命令「スマホ見せて」
昨日は早退してしまった。
別に怜奈さんが授業中もポニーテールを見せ付けるようにフリフリしてうなじを見せてくるのに耐えられなくなったからではない。
断じてない!
ごちそうさまとだけは言っておくが。
皆へのプレゼントを買いに行ったんだよ。
圧に負けた訳ではない。
断じてない!
プレゼントはあげよう。その見返りに皆にちょっとエッチな命令を今日はしようと思っている。
「おはよう、今日もアプリを見てね…はい落ちた~!もう神アプリなんだけど。なんで誰も使ってないんだ?まあいいか」
あのお爺さんが実は神!みたいな展開なのか?
核心突いてる?知らんけど。
「今日は皆さんにプレゼントがあります。まずは運動部の子にはリストバンドね。ハンドタオルにしようかと思ったけど、リストバンドにしたよ。試合中も俺の事を思い出して点を取れよ!なんてキザな事は言わないけど。汗の吸収の良いヤツにしたから使ってくれたら嬉しい」
よく漫画であるだろ?ピンチの時にリストバンドが目に入って力が沸いてくるヤツ。ああいうのベタだけど好きなんだ。
運動部の子の手を取りリストバンドを着けてあげていく。
女の子の手ってこんなにもスベスベで柔らかいのな。
球技をやってる子の手ですら柔らかいってのが不思議だ。もっと固いと思っていた。
「いつも休み時間に本を読んでいる子にはブックカバーと栞ね。栞といえば栞さんにはメガネケース。これ実は俺とお揃いなんだ。よかったら使ってね」
ブックカバーに関してはカバー掛けなんてしない。
どんな本を読んでいるかなんて知られたくないだろうし。それが特殊なジャンルだったりした時は俺はどんな顔をしたらいいのか分からない。
ラノベだったら話弾みそうだけど。
「他の子は好みが分からなかったから俺とお揃いのスマホストラップにしたよ。それじゃ今日はちょっとエッチな命令をしようと思う」
瞬間、教室が息を飲むような緊張感に包まれた。
「今日は皆にお願いするね。皆のスマホ見せてよ、検索履歴見せて欲しいんだ。これってエッチだよね?普段どんな事検索してんだろ?って秘密を覗き見してるみたいでエッチだ~!」
全員にスマホを机の上に出してもらい検索履歴を見ていく。
どれどれ。
『うさぎ飼いたい親説得』
『男子に話し掛けてもらう方法』
『可愛いキス顔』
『○○界隈』
『男性受け髪型』
『クラスの男子と仲良くなりたい』
ほうほう、意外と皆も悩んでるんだな。
話し掛けてもらいたいとか仲良くなりたいとか。
「俺の検索履歴とほぼ同じだよ。うさぎ飼いたいから親説得とか可愛い悩みだな…って!そうじゃないだろ!もっとエッチな履歴はないのかよ」
『漫画 男性 水着』
そうそう、そういうの。
『イケメン 細マッチョ』
『SM初心者』
『Tバック 黒』
キタキタ!
この子黒T履いてんのか?エッロ!
『漫画 乳首 男』
『胸ちらっ 画像』
『胸筋 舐めたい』
「女の子は男の胸に興味があるのか?見せてあげようか?ほらっ、どうかな?Yシャツのボタン三つ外したよ?」
誰の顔色も変わらない。
まるで時間が止まっているみたいだ。
男の谷間を見た所でなんとも思わないのだろう。
もう少し攻めてみるか。
ちょっとエッチなギャルみたいな感じで。
「なんか暑いな~パタパタ♪みたいな?どう?もぅそんなに見たいなら見せてあげようか?乳首見る?ほら男の乳首だよ~!でもザンネ~ン催眠解けたら覚えてないのでした~!」
あ~こんなギャルに俺もからかわれたいな。
エロいギャルとか都市伝説だよね。
「はい、催眠解けます。三、二、一。パン♪なんか前の方の子達ハンカチで鼻を押さえたんだけど俺臭いとか無いよな?」
無いよな?
◇◇◇◇
「男性からプレゼント貰えたのは嬉しいよ。嬉しいけど…」
「「「「心臓がもたないよ~♡」」」」
「前列の子だけズルい!後ろ全然見えなかった~」
「ヤバい♡生はヤバい♡」
「脳内フォルダが陽太君で埋まる♡」
「思い出したらまた鼻血が、好き♡」
「臭くないむしろ良い匂い過ぎて好き♡」
「栞って呼び捨てで呼ばれた♡」
「呼んでないから!それにしても前列の子達みんな堕ちてるじゃん。陽太君ってなんなのよ」




