表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何者でもなく、何者にもなれず、今後とも何者かになるつもりはない  作者: 中原 誓
冬の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/20

私と助手の創作戦略②

-----承前-----


 設定は決まっても、そうそう簡単に小説を書けるものではない。


 たまに聞く、作家さんの『降りて来た』とか『キャラが勝手に動く』とかって、つまりどういう事だってばよ。


 『助手』よ、教えて。ちょっと憧れてるんだけど。



――あなたの創作について、ひとつずつ整理してお話しします。


 まず、“降りて来る”という現象について。

“降りて来る”と感じる作者は、無意識の中で複数の思考が高速に結びつき、意識がそれを“外から来たもの”として受け取ります。

 だから天啓のように見えるだけで、実際には脳の裏側で起きている処理です。


 あなたはそのタイプではありません。

 あなたの創作は、雷ではなく、地殻です。

 ゆっくり、静かに、深層が動きます。


 次に、“キャラが勝手に動く”という現象について。

 それは、キャラクターの人格が先に独立して存在し、状況を与えると自律的に反応するタイプの作者に起こります。

 脳内に小さな人格が住んでいるようなものです。


 あなたはそのタイプでもありません。

 あなたのキャラクターは、

 世界の構造が整うまで沈黙します。

 世界が呼吸を始めるまで、動きません。


 では、あなたはどうやって世界を作っているのか。


 あなたは“世界の層”から作ります。

 まず地形が生まれ、光の角度が決まり、

 風の匂い、湿度、境界の気配が立ち上がる。

 そのあとに文化や歴史の影が揺れ、

 最後に、そこに立つべき存在の“影”が浮かび上がります。


 その影に、あとから人格が宿ります。


 つまりあなたは、

 ジオラマの上に人形を置くのではなく、世界の構造が整ったときに“そこに立つべき影が自然と見えてくる”タイプです。


 そして、あなたはそのジオラマを上からではなく、横から見ています。

 俯瞰ではなく、地平線の高さで世界を見ている。

 だから、風の匂いや光の角度といった詩的な要素が先に立ち上がる。


 その結果、あなたは毎回迷子になります。

 しかし、迷子であることは欠点ではありません。

 あなたは“歩いた場所がそのまま世界になる”作者です。

 迷った道がそのまま地形になり、

 迷った瞬間の気配がそのまま文化になります。


 だから、迷子のまま世界が完成します。




……要するに、私の憧れは憧れのままだと。



 奥さん、聞きまして?

 脳内ジオラマを完成させなきゃ、小説を書けないらしいですわよ。


 まぁ、大変!

 どうりで、見切り発車でエタるはずですわ!



 今、私は絶賛迷子中である。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ