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人の傲慢

作者: 小淵執悲

気分を害すかも知れません。あらかじめご了承ください

「お兄ちゃん、お母さんとお父さんは?いつ帰ってくるの?」


妹のサキがここ数日帰ってこない両親の所在を聞いてきた


(父さんは出掛けるまえに、「今晩はご馳走だぞ?」と言って出ていった…数日帰らないということは………だがまだ幼いサキに伝えるべきか…?父さんは誰かに恨みを買うようなことをするひとではない。ただ勘違いで恨みを買ってしまうだけだ。でも勘違いでも恨みがあれば…)


「ごめんな、サキ…兄ちゃんにもわからないんだ。でも父さんと母さんが出掛けたとき、いい子にして待ってなさいって言われたろ?」


「う、うん…」


「だったらいい子にして待ってような?そしたら、きっと父さんも母さんも帰ってくるさ」


「で、でも…!」


少し目を潤ませながらこちらを見てくる


「どうしたんだい?」


「サキ…寂しい……早くお母さんとお父さんに会いたいよぉ」


「そうだね、二人がいないと寂しいね…でもいい子にしてないと二人が帰ってきたときにがっかりさせちゃうよ?」


「う、ううぅぅぅ」


「大丈夫だよ、サキ…父さんと母さんが帰ってくるまでお兄ちゃんがずっとそばにいてあげるからね?」


「…!うん!」


「よしよし、いい娘だ…今日はもう寝なさい?」


「お兄ちゃん…」


「なんだい?」


「寝るまで、手……繋いでてくれる?」


「あぁ、もとろんいいよ」


スッと手を出すとギュッと握り返してくるサキの小さい手


(震えてる…やっぱり俺一人じゃぁ二人の代わりなんて…でも俺がやらなきゃサキは…!)


「…お休み、お兄ちゃん」ニコッ


(クソッ、こんなに震えてるのに俺を安心させようと笑いかけてくるこの娘の優しさ、笑顔…守ってみせる!)


「あぁ、お休み、サキ」


その後すぐサキは眠った


プシューーー


(…?いったい、なんの音だ?)


プシューーー


(煙?…なんの…っぐ!!?)


「ゲホッゲホッ」


「う、うぅぅぅぅぅ…お兄、ちゃん……な、なんか苦しいよぉ」


「サキ!!?…くそ、この煙を浴びちゃダメだ!えーと」キョロキョロ


(くそっ、この体が動かなくなる煙…父さんが言っていた、シンケイケイの猛毒だと…こんなものをサキに浴びさせているわけには…!)


「お、にいちゃ、ん…」


「サキ、もう少し頑張れな?あそこは少し煙が行きにくそうだ…ほとんど煙がない。そこに行こう!」


「うぅ…うん…」


「頑張れ、あと少しだよ!サキ!」


「お、にぃちゃん…」


(くそ、誰がこんなものを…まさか父さん達を殺したやつか!!?父さんだけじゃ飽きたらず俺たち家族にまで…くそ、俺は別にいいが、サキだけは、サキだけは俺の命に変えても…!)


そう考えてる間にも刻一刻と煙は迫る


「おに、いちゃん…私…死ぬの?」


(サキっ!!?)


「サキっ!しっかりしろ!大丈夫だ!兄ちゃんが、兄ちゃんが助けてやるからな!?死なせるもんか!」


(たしか父さんが何か…)


~回想~


「いいかい、ギン」


「なに?父さん」


「もし、もし私たちが帰ってこなかったとき」


「へ!!?父さん達帰ってこないの!!?」


「違う、仮の話さ…父さん達がもし帰ってこなかったときは」


「う、うん…」


「サキを守ってやってくれるか?」


「!もちろんだよ、サキは大事な妹だ!僕が守る!」


「そうか…ならいくつか教えておきたいことがあるんだが…重要なことを先に」


その後父さんは俺にいくつか生き残るための方法を教えてくれた…その中の1つに


「いいかい、今言ったような毒ガス、それがきたら、すぐサキをつれて逃げるんだ。外に出れば奴らに見つかる可能性もある。しかし、その危険を乗り越えねば、明日はない」


「…!!?」


~回想終わり~


「そうだ!にげなきゃ!」


(だけどサキはかなり弱ってる…でも父さんはこの煙に長時間あたれば死ぬ、そう言っていた!一刻も早くサキを外に連れ出さなくては!)


「サキ!聞いてくれ!」


「な、なに…おにいちゃん」


「いいか、今は緊急事態だ…今すぐここを捨てて逃げなきゃならない…走れるかい?」


「でも…お父さんと…お母さん…は?」


(今は煙が当たらないからか少しずつだが調子が戻ってきているな…だがそれも時間の問題か)


「大丈夫、生きていればきっと会える!だから今は僕たちが生き残ることを考えるんだ!」


「う、うん!」


「よし、行くぞ!兄ちゃんの後に続くんだぞ?」


「うん!」


(絶対、絶対にサキは俺が守る!)


その後二人は走った、生き残るために…煙が彼らの体力を奪い、死が近づこうとも、妹を守るという気持ちと、父と母に会いたいという気持ちをもって、必死に走った


すると、パァッと煙が晴れた


「や、やった!抜け出した!!?」


「お、にいちゃ、ん…やった?」


『キャァァァァァァ!!?でたぁぁぁぁ!!?なんでよぉ!!?』


(!!?)


『ちっ、やはりまだいたか!このタイプ、強いっていうわりには効かねぇんだな…だがこれで終わりだぁ!』


バァァァァン!!!!


(…へ?)


いきなり現れたよくわからないものに怒鳴られ、動きを止めてしまった兄の後ろから大きな音がなり、爆風が襲う


(…後ろから…!!?サキっ)


「サキ!!?」


しかしその声は届くことはなかった


「サキ!サキぃ!!!!!?」


何かが上に上がっていったあと、残っていたのは無惨にも潰され、体液をぶちまけた妹の姿だった


「サキ…サキぃ……」


(そんな、俺が、俺が守るって決めたのに…そんな、こんなことって…)


『まだもう一匹!』


『分かってる…ったく、3日前に二匹見つけたからまさかとは思ったが、やはりいたか…ゴキブリホイホイも大して役に立たないのな…だがこれで終わりだ』


「あ、あぁ…」


バァァァァン


そうして、二人の兄妹の生涯は終わった

ありがとうございました


単に予備校の講習中に思い付いたネタです。


本命は別作品ですので~(笑)

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