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貞操観念逆転世界で『催眠アプリ』を手に入れた俺はクラスメイトに少しエッチなお願いをする~なお彼女達は催眠には掛かっていない  作者: 優香猫


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演劇部公演「白雪陽太王子」

「カッコいいわ陽太様、バッチリ決まってるわね」


俺は演劇部の部室でキラキラした服に着替えさせられていた。

白を基調としたタキシードを改造したもので肩には神社の鈴を鳴らす縄の先のフサフサみたいなのが付いている。モップみたいなやつだ。手作りながら王子様の服に見える。


「部長さんがお姫様役になったのですね。ドレス似合ってますよ」


お姫様役は揉めに揉めたと聞いている。

演劇部の総勢四名(部員少ないな)が全員立候補した。

劇の中でキスするシーンがある。もちろんキスする振りだが、それでもキスの雰囲気を味わいたいようだ。


部長さんがお姫様役になったって言っていたが、パワハラじゃないよね?

ジャンケンで決めたの?


俺がパワハラ嫌いなのは有名なのか、どんな仕打ちが待っているか分からないからする訳ないって?

仕打ちって酷いな、ただバスケ部の先輩に寸止めしてるだけだぞ!



「褒めてくれるのね。お世辞でも嬉しいわ。ちなみに下着のラインが出ないようにノーパンノーブラなのよ」


その情報はいらないよ。



演劇部が行う公演の題名は『白雪陽太王子』だ。許諾とかあるのか?


『白雪陽太王子』…は?だろ。


は?だが、タイトルだけでどんな劇なのかが分かってしまうのが逆にいいのかもしれない。


そう、あれだ!リンゴを食べて眠ってキスして起きるやつの男性版。うん。皆知ってる。

高校生の演劇なんてこんなもんだ。


驚く事に俺はリハーサルに参加していない。


リンゴを食べて眠って起きるだけ。その流れだけしっかり踏んでいれば後はアドリブで言いたい事を言えばいいらしい。


そんなので良いのか?


「これは白雪王子じゃない、白雪陽太王子なの、だからお客さんには陽太様の素の演技を見せたいのよ」と言われれば納得してしまう。そうなのだろう。




そんな演劇部の公演が始まった。



『ある所に運命の女性を探す王子が居ました。名前を陽太と言い、その容姿から白雪陽太王子と呼ばれていました』


ナレーションは俺のクラスの子。魔女の役も兼任だ。


ナレーションが終わり俺の番だ。

最初のセリフだけは決まっている。


「だれだ!こんな森の中に一人で来いだなんて呼び出して!出て来い!姿を見せろ!」


演技がわざとらしい?ウルサイ!


これで魔女が出て来てリンゴを食べるんだ。


「ふぉっふぉっふぉ、久しぶりじゃのぉ若いの。アレは使いこなしておるかのぉ」


現れたのは白髪頭にしわくちゃの顔、長い白ひげが生えており、腰も曲がり杖をついている。ザ・老人がそこに居た。


「って!あの時のお爺さんじゃねぇか!」


俺に催眠アプリを渡してきたお爺さん。

そういえばあのお爺さんは俺のクラスの子の変装だったな!


客席からは「「あはは」」と聞こえるが、これはA組の子だろう。

良いのかこんな身内ネタみたいなので。


「まぁまぁ、お主は運命の女性を探しておるのじゃろぉ。いい物がある、これじゃ!」


「リンゴ?」


「運命のリンゴじゃよ。一口食べると目が覚めた時に目の前に運命の女性が居るであろう。ほぉれ、食べなされ」


「ガブリ!うっ、バタンキュー」


「リンゴはここに入れるのじゃ。後で食べさせて頂こう。ではまた会おうぞ若いの!」


「「あの子リンゴをジップ○ックに入れたわ!やるわね!」」

「「一人で食べるな!一口食べさせろ!」」

「「オークションに出すべきだわ!」」


観客が何か盛り上がってるな。


まあ後は寝たふりしてるだけだから気は楽だな。

なんて思っていたんだ。




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