プロローグ 【Ⅱ】 『神様と少年』
書写 ―とある神様―
人間の行く末は最初から決まっているものと云う。
人の人生と未来は最初から決まっているものと云う。
なら、人の人生と云う道もまた、決まっている一本の道しかないのだろうか?
少年にそんな事を聞いたら、少年は悲しそうな顔をして、こう答えた。
「そんな、何もない、楽しみの無い未来なんて、やだなぁ」
「だから、そんな言い伝えや考えなんてもう忘れてさ」
「こう、考えようよ」
「明日は、何があるかな? どんな事があるかな?」
「明日は、楽しい事があるだろうか? それとも悲しい事があるのかな?」
「明日なんて分からない。未来なんて分からない」
「人生の道なんて、数え切れない程に分かれていた方がいい」
「その方が、道の先が見えないから少し恐いけど、こう考えた方が、未来に、もっと、沢山の希望を見つける事が出来ると思うからさ」
少年は、そんな事を、涙を拭いながら言っていた。
人の人生と云う道は、その人のちょっとした行動で、変わるのだと云う。
人の人生と云う道は、限りなく、分かれているのだと云う。
少年のその言葉を、もう少し先の未来で、新しく伝えていこうと、神様は思った。