再生
無事に試験を終えたのでとある場所に向かう。
一旦、街から出て先ほどのエルフがいたであろう森へと行く。
「ん?」
不自然な足音が聞こえた。
この感じ、誰かが後ろから追ってきているな。
恐らくあまりにも早く試験を終えてしまったので、不正を疑ったギルド職員とかだろう。
追跡されるのはこの後の行動に支障が出る恐れがあるので、振り切ってしまおう。
歩く速さを調節して、走るのと同じぐらいのスピードにした。
森には魔物や生物たちがいる。
先ほどのエルフの冒険者だが、あの顔、名前、"リスト"入りしている人物だ。
他の者たちに見つかる前にやらなければならない。
「おい!そこのっ!お前だ、お前!」
かなり大きな声で私を追ってきた人物は言い放った。
街のはずれだからと言って、このまま大声を出されては注目されてしまうかもしれない。
面倒だと思いながらも後ろ向く。
すると、目の前には男の獲物を狩るような、どこか狂気じみた笑顔と鋭い槍が迫っていた。
「引っかかったな!馬鹿め。死ねぇ!」
私の額に思いっきり槍が刺さり、血飛沫が舞った。
私の身体はそのまま後ろに倒れていった。
刺した男と別の人の声がうっすら聞こえてくる。
「ボス。やりましたぜぇ、こいつですよね!?......えっ?敵はエルフ?しかも女?じゃあこいつは...?」
「馬鹿野郎、どっからどう見ても違うにきまってるだろ!」
「森に入ってくやつじゃ...。」
「人の話をよく聞きやがれ!森の中にいる冒険者、エルフの冒険者がターゲットだ!
どこをどう間違えたらこうなるんだ!まったく、余計な手間増やしやがって。」
「すいやせん。で、こいつどうしましょうか。」
「あぁ?てめえが片付けろよ。森の魔物にでも食わしとけ、エルフを始末しに行くぞ。」
「へ、へい!」
ぼやける視界の中で、身体を引きずられている感覚を味わっていた。
だんだん声が聞こえにくくなったので、あいつらは森に中に入っていったのだろう。
そして、周囲に誰もいないことを確認した。
『再生・神体』
額に刺さった槍がボロボロと崩れ、穴が塞がっていく。
地面に飛び散った血は蒸発していった。
私はゆっくりと起きあがり、服に着いた土を振り払った。
そして、改めて森の中に入っていきエルフを探しに行った。