美少年な私の事情と家族の混乱
母「空、空!着いたわよ!」
「んん…。」
お母さんの声に起こされる
「…おかーさん…おなか、すいた…」
母「んー、もう1時だしねぇ…」
「あ、そうなの…」
覚醒しきっていない頭で車から降り、家に入る。
海「あ!おねえちゃんおかえり!」
「うん、ただいま…」
母「まだ眠そうね?顔洗ったら?」
「ん…そうする」
顔を洗ってスッキリしてから、みんながいるダイニングへ向かった
父「空、学校はどうだったんだ」
あ…。すっかり忘れてた。
どこから説明するべきか…。
「んー、えーっとね、実は…男子寮に、放り込まれまして…」
少しの沈黙
今日何回目だろう…。
母「…えっ…?どういうこと?」
「えっと…。」
母「無理矢理なの?学校に問い合わせなきゃ…」
少し怒りの混じった母の声。
私のことを本当に思ってくれているんだなぁ、なんて今更実感する。
「お母さん、いいよ別に、ありがと。男子寮も楽しそうだし。本当は女子寮が良かったけど…。」
お父さんが重たく口を開いた
父「…どうしてそうなったんだ?」
「…三年生の生徒会長さんがいて、その人が重度の男嫌いだったの。」
母「それだけで?!男に見えるかもしれないけど、空は女の子よ!納得いかないわ!」
だんだんと怒りを露わにしていく母。こんなに怒ってるの母を見たのは初めてかもしれない…。
そんな母を見ていると、なんだろう…心の内でモヤモヤと何かが渦巻いている感覚がする
「お母さん、落ち着いて…続き聞いて…?えっと、その生徒会長さん、校長先生のお孫さんで…すっごく可愛がられてるらしく…」
父「生徒会長が頼めば、校長先生は空を男子寮に入れられると…」
父はあくまで冷静に私の話を聞いてくれている。
「うん…。それで、その人ね、学校ではまだ大丈夫らしいんだけど。女子寮の中で男の人を見るのはどうしてもダメなんだって。私こんなんだから、女子寮案内で会った時、男だと思ったらしく…」
父「追い出されたのか…。」
「…うん」
海「酷い!おねえちゃん可哀想!女の子なのに…」
海の突然の発言にすこし驚いた
「…!ありがとね、海。別に私は大丈夫。」
海「ダメだよ!あ!おねえちゃんが女の子の制服着れば…。いや、あれは…ううん…」
妹よ、ちょっと酷くないか…。
父「空、おまえの気持ちはどうなんだ」
「…私は…。」
そうか、私の気持ちか…
「私は…、男子寮でもいいと思ってる。私が男の子みたいに扱われるのは今に始まった事じゃないし…」
心にかかったモヤモヤが、少しずつ晴れていくような気がした
海「おねえちゃん…」
「生徒会長さんのあの様子だと、多分…あの人は男性恐怖症なんじゃないかって、だから、仕方ないかなって思うよ。」
みんなは黙って聞いている
なんかこの雰囲気イヤだなぁ…。
「だからっていやいやってわけじゃないの!今日できた男の子の友達、いい子ばっかりだったよ。私と真逆で、女の子みたいな男の子とか、すごく元気な子と友達になったの。」
「私、その子たちと話してて、男子寮も楽しそうだなって思えたの。」
母「…空、でも…あなた本当は…!」
「これは本心だよ。信じて、お母さん。…私、前向きに捉えようと思うの!こんなの、日本のどこ探したって私ぐらいしか体験できない事だよ…きっと!」
心の中で渦巻いていたモヤモヤを一気に吐き出すと、自分でも驚いた
私、こんなこと考えてたんだ…。
父「…おまえは、本当にそれでいいんだな。」
「うん…!」
父「もし、嫌になったり、嫌なことがあったりしたら。すぐ、連絡をしなさい。いつでも助けに行く…。」
すっかり落ち着いた母も、父に続いて口を開いた
母「まだすこし腹が立つけど、空が好きで選んだならそれでいいわ。高校生活、どうか楽しんでね…!」
「お父さん、お母さん…。ありがとう…!私楽しんでくるよ!」
海「…おねえちゃん!」
「ん?なに、海」
海「私、おねえちゃんと同じ高校はいる!私の今の頭じゃちょっと無理かもしれないけど…今から頑張る!絶対同じ高校入る!!」
「ふふっ、そっか!海と一緒に高校生活を過ごすなんて楽しそうだなぁ…!今から楽しみになってきたよ!」
海「うん!待っててね、おねえちゃん!」
可愛い妹よ…おねえちゃん嬉しいわ
今日は、私は幸せ者だな、と思えた1日だった…!
スッキリ心のモヤモヤも晴れて、明日からの高校生活にワクワクしすぎて、なかなか寝付けない…。
男子寮での生活、頑張ろうとおもいます…!