第38話 夫婦狙撃、暴走! 砦が半壊!? そしてミチは抱きつかれすぎて窒息寸前
砦の上空では──
二組の新婚夫婦が筋斗雲に乗り、《《夫婦狙撃無双》》を開始していた。
「旦那さま~♡ 次の敵兵、あそこです~♡」
「了解だよ、胡蝶!」
「うちらもいくんよ、あんた~♡」
「う、うん……寒椿さん……!」
二組は同時に魔弾を構え──
「せーのっ!」
《バシュッ!》
《バシュッ!》
魔弾が二方向から降り注ぎ、砦の敵兵を次々と粉砕していく。
「ぎゃああああああああああっ!?」
「夫婦で狙撃してくるぞぉおおおっ!!」
「なんだこのラブラブ無双はぁあああっ!?」
敵兵は大混乱。
しかし──
この《《夫婦狙撃》》は、まだ序章にすぎなかった。
◆夫婦狙撃、暴走。砦の半分が吹き飛ぶ
「旦那さま~♡ 次はあの塔です~♡」
「了解だよ、胡蝶!」
「うちらもいくんよ、あんた~♡」
「ま、待って寒椿さん!? あれは塔だから……!」
「塔でも関係ないんよ♡
敵がおるんじゃけぇ♡」
二組は同時に魔弾を構え──
「せーのっ!」
《バシュッ!》
《バシュッ!》
魔弾が塔に直撃──
ドゴォォォォォォォォォンッ!!
塔が爆散し、砦の半分が吹き飛んだ。
「ぎゃああああああああああっ!?」
「塔がぁああああああああああっ!!」
「砦の半分が消えたぞぉおおおっ!!」
盗賊たちは完全に戦意喪失……
「将軍はどこだぁあああっ!?」
「旗も壁も塔も吹き飛んだぞぉおおおっ!!」
「夫婦狙撃が強すぎるんじゃぁあああっ!!」
夫婦狙撃は、もはや“災害”だった。
◆地上組──ミチ、妖蘭に抱きつかれすぎて呼吸困難になる
その頃──
俺は妖蘭に抱きつかれたまま動けなかった。
「あなたさま~♡ 夫婦狙撃……素敵ですね~♡ でもわらわは……あなたさまと抱き合っていたいのです~♡」
妖蘭は俺の首に腕を回し、胸を押し当て、尻尾で腰を固定したまま微笑んでいた。
「妖蘭……ちょっと……苦しい……」
「あなたさま~♡ もっと抱きしめますね~♡」
「いやいやいやいやいやっ!? 妖蘭!? 息が……息ができない……!」
妖蘭は完全に《《抱きつきモード》》で、力加減がバグっていた。
「あなたさま~♡ 離れたくないのです~♡ ずっと抱きしめていたいのです~♡」
「妖蘭……ほんとに……息が……!」
「えっ……!? あなたさま……息が……!? 息ができないのですか!?
えっ!? えっ!? えぇええええええええええええっ!?」
妖蘭は慌てて腕を離し、尻尾もほどいて俺を抱き起こした。
「あなたさまぁあああああああああっ!! ごめんなさいませぇえええええええええっ!! わらわは……嬉しくて……力が入ってしまって……!!」
「だ、大丈夫……ちょっと苦しかっただけ……」
妖蘭は涙目で俺の頬を両手で包み、震える声で言った。
「あなたさま……。本当に……ごめんなさいませ……。わらわは……あなたさまを傷つけるつもりは……。絶対にありません……」
「妖蘭……大丈夫だよ……」
妖蘭は胸に手を当て、ほっとしたように息をついた。
「あなたさま……。生きていてくださって……よかったです……♡」
(いや、死ぬところだったんだけど……!)
◆夫婦狙撃は続く。砦はさらに崩壊していく
上空では──
二組の新婚夫婦が狙撃を続けていた。
「旦那さま~♡ 次はあの倉庫です~♡」
「了解だよ、胡蝶!」
「うちらもいくんよ、あんた~♡」
「ま、待って寒椿さん!? あれは倉庫だから……!」
「倉庫でも関係ないんよ♡
敵がおるんじゃけぇ♡」
《バシュッ!》
《バシュッ!》
ドゴォオオオオオオオオオンッ!!
倉庫が爆散し、
砦の残り半分も崩壊した。
「ぎゃああああああああああっ!?」
「砦がぁああああああっ!!」
「夫婦狙撃が強すぎるんじゃぁあああっ!!」
盗賊たちは泣きながら逃げ出した。
◆六人の家族作戦、ついに《《砦崩壊》》という結果を生む
トラ&胡蝶の夫婦狙撃が暴走し、砦の半分が吹き飛び、山ちゃん&寒椿の夫婦狙撃が追撃し、残り半分も崩壊し、妖蘭はミチに抱きつきすぎて窒息寸前にし、慌てて離れ、盗賊たちは完全に戦意喪失。
六人の家族作戦は派手に!
賑やかに!
ラブコメしながら!
嫉妬しながら!
誓いながら!
プロポーズしながら!
夫婦狙撃しながら!
ついに砦を半壊させてしまった。
◇◇◇




