学園祭二日目お化け屋敷「怖くない」
学園祭二日目は朝から男装カフェに出ている。今日は制服を着ている。
「お帰りなさい、お嬢様」
「「「「ただいま~♡陽太様♡」」」」
ただいま~、と言ってくれたのは昨日も最初から来てくれていたお嬢様たち。朝一からまた来てくれたんだ。
ハイタッチしようと伸ばした手をグッと恋人繋ぎで掴まれ。
「今日も来ちゃった♡」
「制服姿も格好いいです♡」
「今日ようたライス無いのはツラい」
「イってきました♡」
一言二言話したらクラスメイトに引き離されるお嬢様たち。
まるで地下アイドルの握手会だな。
今日は主要メンバーからメイド服の着用禁止とオムライスの提供中止が言い渡された。動画の撮影も禁止。
昨日のフリフリメイド服の動画は背景も顔も強めのモザイク入りでSNSに上がっているらしい。男性のエロいのはほぼモザイク入りだ。
昨日は栞たちが居なかったため他のクラスメイトでは俺の暴走(動画や写真にキスマークとか)を止める事が出来なかったようだ。
ん?暴走?
あれ?俺がやらかしたみたいな感じか?皆もキャッキャッしてたよね?
閉店後に皆スカートやら何やら覗いてきたよね?
それで俺に甘えてきて、、、軽くイチャイチャもしたよね?
まあ、いいんだけどね。
少しだけお帰りなさいの握手会と接客をしたらお仕事終了となった。
何かやらかす前にクラスから追い出されたと言った方が正しい気がする…
さて、暇になってしまった。
学園祭を見て回ろうかな。
まずは服飾部だな。
おお、昨日とは売って変わって大盛況だ。
最先端の服を着ていたマネキンは学園の制服に着替えさせられ足元はルーズソックスを履いている。
お客さんはギャル率高めだな。
昨日の悠斗ギャルズは居ないようだが友達に勧めてくれたのだろう。同じような格好をしたギャルがルーズソックスを買い求めていた。
服飾部の子たちに軽く挨拶をしてから他のクラスの出し物を見ていく。
焼きそば屋やフランクフルト屋では手伝って欲しいと言われれば断る訳にもいかず焼くのを手伝う。
焼きそばを焼いてパックに詰めるだけでお客さんが喜んでくれる。
男性の手作り料理なんて初めてだそう。
焼きそばにソースで『すき♡』と書いて欲しいと言われて書いてみたのだが、、、ウスターソースでは麺に染み込んでしまい何が何だか分からない。
それでもお客さんは喜んで写真を撮っていた。
フランクフルト屋のメニューが【ようた様のフランク】に変わっていたのは悪意があるよな?ライン越えじゃないか?
輪投げ屋では俺が景品となるお手伝い。
俺目掛けてフラフープが飛んで来た…が、警備員に叩き落とされていた。
そりゃそうだ、危ないもんな。俺から提案しといてゴメン。
そんな感じで回っていると、一つのクラスの入り口で泣きそうになってる女の子がいた。
見た感じ小学生だろうか。
十歳くらいに見えるから小学四年生か五年生くらいだろうな。
入り口には『お化け屋敷』と書いてある。
そうか、一人で入るのが怖くなっちゃったのか。
「あっ!写真のお兄ちゃん!」
そう呼ぶ女の子の前まで行き、目線を合わせて話す。
「俺の名前は写真のお兄ちゃんじゃ無くて、陽太だよ。君の名前は何ちゃんかな?」
「優ちゃんは優ちゃんだよ!陽太お兄ちゃん!」
か、可愛い♡
陽太お兄ちゃん…いいな。
別にロリが好きとかでは無い。さすがにこんな小さい子どもに欲情はしないよ。ただただ可愛いだけ。
「陽太さん、良かったらこの子とお化け屋敷に入ってくれませんか?」
「優ちゃん、陽太お兄ちゃんとお化け屋敷やりたい!」
聞けば、優ちゃんはお母さんと来ていたのだがお化け屋敷の時間になってもお母さんが来ない。
来ないというより沼にハマって抜け出せないでいる。
そう、男装カフェでドリンクを飲みまくっているのだ。ブロマイドガチャにハマってしまったのだ。
俺のクラスのせいかよ。いや俺のせいか。
でも、お化け屋敷…
「陽太お兄ちゃんはお化けが怖いの?」
「怖くない!優ちゃん、入るよ!」
「わ~い!」
怖くなんてない。




