第108話 トラは異世界冒険譚のお約束通りに次から次へと仲間を加えます(9)
玉さんからも明るい声音で『にゃん、にゃん』と言葉が返ってきたからトラは、自分の周りに集っている、自分だけの異世界のヒロインさまたち……。
胡蝶さんや桜さん、細雪さんたちの顔を見渡しつつ微笑みながら。
「……村に帰ったら儂が美味いもんを作ちゃるけぇ、もう少し頑張ろうのぅ~」
トラは四人へと優しく告げるのだった。
◇◇◇
「あっ! いた、にゃん!」
トラと合流してからは、アイツを追い越して、素早く先頭を駆ける玉さん……。敵の盗賊たちを見つける度に彼女が、自分の後ろをついて走る仲間達へと、前方に敵数名いると知らせると。
「……それにしても盗賊のわりには敵の兵が多い気がするが、どう言うことだ?」
敵のボス! 盗賊の頭目を倒すため……。
そう、先ほどの巨大な人食い虎……。キングタイガーと呼ばれる死の森のボスモンスターとの争いで自分は、怪獣相手に畏怖……。身体が振るえ、身動きもできずに萎縮したまま……。
まあ、その間に俺と山ちゃんがこの辺りを根城にして村人や旅人、近くの町の民を恐怖に陥れていたキングタイガーを安易に討伐したのだが。
トラとしては叔父の俺に負けることは悔しくはない、どうでもいいことらしいけれど。他人の山ちゃんに負けたことは本当に悔しくて仕方がないらしくてね。
この砦のボス! 頭目は自分が倒す! 倒してやるのだと!
トラのこの世界初の勇者さまへの押しかけ女房からも『旦那さま、いいですよ。私は地の果てまで旦那さまについていきますから』と嬉しい言葉を頂いたから。




