挟まれるなら、いがみ合う二人より太ももがいいよね
とりあえずベンチに座ろうとなったのだが、悠斗と奏さんを隣には座らせられない。
しかたがなく二人の間に俺が入り三人でベンチに腰掛けた。
いがみ合う二人の間に挟まれるこの状況は心理的な負荷が高い。もう帰りたいよ。
二人のどちらの言い分を認めても、もう一方が傷ついてしまうのは陰キャが一番気にしてしまう事だったりする。
こういう時、やっぱり俺は陰キャなんだなと思ってしまう。
威嚇し合ったり、争ったりしている訳ではない。悠斗は奏さんにコイツと呼ばれた時に一瞬ムッとした表情になったが、今は眼中にもないのだろうか普段通り俺に話しかけてくる。
逆に敵対視して睨み付けたままの奏さん。
今にも噛みつきそうで、犬が吠えるかのように「ウー」「グルル」と唸り、俺の腕をギューと握ってくる。
「大きなおっぱいの良さは陽太も分かるでしょ?最近は寒くなってきたから女の子の下乳に手を入れて温まるのなんて最高だよね!」
ぐはっ!
なんだよそれ!変態だろ!
下乳に手を入れて温まるなんて、そんなの考えた事もないよ!普通、思い付きもしないだろ!
挟めたとしても指先までじゃないのか?手が入るってどれだけデカイんだ?悠斗ガールズが恐ろしいよ。
それと胸の話しをするのは止めてあげて。
「陽太は何でそんな難しい顔してるの?そうだった陽太はおっぱいよりムチムチの太ももが好きだったんだよね。太ももに手を挟まれて温めてもらうのはどう?」
「最高だな!ソレ!」
「あはは、陽太は本当に太ももが好きなんだね。初めて会った時も顔を太ももで挟んで貰ってたもんね」
ギューと握られていた腕に痛みが…いけね、奏さんが居るのについ男のバカ話しをしてしまったな。悠斗が太ももなんて言うから。
奏さん、つねる事ないのに。
「アンタ、太もも好きなんだ。私の太ももでそんな事しなかったくせに」
「お嬢様にそんな事出来る訳ないよね?」
「してよ!龍華には道場でもベッドでも色々してたじゃない!私にもしてよ!羨ましかったのよ!」
「なんで…」
「なんでって、好きな男のしたい事はシてあげたいのよ!エッチな事ならなおさらよ!私で興奮して欲しいの♡バカ」
え?
「あはは、陽太の鈍感は変わらないね。紹介したいって言うから新しい恋人が出来たのだと思ってたよ僕は最初から。この胸の小さな」
「奏さんね」「奏よ!」
「うんうん、仲が良いね。奏さんは陽太の好きな感じの子だよね。陽太は女の子に敬語使われるの嫌ってるところあるし、その感じが良いんだろうね。他の子より一番心の距離が近い気がするよ」
「そう、かしら…ぽっ♡」
なんで嬉しそうなんだよ!
いがみ合ってるんじゃなかったのかよ二人は。
そして、清楚。
いつの間にか奏さんに手を取られ恋人繋ぎになってるし。
訳が分からないよ。
「そろそろ帰りましょう」と言う奏さんに「そうか」と頷き悠斗とわかれた。
「いいのか?この後、悠斗と二人っきりにならなくて」
「いいの。あの顔が見れただけで満足よ。中身は普通の男だと分かったし。本当はアンタに会う口実が欲しかったのよ。昨日からアンタの事ばかり考えてるの、私アンタの事…」
「可愛いな、奏さんは」
ギュっと抱き締め頭を撫でる。
お別れのハグだ。その先は言わせない。
聞いてはいけない。聞いてしまったら放っておけなくなる。
四大財閥の令嬢のうちの三人とだなんて俺には荷が重い。
来た時と同じ高級車に奏さんを乗せて帰ってもらおう。
後部座席に奏さんを押し込み、俺も帰ろう。
帰って亜実の太ももで温まるんだ。
トン♪
あれ?誰かに背中を押された?
奏さんの護衛の人か!ニコニコ、ウンウン、分かってますよとでも言うようにドアを閉められ車は発進した。
この体勢はマズい。奏さんを押し倒してるみたいに覆い被さり顔が近い。そして良い匂いがする。
「アンタねぇ、こんな所でガッツかないでよ♡ベッドまで待てないの?もうしょうがないわね♡ちゅっ、ちゅっ、れろ♡」
そ、そんな激しくされたら。
うぉぉ~奏さん♡
「今夜は泊まっていくでしょ?朝まで寝かさないわよ♡」
一つだけ聞いておきたい事がある。
お母様は今日は居ないんだよね?
それだけは本当にマズい。
桜子さんのお母様のスミレさんだけでもヤバいのに奏さんのお母様までなんて絶対無理。
うぉぉ~奏さん♡




