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HILU  作者: サキ・ヒルズ
32/34

愛そう この世が君を、否定しても

彼女は、僕の家にはいなかった。


彼女は、僕の眼の前に現れてくれた。


正確には、僕達の前に…


「カナ…なんで、アンタがここに…」


なぜか、僕より、

姉のほうが、

カナに驚いていた。


カナは、昨晩と違い、

正装で、整った服を着て、

体のどこにも、

血の跡はなかった。


「サキ君…やっぱり、ここにいたんだ」


カナは僕を見て、

悲しそうな顔をした。


「ねぇ…エスドリア…」


カナは、姉に向き直った。


「私ね、死のうと思うの」


姉は苦笑いした。


「そ、そう、」


カナは笑った。


「あなたは、サキを殺した。

腹を割いて、子宮を踏みつけて、お腹に糞を詰めた。

私の片目を、鉄棒で潰した。

サキの死体を、私に食べさせた。」


姉は笑う。


「何?復讐にでも来たの?」


カナは、首をふる。


「復讐なんてそんな、

私はただ、自殺しに来ただけよ」


カナは、その場で服を脱ぎ始めた。


「ちょ、ちょっと、」


さすがの姉も、

カナの意味不明な行動に、焦っているようだ。


でも、すぐにカナのやりたいことがわかった。


「なんてことを…」


カナの前面は、全て削がれ、内臓がほとんどなく、

そのかわり、すごい量の火薬を、


詰め込ませていた。


「ここに来るまで、たくさん燃料を撒いてきた。

みんな、燃えてなくなるね」


カナは、大声で笑う。


僕のせいだ。

僕が、彼女の行動を否定したから。


気取って、真面目なふりをしたから、

僕が彼女を、あんな風にした。



「カナ…カナ…」


僕は彼女に近づく。


一緒に爆発してもいいと思った。


「サキ君…私、駄目だったよね…

死んだほうが良いよね?

そうだよね?」


彼女は、縋るように僕に問う。


彼女はもう戻れなくなった。


ここで、彼女の行動を否定すれば、


彼女は、きっと悲しむ。


彼女は、元々、死にたかった。


それに助長してしまった。


でも、僕は…


僕は彼女を抱きしめた。


「僕は、君に死なないでほしい…

愛しているんだ…」


僕がそういった瞬間、

彼女の目から、


涙がたれた。


感情に、飲まれ、

もう爆発するか、死ぬかしかない彼女。


爆発する理由さえ、僕は消した。


「もう、私、戻れないよ…

君を愛せないよ。

なんで…なんで?

死にたくないよ…」


カナは、大粒の涙を流す。


僕は、力を強めた。


「一緒に死のう、カナ」


僕は、死臭のする彼女に、

火をつけた。














































































































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