかける。
アイカ:「頑張ってね!」
キラナは笑顔になる。
キラナ:「うん、頑張ろう!」
藤田先生は授業を始め、四時間目が始まった。
数分後、休み時間のチャイムが鳴った。
藤田先生は教科書を閉じ、教室の前に立った。
藤田先生:「はい、今日はここまで。みんな、休んでいいよ。」
生徒たちはすぐにくつろぎ始めた。何人かは席を立ち、友達と話し始める。
アイカは笑顔でキラナのほうを向いた。
アイカ:「やっと休み時間だね! どうだった、キラナ? 英語の授業、ついていけた?」
キラナは、だんだん賑やかになっていく教室を見渡した。
アイカはキラナの隣に座ったまま、返事を待っている。周りでは生徒たちが話し始めたり、教室の外へ出ていったりして、教室はどんどん賑やかになっていった。
キラナはアイカの質問に答えた。
キラナ:「うん、なんとか。けっこう簡単だったよ。まだよく分からない単語もあったけど。」
アイカは何度もうなずく。
アイカ:「そっか! それならよかった。分からないところがあったら、いつでも私に聞いてね。」
キラナは小さく笑う。
キラナ:「ありがとう、アイカ。」
すると、少し離れたところに座っていたハルト、レン、カイトもこちらに近づいてきた。
ハルト:「何の話してるの?」
アイカ:「キラナに英語の授業どうだったか聞いてたの。」
カイト:「へぇ。どうだった、キラナ? ここの学校、初日で疲れてない?」
キラナは少し黙ってから、授業中よりずっとリラックスした教室を見渡した。
そして笑顔でカイトの質問に答えた。
キラナ:「ちょっと疲れたけど、今のところ楽しいよ。みんなも優しいし。」
アイカはすぐに笑顔になった。
アイカ:「よかったぁ! じゃあ、もう寂しくないでしょ?」
キラナ:「うん。それに、もう友達もできたし。」
アイカは嬉しそうな顔をする。
アイカ:「じゃあ、今日から私たち親友ね!」
ハルトがすぐに口を挟む。
ハルト:「え、もう親友?」
アイカ:「なに? ダメなの?」
ハルト:「そういうわけじゃないって! ちょっとびっくりしただけ。」
カイトが小さく笑う。
カイト:「ははは。アイカって、人と仲良くなるの早いからな。」
それまで黙って教科書を整理していたレンも、ようやく口を開いた。
レン:「でも、いいんじゃない? キラナもだいぶ馴染んできたみたいだし。」
キラナはレンのほうを向く。
キラナ:「えへへ、うん。」
教室には再び穏やかな会話が広がった。
キラナは、桜森中学校での初日は思っていたほど大変じゃないかもしれない、と思い始めていた。
すると、アイカが教室の時計を見る。休み時間が始まったばかりなのを見て、突然あることを思いついた。
アイカ:「ねえ、みんなで一緒にお昼食べない?」
ハルトがすぐに振り向く。
ハルト:「一緒に?」
アイカ:「うん! 五人で食べようよ。」
カイトは笑顔でうなずく。
カイト:「いいね。俺もちょうど腹減ってた。」
レンは本を閉じて席から立ち上がる。
レン:「俺もいいよ。」
アイカはキラナのほうを見る。
アイカ:「キラナも一緒に食べる?」
キラナは三人を見て、笑顔になる。
そしてうなずいた。
キラナ:「うん。私も一緒に食べる!」
アイカは嬉しそうな顔をする。
アイカ:「よし! じゃあ、食べよう!」
ハルトは立ち上がり、荷物を取りに行く。
ハルト:「どこで食べる?」
アイカは少し考える。
アイカ:「うーん......教室でいいんじゃない? ここ、まだ空いてるところもあるし。」
カイトは人が少なくなってきた教室を見渡す。
カイト:「賛成。そのほうが楽だし。」
レンもうなずく。
レン:「じゃあ、そうしよう。」
アイカは再びキラナを見る。
アイカ:「キラナ、お弁当持ってきた?」
キラナはカバンからお弁当を取り出し始める。
そしてお弁当を机の上に置いた。
キラナ:「うん、持ってきたよ。」
アイカも自分のお弁当を取り出す。
アイカ:「私も!」
ハルトとカイトも自分の席に戻り、お弁当を取りに行く。
ハルト:「俺も持ってきた。今朝、用意してもらったんだ。」
カイト:「俺も。」
レンはカバンを開けて、お弁当箱を取り出す。
レン:「俺も持ってきたよ。」
アイカはみんながお弁当を準備しているのを見て、笑顔になる。
アイカ:「よーし! じゃあ、みんなで食べよう!」
五人はそれぞれ席に座り、お弁当箱を開け始めた。
教室はすっかり穏やかな雰囲気になり、休み時間を楽しみながら、小さな会話が続いていた。
五人は食事を続けながら、のんびりと話していた。
時々、誰かが冗談を言うたびに、小さな笑い声が教室に響いた。
ハルト:「ねえ、キラナ。ここの学校に部活がいっぱいあるって、もう知ってる?」
キラナ:「まだ知らないよ。学校のことも、まだ少ししか分からないし。」
アイカ:「もしよかったら、あとでこの学校の部活を教えてあげるよ!」
カイト:「アイカ、絶対そのままキラナを部活に誘うだろ。」
アイカ:「えへへ、いいじゃん!」
レンは三人がふざけ合っているのを見ながら、ただ微笑んでいた。
そうしているうちに、休み時間はあっという間に過ぎていった。
キーンコーンカーンコーン!
突然、学校中に授業開始のチャイムが鳴り響いた。
話をしていたアイカは、すぐに黙る。
アイカ:「えっ!? もう始まるの!?」
ハルトは時計を見る。
ハルト:「マジで? 早すぎない!?」
カイトはすぐにお弁当を片付け始める。
カイト:「ほら、早く片付けよう。もうすぐ先生来るぞ。」
レンもお弁当箱をカバンにしまう。
レン:「そうだね。授業が始まっても食べてるわけにはいかないし。」
キラナもお弁当を片付け、アイカと一緒に自分の席に戻って姿勢を整えた。
さっきまで賑やかだった教室は、少しずつ静かになっていった。次の授業が始まろうとしていた。
そして、生徒たちはそれぞれ自分の席に戻った。
先ほどまで賑やかだった教室も、徐々に静かになっていく。
キラナはカバンから時間割を取り出した。
今日の時間割を確認し、次の授業を探す。
キラナ:「えーっと......次は社会か。」
隣に座っているアイカがすぐに振り向く。
アイカ:「うん、そうだよ。英語の次は社会。」
キラナはうなずきながら、時間割をカバンにしまう。
キラナ:「そっか。」
二人の会話を聞いていたハルトも、自分の席から口を挟む。
ハルト:「あんまり難しくないといいな。」
カイト:「ははは、始まる前から弱音吐いてるじゃん。」
レンは小さく笑いながら、机の上に社会の教科書を準備していた。
やがて教室は再び静かになった。
生徒たちは社会の先生が来るのを待ちながら、授業の準備を整えていた。
しばらくすると、廊下から足音が聞こえてきた。
そして、1年2組の教室のドアが開き、一人の教師が社会の教科書を持って入ってきた。
さっきまで話していた生徒たちも、すぐに前を向く。
先生は教卓まで歩いていき、教科書を置いてから教室の前に立った。
先生:「みんな、こんにちは。」
生徒たち:「こんにちは、中村先生!」
中村先生は笑顔で教室全体を見渡した。
アイカがキラナに小声で話しかける。
アイカ:「中村先生、けっこう優しい先生だよ。」
キラナはうなずきながら、先生のほうを見る。
中村先生:「それじゃあ、社会の教科書を開いて。授業を始めよう。」
数分後、再び授業のチャイムが鳴った。
中村先生は説明を止め、手に持っていた社会の教科書を閉じた。
中村先生:「はい、今日はここまで。今日やったところは、あとでちゃんと復習しておいてね。」
生徒たちは社会の教科書を閉じ、カバンにしまい始める。
アイカ:「ふぅ......やっと終わった。」
キラナも机の上の教科書を片付ける。
キラナ:「思ったより授業が多いんだね。」
ハルトはそれを聞いて、すぐに口を挟む。
ハルト:「だから、ちゃんと覚えておかないとダメだぞ。」
カイト:「お前も忘れるなよ。」
ハルトは少し黙る。
ハルト:「......あ、そうだった。」
アイカとキラナは思わず小さく笑った。
中村先生は教科書を持って教室を出ていった。
生徒たちは次の授業の準備を始める。
中村先生が教室を出たあと、キラナは再びカバンから時間割を取り出した。
今日の授業を上から順番に確認していく。
そして、最後の授業のところで目が止まった。
キラナ:「あ......社会の次は道徳なんだ。」
隣のアイカも時間割を見る。
アイカ:「うん、そうだよ。それが今日最後の授業。」
キラナはうなずく。
キラナ:「じゃあ、そのあと帰れるんだ?」
アイカ:「うん! あと一時間だけ!」
後ろからハルトが会話に入ってくる。
ハルト:「やっと最後の授業だ!」
カイト:「お前、さっきからずっと帰ることばっかり考えてるじゃん。」
ハルト:「だって、もう夕方になるし。」
レンは小さく笑いながら、次の授業の教科書を準備する。
レン:「まあ、あと一時間だから。」
キラナは時間割をカバンにしまい、今日最後の授業を受ける準備をした。
しばらくすると、廊下から足音が聞こえてきた。
1年2組の教室のドアが開き、一人の教師が何枚かのプリントを持って入ってきた。
まだ話していた生徒たちは、すぐに前を向く。
先生は教卓まで歩いていき、プリントを置いてから教室の前に立った。
先生:「はい、みんな。こんにちは。」
生徒たち:「こんにちは、鈴木先生!」
鈴木先生は笑顔で教室全体を見渡した。
アイカがキラナに小声で話しかける。
アイカ:「そうだ、鈴木先生だよ。この先生が道徳を教えてるの。」
キラナはうなずく。
キラナ:「そっか。」
鈴木先生は持ってきた教科書を開いた。
鈴木先生:「それじゃあ、道徳の教科書を開いて。今日最後の授業を始めよう。」
生徒たちはそれぞれ教科書を取り出し、授業の準備を始めた。
キラナも教科書を開き、放課後まであと少しとなった最後の授業に集中した。
そして数分後、道徳の授業が進んでいると、ついに学校中にチャイムが鳴り響いた。
キーンコーンカーンコーン!
今日の授業がすべて終わったことを知らせるチャイムだった。
生徒たちはすぐに教科書を閉じ、机の上を片付け始める。
鈴木先生:「はい、今日の授業はここまで。これから掃除の時間です。終わったら帰っていいですよ。」
生徒たち:「はい、先生!」
鈴木先生はそのまま教室を出ていった。
キラナは道徳の教科書をカバンにしまい、教室の外の様子を見る。
廊下からは、ほかのクラスの生徒たちが掃除を始める声が聞こえてきた。
別の階でも、1年生、2年生、3年生の生徒たちが、それぞれ担当する場所の掃除を始めていた。
キラナは、ほうきや掃除道具を持って廊下を通っていく他のクラスの生徒たちを見る。
キラナ:「へぇ......全校生徒で掃除するんだ。」
アイカはうなずく。
アイカ:「うん。全部のクラスで掃除するんだよ。1年生も2年生も3年生もね。」
ハルトはほうきを手に取る。
ハルト:「だから学校がきれいなんだよ。みんなで掃除するから。」
カイトは別の掃除道具を手に取る。
カイト:「教室だけじゃないぞ。廊下とか、ほかの場所を掃除する人もいるんだ。」
レンもうなずく。
レン:「担当する場所が決まってるから、それぞれ自分の仕事をするんだよ。」
キラナは笑顔になる。
キラナ:「へぇ、なるほど。」
アイカはほうきを手に取り、キラナを見る。
アイカ:「ほら、キラナ。私たちも始めよう!」
キラナ:「うん!」
五人は1年2組のほかの生徒たちと一緒に、掃除を始めた。
教室の床を掃いたり、黒板をきれいにしたり、机や椅子を整えたり、それぞれ担当する場所を掃除していく。
その一方で、学校中では1年生、2年生、3年生の生徒たちも、それぞれの担当場所を掃除していた。
ハルトは教室の後ろを掃きながら言う。
ハルト:「みんなでやると、やっぱり早く終わるな。」
カイトは机を整えながら答える。
カイト:「うん。清掃員さんだけに任せるんじゃなくて、俺たちも手伝ってるからな。」
レンは黒板を掃除しながら話す。
レン:「それに、自分たちが毎日使う場所をきれいにすることも大事だからね。」
アイカは笑顔で答える。
アイカ:「そうだね!」
キラナも掃除を手伝いながら、クラスメイトたちの様子を見ていた。
キラナ:「こういうの、面白いね。前の学校では、こんな掃除の時間なかったよ。」
しばらくして、1年2組の掃除がついに終わった。
教室はすっかりきれいになり、机や椅子もきれいに整っていた。
ハルト:「よし、終わった!」
カイト:「やっと終わったな。」
レンは教室を見渡す。
レン:「うん、きれいになったね。」
アイカはカバンを手に取る。
アイカ:「じゃあ、今度こそ帰れるね!」
キラナも笑顔でカバンを手に取る。
キラナ:「えへへ、やっとだね。」
五人は1年2組を出る準備をし始めた。
その一方で、ほかのクラスの生徒たちも、それぞれの掃除を終え始めていた。
掃除が終わると、学校の雰囲気も少しずつ変わっていった。
1年生、2年生、3年生の生徒たちが、それぞれの教室から一人、また一人とカバンを持って出てくる。
キラナ、アイカ、ハルト、レン、カイトも1年2組を一緒に出た。
キラナは、帰ろうとする生徒たちでいっぱいになった廊下を見る。
キラナ:「わぁ......けっこう人が多いね。」
アイカ:「うん。みんなほとんど同じ時間に帰るからね。」
ハルトはカバンを肩にかけながら歩く。
ハルト:「キラナはどっちから帰るの?」
キラナは少し考える。
キラナ:「うーん......まだ出口までの道がよく分からないんだ。学校の中もまだ覚えてなくて。」
カイトが小さく笑う。
カイト:「まあ、初日だしな。」
レンは階段のほうを指差す。
レン:「出口なら、あの階段を下りればいいよ。そこから1階に行けばすぐだから。」
キラナはうなずく。
キラナ:「あ、分かった。ありがとう、レン。」
アイカが笑顔になる。
アイカ:「じゃあ、みんなで一緒に下りよう!」
五人は、ほかの生徒たちと一緒に階段へ向かって歩き始めた。
そして五人は3階から階段を下りていった。
廊下も階段も、ほかのクラスの生徒たちが下の階へ向かっているため、かなり賑やかだった。
キラナはアイカの隣を歩きながら、時々周りを見渡す。
キラナ:「やっぱり帰る時間になると、すごく人が多いね。」
アイカ:「うん。いつもこんな感じだよ。」
後ろを歩いていたハルトも話に入る。
ハルト:「特に月曜日は、みんな早く帰ろうとするからな。」
カイトがハルトを見る。
カイト:「お前もさっきから早く帰りたそうだけど。」
ハルト:「そりゃそうだろ! もう帰りたいんだから。」
アイカは笑う。
アイカ:「あはは。ハルト、ずっと帰りたがってるじゃん。」
レンは二人の会話を聞きながら、ただ笑っていた。
しばらくして、五人はようやく1階に着いた。
キラナはすぐ近くにある出口を見る。
キラナ:「あ、あそこが出口だね。」
レン:「うん。」
五人は、ほかの生徒たちと一緒に出口へ向かって歩いていった。
校舎の外に出ると、キラナは少し立ち止まり、帰ろうとする生徒たちで賑わい始めた校庭を見渡した。
キラナ:「やっと私の初日も終わったんだ......。」
そして、アイカ、ハルト、レン、カイトもそれぞれ帰る方向へ歩き始めた。
アイカはキラナに手を振る。
アイカ:「じゃあ、また明日ね、キラナ! 気をつけて帰ってね!」
キラナ:「また明日ね、アイカ!」
ハルトも手を振る。
ハルト:「じゃあな、キラナ! また明日!」
キラナ:「また明日!」
レンは小さくうなずく。
レン:「気をつけて帰ってね。」
キラナ:「ありがとう、レン。」
カイトは笑顔を見せる。
カイト:「じゃあ、また明日!」
キラナ:「またね!」
四人はそれぞれ自分の家へ向かって歩いていった。
キラナは桜森中学校の正門の前に少しだけ立ち、遠ざかっていく四人の姿を見ていた。
そして、肩にかけたカバンの位置を直す。
キラナ:「よし......私も帰ろう。」
キラナも学校を後にし、自分の家へ向かって歩き始めた。
第1章・完
ここまで『キラナ:桜と私たちの日々』を読んでくださって、本当にありがとうございました。
この物語は、インドネシア人の少女が日本へやって来て、新しい環境で学生生活を始めるという、何気ない出来事から始まりました。
でも、そんな何気ない日々の中で、キラナは少しずつ新しい友達と出会い、さまざまな経験をし、いろいろな出来事を通して、自分の新しい日常を作っていきます。
もちろん、キラナの桜森での物語は、まだ終わっていません。
これから彼女が過ごすたくさんの日々、訪れる場所、出会う人々、そしてまだ明かされていないさまざまな物語が待っています。
この物語を作っている間、私自身が楽しんだのと同じように、皆さんにもキラナの物語を楽しんでいただけたなら嬉しいです。
ここまで読んでくださって、そしてキラナと一緒にここまで歩んでくださって、本当にありがとうございました。
それでは、また次の物語でお会いしましょう!
— マナンザイニ




