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第一話(1)リリーナとソレイル

 私のこの世界での名前は、リリーナ・ルーシェという。

 金髪で空色の瞳という望んでいたような、物語によく登場しそうなかわいい容姿である。最初はこんな私がこんなかわいい姿をいただいていいのだろうか、と思っていたけれど、そんなこと思っていてもどうしようもないので、感謝しながら喜んでこの姿で過ごすことにした。

 この姿を見る度に夢を見ているのではないかと錯覚してしまうけれど、確かに私は生まれ変わっているのだ。そう、一度私は死んでいるのだ。

 夢のような話だけれど、夢じゃない話なのだ。


 私が転生したのは、特にお金持ちの貴族というわけでもなければ、もちろん王族でもお姫様でもない。小さな村の、平凡な家で生まれ育ったのだ。

 それにこの世界では魔法が存在するといっても、小さな村だからかそんなにたくさん見るわけじゃない。私が気づいてないだけで、いろいろなところでは使われているのかもしれないけれど。

 それでも私はこの村のこの家での生活は、平和で平穏でとても幸せだ。優しい両親もいるし、特に何かに襲われる心配もないし、生活に不便もない。

 それに何より頼りになる幼馴染もいるのだ。


「リリナー?」

 私のことを呼びに来たのは、ソレイル・ロート。隣に住んでいて、真っ赤な髪が印象的な同い年の男の子だ。近所で同い年ということもあって、いつも一緒に遊んでいることが多い。

 村の子供達よりも賢く落ち着いているので、前世の大人だった記憶を思い出しても、あまり話すことに不自由しなくて助かる。まあ私の精神年齢が低いっていうのもあるんだけど。

 それでもこの世界での常識と違うこととか、変なことを言い出さないか心配ではあるけど。不意にとか、無意識に前世のことを言ったりしたりしないか心配だ。そこは気を付けておかなくちゃ。

「ソルー! 今行くー!」

 ソレイルのことを私は呼びやすくソルと呼んでいる。そっちの方が断然呼びやすいので、私は基本的にそう呼んでいる。

 でも村でソレイルのことをソルと呼んでいるのは、なぜか私だけなのだ。家族ですらソレイルと呼んでいる。こっちの方がずっと呼びやすいのに。私がおかしいのかな?って焦ったこともあるけど。ソルもリリナと短縮して呼んでいるし、今更ソレイルに戻すのは違和感がある。

 最初だけは周りも少し驚いていたけど、すぐに微笑んだ表情になったし、それから周りも問題視してなさそうだし、特に何か言われたこともないのでそのままお互いだけ愛称のように呼び合っている。

「じゃあお母さん遊びに行ってきます!」

「ケガしないようにね。いってらっしゃい」

「はーい!」

 お母さんに挨拶して家の外に出ると、ソルが待っていてくれた。

 この世界でも優しいお母さんに恵まれて、私はとても幸せだ。お父さんも優しいし、本当に私は幸せだと思う。神様には感謝してもしきれないぐらいだ。

「お待たせ。今日は何して遊ぶ?」

「今日はリヒト兄さんが仕事終わったら話があるって」

「話? 私に? なんだろう」

 考え込んでみるが、今のところ思い当たることはなかった。

「夕方には仕事が終わるから、それからだって」

 ソルには年の離れたお兄さんがいる。名前はリヒトといって、村を守る兵士をしている。

 村には数人の兵士がいる。みんな村民だ。

 小さな村なのに、どうして兵士がいるかというと、実はこの村は森に囲まれている。つまり森の中に村があるような感じだ。そのため魔物や魔獣なんかが出てくることもあるらしい。らしいというのは、私は未だ魔物や魔獣を一度も見たことがない。

 出ることが少ない森なのか、兵士の人達がしっかり守ってくれているおかげなのか。

 それよりも話とはなんだろう。何も心当たりはない。ソルが少し嬉しそうに話しているのも気になる。

 私は不思議に思いながら、ソルといつものように手をつないで村にある遊び場に向う。ソルと一緒に歩く時はいつも手をつないでいるのだ。小さくてかわいい手と思ったり、手をつないで歩くのなんて何年ぶりだろうと、前世の記憶を取り戻しつつ思ったものだ。もちろん思い出せないほどだけれど。

 小さい手をつなぎながら歩くのは、なんだか楽しいし本当に心が幼少に戻った気がする。私が危なっかしいせいか、ソルから手をつなぐように言ってきたのだ。それに慣れたせいか今はその方が私も安心する。

 ソルに手を引かれて歩いていると、村の子達の遊び場に着いた。既に何人か来てボール遊びやごっこ遊びなんかをしている。ソルと一緒に私達もその中に加わることにした。

読みにくくならないように、長くなり過ぎないように更新していけたらと思います。

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