忘れられぬ恋
彼の名前は、佐山浩一、20歳、岐阜県出身。一年浪人して、国立大学、法学部に入った。
彼女の名前は、鈴木麻子、20歳、北海道出身。短大の英文科の2年生。
2人は、北海道の大学と短大に、通っていた。浩一も麻子も、寮に入っていた。
寮同士で、コンパを、やることになった。
大人数のコンパだった。10人対10人だった。
そこに、浩一と麻子も、参加した。麻子は、一目、浩一を見た時から、浩一の事が好きになってしまったのだ。爽やかで、男らしさもあって、優しい感じのする浩一は、素敵だった。そして、もてていた。
麻子は、アルコールを、飲んだ勢いで、浩一の傍にいき、浩一に、アピールしていた。彼女はいるのか、気になったので、聞いてみた。「彼女はいるの?」と、麻子がいった。浩一が答えた。「浪人時代は、付き合ってたけど、今はいないよ。」麻子は、とても嬉しかった。浩一も、麻子の事が、気になっていた。2人は、なんとなくいい雰囲気になっていた。
コンパか終わり、みんなが、帰る時、浩一は、麻子を寮まで、送って行くと言い出した。麻子は、とても嬉しかった。浩一は、タクシーを呼び、麻子と一緒に乗り込んだ。行き先は、麻子の寮だった。車中、もう、カップルの様になっていた。いろんな話をした。麻子は嬉しすぎて、有頂天になっていた。浩一は、最後まで、エスコートしてくれた。寮につき、麻子は、寂しかったけど、浩一とバイバイした。
麻子は、それまで、1度も、男性と付き合ったことがなかった。
翌日、浩一から、寮に電話がきて、昨日は、大丈夫だったのか、聞かれた。そして、ついに、デートの誘いを受けたのだ。「今度、友達も一緒だけど、会わないか?」と、言われた。とっさのことで、麻子は、戸惑いながら、用事を口実に、断ってしまったのだ。その後は、もう、後悔しかなかった。デートもしたことがなかったので、どうしていいのか、わからなかったのだ。麻子は、悲しくなっていた。どうして、浩一からの誘いを断ってしまったのだろう、と。でも、もうどうすることもできなかった。たぶん、同じ寮の他の誰かと、付き合ったのかな?と。それも、悲しかった。
それから、無理に、浩一のことを忘れようとして、勉強に打ち込んでいた。それでも、どうしても、忘れることは、できなかった。会いたくて、しかたなかった。
麻子は、卒業を間近に控えて、どうしても、もう1度、浩一に、会いたくなっていた。札幌の短大だったが、卒業すれば、函館に帰ることにしていたのだ。
冬の寒い夜、麻子は、思い切って、外の公衆電話から、浩一の寮に、電話をかけて、浩一を呼び出してもらったのだ。麻子は、震える声で、「コンパの時、知り合った、鈴木麻子です。覚えていますか?」と、聞いた。浩一は、「はい、覚えてます。」と、言った。麻子は、言った。「もう時期、卒業するんだけど、その前に、もう1度会いたくて、電話しました。会ってくれますか?」浩一の返事は、オーケーだった。麻子は、うれしくて、泣きそうになった。会う約束をして、電話を切った。
当日、2人がよく知っている、喫茶店で、会った。麻子は、一瞬、目を疑った。前に会った時よりも、たくましくなっていたのだ。見た目も、少し変わっていた。格闘技を、部活で、やってる、とのことだった。印象は、変わっても、間違いなく、浩一だった。
麻子は、浩一に、「あの時から、ずっと好きでした。」と、言った。浩一は、ただ、うなずくだけだった。浩一の方は、なぜか、テンションが、低かった。麻子の言葉には、あまり、反応は、示さず、「卒業したら、函館に帰るんでしょ。」と、冷静に、言った。麻子は、「はい。」とだけ言って、会話が途切れた。
麻子は、この何ヶ月かの間に、2人の歯車は、狂ってしまったのだと、思っていた。
浩一は、少ししてから、バス停まで、送るよ、と、言って、2人で、歩いた。お互い、これからも、頑張ろう、と言ってわかれた。麻子は、今日は、会ってくれて、ありがとうございました、と、最後に、浩一に、言った。
結局は、何の進展もないまま、2人は、別れ別れになった。麻子は、卒業して、函館に帰った。浩一は、大学生活、残りを、頑張った。
函館に帰ってからも、麻子は、浩一の事が、忘れられなかった。お付き合いした人も、いたけれど、結婚には、結びつかなかった。
麻子は、今も、浩一の事が忘れられないまま、一人でいる。
もし、2度目に会った時、札幌にのこると、言っていたら、恋は、復活していただろうか、と、今でも、思っている。




