第13話 朱に染まる空の下で、火の玉と化した俺の転生話(1)
朱に染まる天界の空の彼方、薄紅の雲がゆらりと揺れる。
儂――火の玉となったミチは、ふわりと雲の上を漂いながら、仏さまに不満をぶつけていた。
「なあ、仏さまよ。宇宙人とか巨大ロボットが出てくる話じゃないんだろ? それに、俺一人で異世界に行けって言われても、人見知りだから困るんだが!」
朱に染まる空を背に、火の玉の儂は仏さまの姿が見えないことに不満を漏らす。
「違うぞ、ミチ!」
朱色の霞の向こうから、先ほどとは違い、天女さまのような姿をした仏さまがふわりと戻ってきて、首を振りながら告げた。
「それはSFじゃ、ミチ……」
仏さまは優しく教えてくれた。
「まあ、それも異世界ファンタジーと言えなくもないがな……」
仏さまは儂の言葉を完全には否定せず、薄く微笑んだ。
「……団塊世代には異世界ファンタジーの話も通じにくいようじゃな……」
仏さまは儂に色々と説明した後、ぽつりと独り言を漏らした。
「うーん、そうじゃなあ、ミチよ。西遊記のように、人間だけでなく妖魔や妖怪、そして我らが亜人と呼ぶ種族も住む世界じゃ。治安は悪く、文明も未発達……、そこには魔王と呼ばれる亜人の王たちもいる。その世界へ転生し、孫悟空のように魔王と呼ばれる悪人たちを神々の代わりに討伐してほしいのじゃ……どうだ、勇者ミチ?」
仏さまは神々の代わりに、儂に村や町、国の治安を守り、最後に魔王を倒してほしいと、かなり面倒なお願いをしてきた。
儂は思いっきり嫌な顔をして言った。
「えぇ、マジで? 仏さま、儂めんどくさいんだけど!」
すると仏さまは、にやりと笑いながら条件を提示してきた。
「ならば、ミチよ! この条件でどうじゃ?」
「えっ、その条件ですか、仏さま?」
「うむ、そうじゃ。無理を頼むから、このくらいの条件はつけてもよいぞ!」
「そ、そうですか……」
「この条件ならばミチよ、どうかの?」
儂は仏さまの提案を聞き、思わず唸った。
その後、儂と仏さまはあれやこれやと長い対談を重ねた。
しかし、儂がなかなか仏さまの好意的な提案に首を縦に振らないため、仏さまは更に好条件を提示してくれた。
それを聞き、儂は考える人のようなポーズをとりつつ唸りながら思案を続けた。




