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第182話 新妻様は大ピンチ!(8)
胡蝶さんは完全に記憶が飛びそうな覇気の無い顔……。口の方もだらしなく開き、涎を垂らしつつ、自分の身体の方にも力が入らないみたいでダラ~! と布のように垂れ下がった悲痛な状態へと陥るけれど。
「……私を離して……」、「離してよ……」、「私を今直ぐ解放しなしなさい……」。「王大連、今直ぐに、です……」と。
それでも胡蝶さんは朦朧とした意識の中で、自分は前魔王の五虎大将軍の一人……。
それも筆頭格で宰相も務めた家の血を引くものだ……。
だから人間風情に負ける訳にはいかないのだと気構え、気丈さを王大連に魅せるけれど。
胡蝶さんの身体は覇気なく、気力なく、無抵抗な容姿ではあるけれど。彼女の金色の瞳にはまだ覇気があり、敵将王大連に屈しないのだ! と。
胡蝶さんの瞳はメラメラと燃え、王大連に抗い、抵抗を試みているから。
《ギュッ!》
王大連は「糞生意気な女目」と、胡蝶さんへと悪態を尽きつつ更に彼女の華奢首を絞めるから。
「ぎゃぁっ!」
胡蝶さんの最後に力を振り絞った断末魔のような声が吐かれる。
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