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第四十二話 俺は薩摩と長州の仲を取り持つ

 「君には死相が見える」

 と、不吉なことを言い出したのは長州藩士の高杉晋作だ。

 こいつとは勝先生に弟子入りする前に一回会ってたんだけど、頭のネジの緩い攘夷馬鹿だったはずなんだよな。

 それが桂と一緒に長州をまとめて軍のトップにたっているとは世も末だ。

 まあ、幕府の長州征伐が目前に迫っているということで長州人にはとって世も末なのは間違いではないか。このまま薩摩と同盟がなれば生き残れるかもしれないけれど。

 「僕は面白いことが好きなんだ。君はとても面白い、死んで欲しくはないな」

 だから、不吉なことを言うな。

 俺は殺しても死なない男だと評判だぜ。

 「ちょうどいい、これをプレゼントしよう」

 高杉は懐から何やら取り出した。銃・・・か?

 「これは小型の銃。懐にも隠しておけるし連発も出来るピストルだ。なんかあったらこれで切り抜けるといい」

 「これでも北辰一刀流の目録を持っているだが」

 「では、いらないか?」

 「くれるというなら貰うぜよ」

 こんな高級なものくれるというのを断るのはもったいない。

 確かに今は刀の時代というものでもない。道場剣術がいくら強かろうが実戦はまた違うものだしな。しばらく練習してないし、新撰組とか勝てる気しねぇし。

 「まだ、死相が消えてないか。護衛を紹介することにしよう」

 そう言って高杉は三吉慎蔵(みよししんぞう )を俺に紹介した。

 槍の使い手らしい。

 「後は運次第というところだな。もし死んだら三途の川で待っててくれ」

 飄々とした感じで言う。


 「高杉には昔あったことがあるが、雰囲気が変わったように思える」

 俺が三吉に聞くと彼はこう答えた。

 「労咳を患ってから死について敏感になったでござる。高杉氏が死相が見えるというのであれば坂本氏も危険でござる」

 「しっかし、あんな風で長州軍は大丈夫か心配になるやきに」

 「高杉氏は軍事の戦術・戦略においては天才でござる」

 「そうか・・・もう一つ聞きたいのだが」


 「なんでその口調?」

 「キャラ付けでござる」

 メタ発言乙。



 と、なんかよく分からないサムライを護衛として従えて俺は京都へと向かった。

 どうやら俺は倒幕派の一員として新撰組やら見廻組から命を狙われているらしい。

 そんなつもりはなかったのにどうしてこうなった。



 京都につくとすぐに寺田屋へ。

 「お龍! 会いたかったぜよ!」

 「うちもどすぇ」

 「さっそく布団へ!」

 「まあ、昼間っからせっかちどすなぁ」


 「坂本氏、木戸氏と西郷氏がお待ちですので急いで下され」

 いたのかお前!


 久々の再開のお龍とエッチィことをしたかったのだが、ここはこらえる。

 仕事を終えたらすぐに戻ってやるからよ。

 全く、俺がいないと話が進まないんだから困ったもんだぜ。




 俺がいないと話がすすまない・・・・・・・。

 本当に進んでないじゃないか、コノヤロー!

 京都の小松邸で薩摩と長州の同盟締結が行なわれていて、俺は仲介人として確認と慰労みたいなことをするだけだったはずなのである。だが、とっくに結ばれていないといけない同盟は話が全く進展していなかった。


 「薩摩のせいで長州は朝敵となったのです。こちらから同盟の話をもちかけるわけにはいきません」

 「困っているのは長州で薩摩は手を貸す立場でごわす。長州が頭を下げるのが筋でごわす」


 木戸も西郷もこの期におよんで面子にこだわっていた。

 どちらも藩の重役だから軽々しく動けないとはいえ、手を組まなければいけない事情があるくせに様子を窺って動けないのは滑稽すぎる。

 俺はかなりイラついて二人の説得を始めた。

 脅しすかし泣き落とし、こういう時は背負うものが無く面子もプライドもない俺の捨て身の説得が効果がある。

 日もどっぷりと暮れた頃に西郷が折れた。


 「木戸さんや長州の苦難、傷みいるでごわす。ぜひに薩摩に力を貸させてくれんやろうか」

 こうして薩長同盟はなった。

 いろいろな人の思惑が交差してなんとか成立した。これは時代を動かす大きな一歩だ。

 なんか今更ながらにすごいことに関わってきた実感が湧いてきた。


 「同盟結成の祝いに飲みませんか」

 「坂本さぁも乾杯するでごわす」

 そうだな。この興奮を分かち合おう。

 俺は宴会に参加した。


 お龍を抱くのは後日になりそうだ。



 翌日、今後のことを話し合うために小松邸に引き止められた。

 翌々日、宴会に巻き込まれた。


 早く寺田屋に帰しやがれ!

 お龍~~~~~!!!


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