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第三十九話 俺は桂小五郎に再会して西郷に裏切られる

 カステラ販売から始まった亀山社中ではあるが、薩長同盟という目的を話すことにより薩摩を手伝うことへの同意を皆から得られた。

 みんな薩摩は嫌いだけど長州は好きだからな。このままだと長州が滅びそうだというのは分かってるし。幕府も長州征伐の準備してるらしいからねー。


 「それでは我々は何をすればよろしいのですか」

 陸奥が聞いてくる。

 考える。

 「カステラ作っておいて」

 だってこいつらやることねーもん!

 いや、俺は日本中を飛び回らないといけないよ。薩長同盟がどうなるにしろ薩摩が興味持ってる以上は動かなくてはならない。

 大宰府にいる公家に会ったり長州に行ったりしないと。下手すると京都へも・・・お龍にも会ってきたいなー。


 大宰府では京都を追い出された公家たちに会ってきた。三条実美(さんじょうさねとみ )という公家が薩長同盟に強い関心を持っていて、中岡を動かしてる黒幕の1人らしい。

 俺は西郷が薩長同盟に興味を持っていることを話して中岡以外にも長州とのパイプを持っている人間を紹介してくれるように頼んだ。

 しかし、三条は薩摩と長州の仲が悪いことを理由に拒む。俺と中岡で自主的に両藩を取り持ってもらいたいというのだ。

 こいつ責任取りたくないんだな。同類だから分かるぜ。

 しかし、薩長同盟の言いだしっぺの1人がこうも非協力的なのはきついな。やっぱり無理な気がしてきた。深入りしすぎないほうがいいかも。

 なんの成果もないまま長崎に戻ることにした。


 こうなったら亀山社中単独で行動できるように手を打っておかなくては。

 俺は西郷に船を早く貸してくれるように手紙を書く。

 船さえあれば船員は揃っている。貿易をして稼いげば自分達の活動ができるはずだ。いざとなったら船ごと借りパクだぜ。

 

 「ここで激安カステラを売ってると聞いてきたのですが」

 亀山社中の社屋(ボロ小屋)に侍が訪ねてきた。

 すっかりカステラ屋だな!

 「今手が離せないので龍馬さん出てください」

 うっさい、長次郎。お前が仕切るな。

 だが、仕方が無い暇なのは俺しかいないようだ。俺は玄関に客を迎えに行った。

 「ノボさん!」

 「龍馬じゃないですか」

 玄関には見知った顔がいた。

 通称ノボさん、渡辺昇。彼とは最初に江戸へ剣術修行をしていた頃の友人である。

 どこで出会ったんだっけかな。

 確か剣術の道場で試合をしに行った時に仲良くなったはず。

 そうだ、確か桂小五郎と試合しようしたら留守だったんだよな。練兵館で待ってる内に仲良くなったんだっけ。

 そうそう、練兵館で・・・・練兵館?

 桂小五郎?

 「あーーーーーーーーっ!」

 俺は叫ぶ。

 「ど、どうしたんだ龍馬」

 ノボさんが驚く。

 「ノボさんは今でも桂小五郎と面識があるのか!」

 「・・・ああ」

 ノボさんは少し真面目な顔になる。

 「少し込み入った話があるやき、中に入りや」

 俺はニヤリと笑う。

 これで長州への足がかりが出来た。



 ノボさんに薩摩と長州を結びつける計画があると打ち明けて協力を頼むと、話はとんとん拍子で進んでいった。長州藩士にばれないようにこっそり桂小五郎と会う算段がついたのだ。

 ノボさんも長州をなんとかしないとと思っていたようだ。

 「それにしても薩摩と長州を結びつけるなんて凄い発想だ。龍馬には驚かされますね」

 「薩摩と長州が犬猿の仲というのは常識ぜよ。しかし、時代を動かすには常識を疑うことから始めないといかんぜよ。薩摩の西郷を説得し、大宰府の三条を説得し、中岡を仲間に引き入れて・・・本当にこれまで苦労したぜよ」

 そんなことをノボさんに吹き込みつつ長州へと向かった。

 長州に着いてからもノボさんの仲介でさしたる苦労もなく桂小五郎に会うことが出来た。

 桂と再開したのは下関のとある屋敷だ。

 「お久しぶりです。坂本さん」

 「6,7年ぶりかや。長州はいろいろ大変ですね」

 「いえ、3年ほど前に京都でお会いしましたよ」

 そういえば浮浪者になってたんだった。苦労したんだな。可愛そうに。

 俺は桂を同情の目で見る。

 「それで薩摩と手を組む話をしたい。長州で話の分かる偉い人を紹介してもらえないやろうか」

 「薩長同盟に関する計画の責任者は僕です。今の僕は長州の政治を仕切っているのですが、薩摩に対する反発が強くて秘密裏に話を進めているところなんです」

 な、長州の政治のトップだとー。

 大出世じゃないか!

 俺は桂を羨望の目で見る。

 「鹿児島に向かった中岡君から西郷が僕と会談してもよいと密書が届きました。西郷の説得に手を貸してくれたそうですね」

 まあねー。

 しかし、既に西郷との会談まで話が進んでるのか。もしかして俺いらなかったんじゃ。

 いやいや、このタイミングで話に加わっておけば薩長同盟の立役者の一人として名を上げれるじゃやないか。苦労せずに結果だけいただく。これぞ龍馬クオリティ!

 「それで西郷はなんと?」

 「大阪へ船で向かう途中でこっそり長州に寄って話がしたいとのことです」

 なるほどなるほど。

 だったらそれ待ちだな。

 西郷が来るまでゆっくりしとくかー。

 下関といったら河豚だな。それと熱燗で。


 西郷が来るまでの間に桂の紹介で何人かの長州藩士に会った。

 そこで薩長同盟についての利を解く俺。内容は桂から聞いたことをそのまま話してるだけなんだけどな。とはいえ長州藩のトップの桂が簡単に薩摩と手を組むとか言えないから俺に言わせているということだ。まあ、屋敷で世話になってるんだからこれくらいしてやらないと。


 「それにしても西郷遅いなー」

 その日は屋敷の縁側で日向ぼっこをしていた。予定がなくて暇をつぶしている。

 西郷が下関に来る約束の期日はもう過ぎていたた。

 「龍馬ー」

 物思いにふける俺を呼ぶ声が聞こえた。聞いたことのある声だ。

 「その声は・・・中岡か!」

 声のするほうに向かうと中岡がいた。

 「西郷が・・・西郷が・・・急に気が変わって・・・」

 やろうすっぽかしやがった!


 俺と中岡と長州藩はこうして西郷に裏切られた。

 薩長同盟は成立しなかった。

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