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capsule  作者: 天川 榎
前編 
10/28

第拾話 復讐の時、来たり

第拾話

復讐の時、来たり









ネオジオ国

capsule基地

食堂




森の木立が一斉に揺れる。

おそらくcapsuleが発進したのだろう。


「本当に良いのか?」

アルは、空をぼんやり眺めている。


「はい」

ボクは、無理やり笑顔を作り、その場をやり過ごした。


「無理するな」

アルはそう言い、ボクの肩に片腕を掛けてきた。



……ボクは、何をしているんだ。

本当に、これで良かったのか。



その瞬間、ボクの目から一筋の雫が頬を伝った。



後悔した。

あの時、ちゃんと真実を言えば良かったのに。

あの時、乗らない、なんて言わなきゃ良かったのに。



すると、ボクの様相に見かねたのか、アルはボクの左頬を、思いっきり右手でひっぱたいた。



「今更嘆いてどうするつもりだ!!!」



アルは、頬を叩いた右手をさすりながら、耳障りな程に叫んだ。


「あんたに何が分かるんだよ。ボク達を拉致して、いいように使って、挙げ句の果ては人殺しもやらせる。そんなアンタらがボク達の気持ちなんか……分かるハズがない!!」

「分かるさ」

「嘘だ!!」


アルは、その言葉一瞬戸惑った。だがキッパリと、こう言い切った。

「実を言うと、自分もこの国に拉致された一人だから」


その時、ボクは、アルが何を言っているのか、理解する事が出来なかった。


「5年前、ヱイラ国に妻と子供を置き去りにした、最低な人間さ」


ボクは、その話が記憶の中の一片に酷似していることに気づく。

ボクの昔の友達が話していた、お父さんが居なくなったとか言っていたような……

「……もしかして、子供の名前はヘスだった?」

「知っているのか、息子を!」

アルの顔は、瞬く間に明るくなった。


「幼なじみだから、アイツが引っ越すまで」


アルの目からは、感極まったのか、大粒の涙が止めどなく溢れ出ていた。



「……仲良かったのか?」

「いや、最後はケンカしちゃって。お別れの挨拶も出来なかった」



アルは、少し沈黙した後、

「実はさ、そのヘス、今日ココに拉致されてくるんだ」と、憂鬱気に呟いた。



本当なのか?

だったら、ココに着いたら……



ボクは、ヘスに何て謝れば良い?




ーーーーーーーーーー


ヱイラ国

某所





荒廃した風景とは、まさにこのことを言うのだろう。

辺り一面にガレキが散らばり、所々が赤く染まっている。


建物という建物全てが壊され、原型を留めているものは皆無に等しい。



アルからの命令によると、この付近に新たなパイロットがいるとのことなのだが……


『アンタたち、こんなことして、何が楽しいの?!』


やかましい。

こちらの事情も知らないで。こっちだって、好きでやってるワケじゃないのに。



空は、いつの間にかどす黒くなり、雷雨の予感を漂わせる。

不思議と、気分も憂鬱になる。

私はいつまでこんなコトを続けなければならないのだろうか。ジョンは、いつになっても意識が戻ってこないし……



考え事をしていると、頭がボーっとする。悪い癖だ。





数分程捜索していると、レーダーに反応があった。


『え』

イオから、驚嘆が漏れる。


「どうした。なんか異常があったか?」

私の問いかけにも応じない。



私とイオの距離は、約30mであるが、障害物が多く、様子を容易に見ることは難しい。



建物の残骸を破壊し、イオの元へ向かった。

コンクリートの粉が舞い、視界が不明瞭になる。かろうじて、capsuleの影が見える程度だ。



イオのcapsuleが、目前まで近づいてきた。しかし、どうもいつもの様子とは違うのである。



「どうした」

『……スミに宜しくと伝えておけ』


明らかに声色が違う。別人に操られているのだろうか。


「アンタ一体誰なんだ?」

『capsuleとヘス、一体化した物体と言ったら分かるかな』


そんな馬鹿な!

capsuleと人間が生体融合?あり得ない。機械と人間が完全に、しかも拒絶反応無しに?


一体、この世界に何が起こっているというのか。私の理解の範囲を超えている事象が、いとも簡単に起こっている……



私は、これ以上考えることは無駄だと悟った。





ーーーーーーーーーー


ネオジオ国

指令室





突然、capsuleからの現場の映像が途絶えた。


「おい、どうした!」

『イオに異常発生です。回収するハズのパイロットと……イオのcapsuleが生体融合しています』



司令部の全職員が凍りついた。



「とりあえず、コックピットから一旦出ろ。イオは何とかする」


アルは、部屋を飛び出し、コックピット室に急行した。




無事でいてくれ……

そう、ひたすら願うしかなかった。




コックピット室周辺は、やけに熱くなっていた。

内部は入ってみなければ分からないが、ミユは無事であることは既に先程確認出来ている。



問題は、イオである。操縦経験のあるスフィアとの互換性がcapsuleにはあるということで、駄々をこねたスミの代わりに出陣させた。

だが、こんなことになるとは誰が予想出来ただろうか。



アルは、コックピット室の扉を力強くノックする。

「おい、誰か返事しろ!!!」


その問いかけに、ミユは即座に答えたが、やはりイオの返事は無い。



扉から、ミユが出て来た。

その瞬間、気絶し倒れた。

「何があった!!」

アルは、ミユを両手でそっと抱きかかえ、必死に語りかける。

しかし、応答は一切無い。




「オイラがやったんさ」

アルがミユに夢中になっている所に、誰かが後ろに来ている。

聞き覚えのある声。






………………まさか!!






「久しぶりだね、お父さん」

両手両足の先の皮膚が2cm程隆起し、体はcapsuleのように白く染まり、顔も被りモノしたかのように、あの一つ目がハッキリと見える。



アルは、言葉を失ったまま、只呆然とその場に立ち尽くしていた。









〈終〉






次回予告




capsuleと一体化したヘス。気を失ったまま何も語らないミユとイオ。久し振りの再会を喜べないアル。



そして、過去に因縁を持つスミ。




全ての点が一つの線になった時、何が起こるというのだろうか?





次回


own cake





ハッピーバースデー、トゥーユー。


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