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冷たいメイドさんで興奮
あれ、ターゲットが停止している。
部屋の前で立っている。涼しい顔して僕を待っているようだ。
自然と僕も走るのを止め、息を切らしながらエイプリルさんの前まで歩いて近づいた。エイプリルさんの顔を見ていると疲労感に不完全燃焼感、色々なやるせなさに相反する安堵感が、次々に押し寄せて来る。
「旦那様、アキラ様を連れて参りました」
「入れ」
「失礼いたします」
エドモンドさんから入室の許可が下りると、丁寧な所作で扉を開けたエイプリルさんが「ほら行け」という様に、僕にしか見えない様に、顎クイで入室を促してくる。
「・・・・・・」
(クイ、クイ)
立ち尽くす僕にエイプリルさんは更に「さっさと入れ」とクイクイしながら、美しい顔に怒りの表情を作ってメンチを切っている。今日2度目の美女のメンチ切り。
ああ、報われた。
ご褒美をいただいた僕は、ゾクゾクと興奮しながら、伯爵様の待つ執務室に興奮したまま入室した。