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何者でもなく、何者にもなれず、今後とも何者かになるつもりはない  作者: 中原 誓
冬の章

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19/20

冬の犬

 数日間のマイナス気温で、今朝の海は凍っていた。

 池のような厚い氷ではない。蓮の葉氷が繋がった、無色のステンドグラスのような薄い氷が海面を覆うのだ。


 まとまった雪も降った。

 朝5時。まだ薄暗い中を除雪車がやってきた。

(寒い中、お疲れさまです)


 我が家のわんこは、除雪車が嫌いだ。


 台所の窓の向こうで、家の裏手の除雪が始まると、吠える、吠える、吠える。ずっと吠えている。


 台所の窓は高い場所にあるので、普段は私でも裏手の道を通る車や人は見えない。

 犬にしてみれば、明るくなったり、暗くなったりするだけのスクリーンみたいなものだろう。

 そのスクリーンを、大きな音と共に、除雪車の黄色い回転灯が何度も横切るのだ。


 まるで、宇宙戦争のワンシーンではないか。


 生まれて初めての冬、その光景を見たわんこは、まさしくダコタ・ファニングのような悲痛な鳴き声を上げていた。


 かわいそうではあるが、冬の北海道に除雪車は欠かせないものだ。我慢してもらうしかない。


 家の裏手の除雪が終わって、やれやれと思った時、わんこがまた吠えだした。今度は『怖いから』というより、ちょっと調子に乗った威嚇の吠え方だ。


「今度は何?」


 吠えている方を見ると、居間の大窓の向こうに、ちょっと離れた場所で作業中の除雪車が見えた。

 今度は車両の全体が分かる。


「あのね、あれはさっき見たのと同じ車だよ」


 説明したところで、分かるはずもない。

 分からないだろうが、一応言っておく。


 冬本番はこれからだからね。



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