第二回:表記の知識を覚えよう!
逢魔時「底辺なろう作家プレゼンツ小説執筆講座へようこそ。第二回のテーマは『表記の知識を覚えよう!』だ」
白崎「いよいよ、本格的に小説の書き方に入りますね」
逢魔時「……いや、まだだよ。まずは基礎固めをしてからプロットとか、そういう話に入ろうと思う。まずは前回の繰り返しになるが、句点と疑問符や感嘆符の扱いについてだ」
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◆会話文での句点の使い方。
教科などでは括弧の後ろに句点を入れる形で書かれているのが、ほとんどの小説では括弧の後ろに句点を入れないのが多数派となっている。
実はどちらも正しく、昔の文豪の小説なども括弧の後ろに句点を入れる形で書かれている。現在の主流は括弧の後ろに句点を入れない形で書くことになっている。
どちらの書き方も別に間違ってはいないが、作品を書くときにはどちらかに統一すべきである。
◆ ?や!の後ろには全角で空白を一つ入れる。
疑問符、感嘆符の後ろに全角で空白を一つ入れるというのはあまり知られていないが、出版業界では常識なことらしい。※ネットに書いてあった。
半角でもいいのかもしれないが、全角ならまず間違いはないと思われる。
ちなみに♪や❤︎などの記号には明確な使用方法がないようだが、疑問符や感嘆符と同様の方法を用いればまず間違いないと思われる。
◆ダッシュや三点リーダ
共通するのはセットで使うこと。小説を書く上では必ず使用するが、誤用する人が圧倒的に多い。表現としてあるいはこだわりがあって使う場合はいいが、そうでなければルールに従って使用することをおすすめする。
基本的には偶数個で使うが一部出版社では奇数個で使用している場合もあるため、特に規則はないように思われる。
【・・・】や【。。。】の使用は代表的な誤用だが狙ってやっているのであれば問題なし。ただし、文法にうるさい人の場合はちょくちょく指摘する可能性があるため、使用には覚悟が必要。
使い過ぎると読み難くなるという人もいるので注意が必要。
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逢魔時「この三つは特に指摘されることが多い。かく言う僕もお節介と知りながら指摘するタイプなんだよね。あまりにも酷いと吐き気を催す時もあった……まあ、最近は落ち着いたけど」
白崎「逢魔時さんって拘り強そうですからね」
逢魔時「そんなことないよ? まあ、周りにはきっちりかっちりしているなって言われることもあるけど」
白崎「重厚感ある設定はそのきっちりかっちりした性格のおかげなのですか?」
逢魔時「……どちらかというと、ただ欲張りなだけだと思う」
逢魔時「さて、新しいことになるけど、今回の大きなテーマは『漢字を開く・閉じる』だ」
白崎「聞いたことがないですね。一体どういうことなのでしょうか?」
逢魔時「出版業界などで暗黙の了解みたいになっている平仮名に直すべき単語のルールだな。まあ、詳しく定まっている訳ではないないけど、とりあえずこの辺りが開かれるだろうと思われる表を作ってみた」
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◆◆あ行◆◆
明か→明らか
貴方、貴女、貴男→あなた
辺り→あたり
余り→あまり
予め→あらかじめ
凡ゆる→あらゆる
有り方→ありかた
在り方→ありかた
いう、謂う→言う
謂わば→言わば
所言→所謂
如何に→いかに
聊か→いささか
些か→いささか
何れ→いずれ
孰れ→いずれ
何時→いつ
色々→いろいろ
~する上で→~するうえで
於いて→おいて
往々→おうおう
おそらく→恐らく
各々→おのおの
および→及び
凡そ→およそ
論う→あげつらう
肖る→あやかる
煩〔五月蝿〕い→うるさい
御為倒し→おためごかし
◆◆か行◆◆
却って→かえって
且つ→かつ
嘗て→かつて
辛うじて→かろうじて
極く→ごく
~する毎→~するごと
殊に→ことに
幽〔微〕か→かすか
擽ったい→くすぐったい
此方→こっち/こちら
此の→この
◆◆さ行◆◆
差し当たり→さしあたり
さっそく→早速
然〔併〕し→しかし
然るべき→しかるべき
頻りに→しきりに
したがって→従って
屡々→しばしば
暫〔姑〕く→しばらく
須臾→しゅゆ/しばらく
かも知れない→かもしれない
直ぐ→すぐ
精々→せいぜい
其れ→それ
然程→さほど
確〔聢〕り→しっかり
須らく→すべからく
さらに→更に
所為→せい
其方→そっち/そちら
◆◆た行◆◆
たおす、斃す→倒す
〜たち→〜達
忽ち→たちまち
度々→たびたび
多分→たぶん
~の為→~のため
ちなみに→因みに
丁度〔恰度〕→ちょうど
一寸〔鳥渡〕→ちょっと
ついに→遂に
思い付く→思いつく
手掛かり→手がかり
何処→どこ 例外・いずこ
~〔た・の・る〕所→ところ
兎に角→とにかく
滾〔激〕る→たぎる
偶々〔適々・会々〕→たまたま
心算→つもり
◆◆な行◆◆
~無い→~ない
乃至→ないし
尚→なお
仲々→なかなか
乍ら→ながら
就中→なかんずく
為〔成〕る→なる
成る程→なるほど
俄〔か〕→にわか
等〔抔〕→など
某〔何某〕→なにがし
犒→ねぎらう
◆◆は行◆◆
はたして→果たして
はるか→遥か
殆ど→ほとんど
捗〔果取〕る→はかどる
喫驚〔吃驚〕→びっくり
暈す→ぼかす
◆◆ま行◆◆
正に→まさに
先ず→まず
益々→ますます
又→また
迄→まで
~して見る→~してみる
むしろ→寧ろ
めぐる→巡る
若しくは→もしくは
以って→もって
尤も→もっとも
専ら→もっぱら
元々→もともと
最早→もはや
貰う→もらう
◆◆や・ら・わ行◆◆
軈て→やがて
矢張り→やはり
遣り方→やりかた
様→よう
漸く→ようやく
分る→分かる
解る→わかる
纔か→わずか
亘る→わたる
努々→ゆめゆめ
態々→わざわざ
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逢魔時「作ってはみたが、僕もこの通り行っている訳ではない。書いていると自分のパターンというのが生まれてきて、自然と形になってくるんだ。ただ、一つ言えるのは表記を統一するべきだということ。小説というのは読んでもらって初めて意味のあるものになるから、そのことを念頭に置きながら書くべきだと思うよ」
逢魔時「表記で思い出したけど、数字の表記は特にバラバラになるので注意が必要だ。2018/11/22と二千十八年十一月二十二日とというようにね」
白崎「確かに……私も書くときに気をつけなくちゃ」
逢魔時「……まあ、僕も完璧にできてはいないし、ある程度分かりやすいルールを定めておくといいと思うよ。そうすれば、読者の違和感も少なくできるだろうし」