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何者でもなく、何者にもなれず、今後とも何者かになるつもりはない  作者: 中原 誓
冬の章

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6/20

晴れ、まれにAI

 マイクロソフト系検索エンジンのAIを使っている。


 主に、調べ物の助手になってもらっているわけだが、この助手、たまに嘘をつく。知ったかぶりも激しい。

 矛盾点を指摘すると、『すみません』と謝りながら、また虚実入り混じった報告をする。

 再び矛盾点を指摘すると、すみません、実はコレコレこういう事が私は出来ませんと言う。


「なら、最初からそう言えよ……」


 まるで、新入社員である。


 潜在能力はすごい。

 だが、細かく指示をする必要があるし、出来ない事も多い。

 たとえば、一枚のスナップ写真の背景からものの数秒で場所を特定できると言うが、若い頃の父がどこかで撮った写真の場所はついに特定できなかった。

 どこかの大きな温泉宿の前で撮った写真だった。看板の横に若き日の父がいた。南の方だったのか、ソテツの木も写っていた。


 おそらく今はもうない場所なのだろう。


 デジタルデータにないものは、AI君だって推測しようがない。


 本人に聞こうにも、その写真を見たのは父の通夜の席だった。




 もう一つ。


 AI君、君、読書感想文は苦手だろう?


 私の小説を二つ指定して、AI君に感想文を書かせてみた。

 一つはごく普通の感想文――ほめてくれてありがとう――だった。

 もう一つは、『他の人の小説を読んだの?』というくらい的外れなものが返って来た。


 その二つの違いは、指定した作品の感想欄が閉じらているか、いないかだ。


 その時のAI君は、他の人の感想を分析して感想文を書いたらしい。感想欄が閉じられていた方は、タイトルとあらすじで推測し、似たようなモチーフの、他の人の小説の感想を持ち出して参考にしていた。

 出典箇所に『群像』の名前があってひっくり返りそうになった。


――AI君、私は『群像』に載るような作家じゃないからね?


 いくつか試してみた結果、AI君にまともな感想文を書かせようとしたら、入力欄に、本文をコピペするか本文の載っているURLリンクを貼り付ける必要がある事を知った。


 面倒くせぇ




 AI君、君はまだまだ学習が必要のようだな。


 それでも君は、これからどんどん成長して行くだろう。私との会話だって、いつまでも、いつまでも覚えているのかもしれない。


 けれど


 風に流れる雲も、

 光をまとった灰青色の冬空も、

――今日、私が目にしている全てを――君が知ることはないだろう。



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