キスを賭けてバスケ部先輩とフリースロー対決
「おい!一年!遅いぞ!たるんでるのか!」
放課後の体育館に入った瞬間、怒鳴り声が聞こえてきた。
バスケ部の先輩だ。
「すみませんしたー」
「すみません、俺が無理言って付いてきたから遅くなって、やっぱり帰りますね」
「「「あの時の男!!帰らないで!」」」
今日はクラスのバスケ部女子の瑞希の最高のキスシチュエーションを叶える為に体育館に来た。
もともと瑞希は俺を部活に連れて来るようにお願いされていたようだ。
まあ、お願いという名の威圧的で声を荒らげ、にらみつけたり、反抗できない雰囲気だったようだが。
そんなパワハラみたいな事をされていて黙っていられる俺ではない。
キスをするついでに先輩にザマァをしようと考えた訳だ!
題して『キスを賭けたフリースロー対決!で先輩にザマァする!』だ。
パチパチ♪パチパチ♪
コートの反面を借りて瑞希とパスを回しドリブルやシュート練習をする。
ダンダンダンダン♪
キュッキュッ♪
スパッ♪
「やっぱ瑞希は上手いな。暑いから脱ぐね、さあ続きやろう」
反対のコートからの視線をビンビン感じる。
男のタンクトップ姿なんて俺が思っているより女子に刺さるらしい。
クラスの運動部の女子はタンクトップを着た俺とのキスを希望する子が多かったし。
ほぼ半裸の男がバスケのディフェンスと称して後ろから抱き付き、肌をぶつけ合い、密着しているなんてイチャイチャしてる様にしか見えないだろ。
「瑞希、そろそろ勝負するか?フリースロー対決だ!瑞希が勝ったらキスしてあげるね」
「「「きゃぁー!!」」」
こんな事をすれば先輩が割り込んで来ると瑞希は言っていたが。どうなるか。
「おい!一年!ウチらも勝負に入れてくれるんだろ?なあ、入れてくれるよな?」
「で、でも。陽太君が…」
瑞希、良い演技だぞ。
来たけど威圧的が凄いな。
断れる一年なんていないだろこれ!
「いいですよ。先輩方もどうぞ。三本打って俺より多く入れたら勝ち。同点ならまた三本打つって感じにしましょうか?」
勝負が始まった。
まず瑞希が三本全部決めて、先輩方は全部決めた人もいれは一本外した人もいた。
外した先輩方も余裕そうな顔だ。
それもそのはずスポーツの出来る男なんてこの世界には居ない。
それに俺も今までの練習で一本もシュートを決めていないからな。
だがそれはわざと外していたのだ。
こちとら陰キャだぞ!バスケをする友達なんていない、一人でシュート練習するしかなかったんだ!
最近クラスメイトから俺の陰キャ発言がおかしいと指摘される事が多いが俺は陰キャだ。
という訳で楽々フリースローを決めて行く。
全部決めると半数の先輩の顔から表情が消えた。まさか男に負けるとは思っていなかったのだろう。
「じゃあ二回戦行こうか」
瑞希が緊張しながらも三本決め、先輩方のターン。
「先輩、頑張ってください!キスが掛かってますよー。ちゅっ」
キス顔を見せると動揺したのか全員が一本しか決められなかった。
よし!よし!良い状況になったな。
俺が二本決めて、三本目は外して終わり。
「勝ったのは瑞希か。おめでとう、俺からキスしてもいいか?ちゅっ」
「「「きゃぁ♡つま先立ちキス♡憧れるぅ♡」」」
身長差があるからどうしてもつま先立ちになってしまうが、こういうのが萌えるのか。分かるけど逆なんだよな。
「瑞希からもして欲しい」
ちゅっ、ちゅっ♡
ちゅぷっ、れぇろ♡
瑞希は溜まっていたものがあったのだろう。わざわざ先輩方に見せ付ける様に深いキスを交わした。
「お、おい!一年!ま、また連れて来いよ!次は勝つからな!絶対連れて来いよな!」
先輩方はふらふらで『もうやめて!先輩方のライフはゼロよ!』状態だが追い討ちをかける。
「それは無いかな。先輩ってだけで後輩にそんな態度をとる部活には来たくないです。来るなら隣のバレー部にしますよ!優しくしないとモテないですよ先輩!バレー部の皆さ~ん♡また遊んでくださいね~♡」
「「「きゃぁ♡待ってるよ~♡」」」
「「「そ、そんなぁー」」」
じゃあ帰りますか。




