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第十五話 俺は犬に負けて江戸に旅立つ

歴史MEMO

安政二年十月 安政大地震。藤田東湖圧死。

安政三年七月 ハリス、日本到着。

 安政二年になった頃に体調を崩した親父は家督(かとく)を権平兄貴に譲り、家で休養をしていた。

 俺が加尾と婚約騒動をおこしていたのが、安政二年のこの次期であり、俺の騒動が心労をかけたのではないと思いたいが、安政二年の末に親父は永眠する。

 いろいろと心配かけはしたが、剣術で北辰一刀流目録を得て、馬鹿なりに学問にも目覚めて、死ぬ前に少しは心配事を減らせたのかなとも思う。

 安政元年にニートで心配かけまくってただろうことは忘れる。

 親父の死後はしばらく喪に服し、安政三年に入り、小龍先生の元で勉学を再会する。

 

 そして何事もなく数ヶ月が過ぎたある日のこと。

 俺の頭が真っ白になり大混乱する衝撃の事件が起こる。

 武市道場へ顔を出して剣術を指導していた時のことだ。

 信じられない。

 こんなことがあっていいものであろうか。

 稽古で・・・以蔵に負けた。

 うぁぁぁぁぁぁ、以蔵は俺の舎弟だ。犬だ。それがぁぁぁぁぁ。龍馬大ショック!

「以蔵は近頃腕を上げてるぜよ。龍馬はサボってたからな」

 うるさいアゴ野郎、サボってたのは俺が一番知っとるわ!

 相変わらず尊王攘夷狂いのアゴ野郎はその癖に剣は無茶苦茶強いし。なんですか?世の中は全部才能ですか?凡才の俺は天才の桂や武市に勝てないのですか?もしかすると以蔵も天才ですか?

 なんかもうパニックパニック、ワニワニパニック!

 

 小龍先生のところの学問にも身が入らなくなってくる。

 やはり俺の根っこは剣術なのだ。海外情勢やら海外の技術やらを学ぶのは面白いのは間違いない。

 だが、俺は剣の道に生きる侍なのだ。学問は趣味でやればいい。

 俺は決意する。再び江戸へ向かうことを。

 仕舞っていた定吉先生からの推薦書を取り出す。

「こんなものを隠しておったとは・・・千葉の定吉先生の推薦があったなら直ぐにでも江戸に再留学させていたものを」

 権平兄貴がため息をつく。

「どうせ女関係のいざこざで江戸に居づらかったのじゃろ」

 YES!

 それが定吉先生の娘のこととは想像もつかないだろうけどな!

 まあ、二年もたったんだからほとぼりも冷めただろう。佐那も十九歳だし既に結婚か婚約くらいしてるかもしれないしな。

「まあ、それで親父の死に目に会えたんじゃき。いいやろ」

 俺の言葉に権平兄貴が更なるため息。

「藩の方には留学許可の申請をしておくきに」

 

 こうして俺が江戸への再修業を検討している頃、武市も江戸への留学が決定した。

 藩よりの公式留学である。なぜか以蔵もいっしょに江戸行きが決まった。

 

 今度は武市や以蔵と一緒に三人で江戸か。

 今度こそ剣術で一流になってやる。

 燃え滾る思い。

 とりあえず、以蔵にリベンジじゃぁぁ。あの犬がぁぁぁ。

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