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入学早々ケツ持ちに俺はなる。

「元女子校!?ケツ持ち!?なんじゃそりゃ!?」




俺こと吉野開の声は防音対策の整えられた学園長室に響き渡った。


どうしてそんな話になってんだ?説明なんもされてないぞ親父。


そう思い親父を睨み付けた。








こうなった経緯は数時間前にさかのぼる。




出発当日。


ここにいた大勢の組員はもう3人しかいない。


犬飼力いぬかいちから猿田飛雄さるたとびお雉子谷徹きじたにとおる。


皆俺に全てを教えてくれた師匠兼兄貴みたいなもんだ。




赤い髪のツンツンヘアーの犬飼の兄貴は手がすぐ出るが人懐っこい性格で脳筋。




金髪の短髪ツンツン、チャラい猿田の兄貴は瞬足でよくイタズラしたら真っ先に捕まえにきてやられたもんだ。女には弱いけど。




深みかかった緑のオールバック、雉子谷の兄貴は体力が無いくせに頭がよくまわる。


相手がどう動くのかどの様に判断するのか。座学でとにかく教え込まれた。




そんな3人が並ぶと壮観である。


いつもはみんなイガミあってるからね。




「そろそろいくんすか?坊ちゃん。」


「高校生かー。いい子いたら紹介してね。いってら〜」


「寮生活と聞いております。お身体ご自愛ください。」


3人各々別れの言葉?をかけてくれる。




「兄貴たちありがとう。行ってくるよ!」


そうして旅立ったんだ。


親父は先に学校に行ってると言った。


追いつかないとな。








学園までの片道切符。時間は住んでいたとこから約2時間。


ようやく最寄り駅に到着した。




そこには黒塗りのセダン車に乗る親父が手を上げ待っていた。


そこから車で1時間。


「親父。結構走るな?あとどれくらいよ?」


「ああ。もうつくよ。あの明かりがあるところが高橋学園だ。」


さすが大都会。


千葉の田舎からでたことのない俺には眩しい景色が広がっていた。


昼と間違えるくらい明るい。


外灯というより建物からの明かりで町全体が光っていた。




「あとよ開ちゃん。言い忘れたことがあってよ。」


親父。そんな開ちゃんというときは100%嫌な報告だよな。




「なんでこのタイミングなんだよ親父。マジ勘弁してほしいんだが。聞かない選択肢はないんだろ?」


にこやかに親父が笑う。とても殴りたい。




「実はよ。いや、到着したから学園長室で話すわ。」


そう言って車は大きな建物の前に停まった。


レンガでつくられた校舎は中世のヨーロッパの城のようでロータリには噴水。今日は日曜日のため生徒はいないがやたらと周りには黒服?のガードマンが巡回していた。


ガードマンがドアを開ける。


「お待ちしておりました。学園長がお待ちです。こちらへ。」


黒のサングラス越しで恐いわ。


親父はニコニコしながらあとをついて行く。


いつも凄んでる親父が!?


あんな顔いままで見たことがない。


気持ち悪いと思いながらも、急いでついていった。




長い廊下を黒服について親父と歩く。


誰もいない廊下に足音だけが響く。


そして立派な扉の上には学園長室というプレート。


どうやらここが目的地らしい。


黒服がノックをし、女性が扉を開けた。


50代だろうか、ふくよかで優しそうなショートカットの女性だった。


「待ってたわ源ちゃん。開ちゃん。」


「おお。久しぶりだな。」




知りだろうとは思っていたが親父のことを源ちゃん?


みんな恐がってる親父のことを?不思議で仕方がない。




「おい!挨拶くらいしろ!」


考えてる頭にげんこつがくるのは予想してなかった。


急いで女性に向き合う。




「お初にお目にかかります。源造の息子。吉野開でございます。」


「あらあら、まあまあ。」


「おめぇワザとやってんのか!?」


今度はうまく避けられたな!グッジョブ俺!




「お初じゃないのだけどねぇー。私はこの高橋学園の学園長をしている高橋真里です♪よろしくね開ちゃん。」


すごいフワフワした学園長だ。


大丈夫なのか?


「それで〜入学というか、4月も下旬でゴールデンウィーク明けからだけどよろしくね。」


「はい!よろしくおねがいします。」


「あと〜あのことは源ちゃんから聞いてるかな?それは明日からお願いするからよろしくおねがいしま〜す。」


「?あのこととは?」


「あれ〜?源ちゃんまだ話してなかったの?」


「いやーなんというか。ごめんねこれから説明する。」


「おねがいね〜」


いったい何の説明なのだろう?そう不思議がっていると親父にがっと肩を掴まれこう言われたんだ。


「開。お前はここのケツ持ちだ。この高橋学園のな。」


「……は?どういうこだよ!?」


「それが入学条件でな。だって試験なかったろ?」


たしかに、高校入試なんてなかったな。


「でもなんでケツ持ちなんだよ?」


ケツ持ちとは極道用語でそのケツ持ちした店などが厄介ごとに巻き込まれ警察など役に立たないときに秘密裏に処理するなんでも屋。


つまり、用心棒。ボディーガードだ。


「ここはお嬢様ばかり通う女・子・高・だったが共学に去年からなってな。色々問題がおきてる。そこでお前だ。お前ならできると俺は信じてる頑張れ。」


なんちゅう無責任な親だよ。


そこで最初にもどるんだけどね。






「元女子校!?ケツ持ち!?なんじゃそりゃ!?」

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