第弐拾話 monolog
第弐拾話
monolog
下にアルの証言全てを記す。
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まずは、虐殺について謝らなきゃならない。本当に申し訳無い。どれもこれも、私のミスだ。いや、正確に言えば、上司の指示に逆らえなかった。なにしろ、反逆すれば直ぐ死刑になるからね。
我々は、全員元ヱイラ国民だ。つまり、ネオジオ国に拉致された人間のみでこの研究所は構成されている。
命令はネオジオ国本部から直に来る。だいたいやることはヱイラ国の挑発ばかりだけど。
何故ココから脱走しようとしないかって?そりゃ、たんまりお金を貰っているからに決まってんだろ。ココから出ようとしても、警察に捕まって死刑だ。だから誰も逃走しようとは考えない。
で、あのヤバい兵器capsuleの設計者についてだが、元々ネオジオ国が設計したものではない。これは本部にも研究所職員にも確認済みだ。しかも俺が来る以前。俺が来た時には既にあったからな。つまり、ヱイラ国から過去に拉致されてきた奴の置き土産ってことだ。研究所職員にも、誰が作ったんだって聞いた。そしたら、美しい人だって言ってた。
だがそれだけの情報では、この不可思議な機体を作った天才は一体誰なのか全く分からない。そこで最近また拉致されてきた昔capsuleの設計者と共同で開発に当たった女性に詳しく話を聞いた。そしたら、驚いた事にスミの母、サヤカだったんだ。以前、スミが産まれる前の若い頃、2年間程こちらで研究していたらしい。どうやら、ネオジオ国直々に開発を依頼したらしいが、何か条件が合わなくなったのか、亡命してしまった。その後ヱイラ国で一市民として平穏に過ごしているという訳だ。
はっきり言って、あの機体の仕様は斬新過ぎる。今の人類にはあの完全に動かせる奴は居ない。……少なくとも最近迄はそう思っていた。
だが、開発者の息子スミにとってはとても相性の良いように作られている。まるで将来capsuleに乗る事が分かっているかのように。
残念ながら、共同開発者の証言を持ってしても、この機体はフルパワーを出せなかった。だから君達に惨敗した。
あ、研究員は全員地下シェルターに逃げたから殺すなり焼くなり、復讐したいなら好きにしなさい。
あと、なんでメンバーを拉致によって揃えていったかだけど、ネオジオ国はみんな知っての通り宗教国家だから、無意味な殺生は忌み嫌うという建て前になっている。だから、それと全くもって縁のない奴を引っ張ってきたというわけだ。
他に質問は?
〈終〉