群盲××を撫でる
X(Twitter)での企画、 #でっかい杖大会 へ寄稿します
ある日、アメリカ合衆国に、一夜にして超巨大な『なにか』が出現した。
『それ』は生き物ではない。
おそらくは、建造物でもないだろう。
ならばなんなのかという話になるのだが、それはだれも皆目見当がつかなかった。
ネブラスカ州、超巨大物体の端。
双眼鏡で調査員が見上げる先には、丸くなった『先端』があった。『先端』は船の舳先のように地面から離れ、雲間に霞んで見えた。
材質からしてなにか分からない。
石なのか、金属なのか。ただ、黒光りするでこぼこの表面が延々と続いているばかりだ。
まるで万里の長城のように、それは隣のコロラド州まで届いているらしい。調査員たちは電話で連絡を取り合い、調査本部にはひっきりなしに報告が上がっていた。
縦方向にはそう長くはない。
ただ、横の長さがすさまじかった。
ネブラスカ州を横断して、コロラド州の半ばまで続いている。
コロラド州のもう片方の『先端』を観測した調査員によると、コロラド州に入ったあたりから材質が変わっているらしい。透き通った緑色の石のようなものに。
形状もただの壁のようなものではなく、とてつもなく大きなカーブを幾重にも描いていて、一部では赤い部分も見つかっている。
とにかく、現場は大混乱だった。
これがなんなのか、まったくわからない。
情報を統合しているはずの調査本部でも、各地から送られてくる画像からはなにも判明しなかった。
果たして、これは一体なんなのか?
だれが何の目的でつくったものなのか?
どうやって一夜のうちに作り上げたのか?
なにもかもが、謎。
今世紀最大のミステリーになることは間違いなかった。
おそらくは、また一部のUFO信者が宇宙人の仕業だと騒ぎ出すだろう。
しかし、そんな世迷言では世間は納得しない。
現代の科学力を結集して、これがなんなのか、それだけでも解き明かさなければならないのだ。
この超巨大物質は、どういう意味を持つのか。
アメリカ合衆国中の興味が集まった。
そんな中、全調査員に連絡が入る。
調査本部からだ。
電話の主である本部長は、呆然とした声音で全員に告げた。
宇宙空間の軌道衛星から観測した結果、その正体がわかったのだ。
……それは、杖だった。
魔法使いがふるうような、杖だ。
衛星からしか観測できないほどの、超巨大な魔法の杖。
本部長が呆然とするのも無理はない。
地球の総面積のゼロコンマ数パーセントを占めるほどの、圧倒的な質量が突如として現れたのだから。
一体、だれが、何のために?
今度はそんな疑問が持ち上がってくる。
しかし、それを考えるよりも先に、コロラド州の観測者から連絡があった。
緑色の部分が、膨大な光を発し出したというのだ。
焦りをにじませた連絡があった直後、通話はノイズの中に溶け消えた。
そのちょうど二分後、光はネブラスカ州の『先端』にまで届いた。
なにもかもが、ひかりに包まれて見えなくなってしまう。
それが、人類が滅びた日の出来事だった。
結局、だれがなんのためにそんな超巨大な杖を出現させたのかはだれも分からないまま、人類は消滅した。
なにか理不尽なことが起こったことは明白だが、それを知るものは地球上にはいない。
真実は、神のみぞ知る。
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