死んで。
私は、教会で生まれた。
正しくは、教会で捨てられた。
見つけたのは、少し小太りの教徒だった。
そいつは私を拾い上げると、
男は、教会の中へ行き、
男より位の高そうな教徒に、
私を見せた。
教徒は、
悲しそうな顔をしたが、
同時に、口角も上がっていた。
神が与えたものだとでも、思ったのだろう。
私は、思った。
多分、幸せにはなれないだろうと、
予想は、当たった。
教会は私を育てた。
凄く凄く、愛をくれた。
でも、それは、七歳までだった。
私は、神父のおじさんに、
暗い部屋に閉じ込められた。
私は聞いた。
「何をやるんですか?」
神父は言った。
「神への一芸ですよ」
神父は、私の爪を剥いだ。
小指から、薬指、
中指から、人差し指、
そしてら親指、
私が泣き叫ぶと、神父は大笑いした。
そして、爪のなくなった指の肉に、
とても細い、針を少しづつさした。
血が沢山でた。
神父は血を見て、
ニヤニヤが止まらないみたいだった。
私は分からなかった。
神様は、こんなものが好きなんて、
信じたくなかった。
どれだけ叫んでもやめて貰えない。
おかしくなりそうだった。
すると、神父は、叫ぶ私に、
一つの約束を付けた。
「一人で、しりとりをしてください」
私は意味が分からなかった。
でも、神父はそれだけ言って、
私をまた痛ぶる。
もしかしたら、やめてもらえるのかも、
そんなことを考えていた。
「り、りんご……あぅ……ゴム
……あぁぁっんっ……むし……きぅ……シルク」
私は、ひたすら、
語末の言葉から、別の言葉を考えた。
でも、神父の手は、
休むことを知らずに、
今度は、私の股に、
熱した鉄の板を押し付けている。
「ああぁぁぁ、こ、こしょう……んんぁ……うじむし……し、しか……あぁぁ……か、かみ、かみさま」
私はいつしか、言葉に縋っていた。
永遠と終わらない苦痛。
もう、殺して欲しかった。
私は涙を流しながら、
ひたすらに、しりとりをする。
神父は、にやにやしながら、
私から切り取る。
耳たぶを、
ハサミでジョキンッと、
私の耳たぶを切る。
「あ、あぁ、あぁぁぁああ」
私は痛みが限界に達したと思った。
舌が、これ以上、言葉を吐くことを許さない。
もうでるのは、嗚咽と呻き声だけだった。
すると、神父は、ついに手を止めて、
私に手当を施した。
そして言った。
「また、来月」
私には、何も聞こえてなかったが、
これだけはわかった。
神父は、私の死なないギリギリを攻めるため、
私にしりとりをさせたのだ。
言葉が吐けなくなったら、
そこで終了。
私は、言葉に救われていた。
神なんかよりも、もっと。
それから、私は、
毎月の十七日の十七時。
神父に拷問された。
時に、部下の教徒を連れて、
何人かで、私を犯す事もあった。
でも、毎回、
死なないギリギリを攻めるから。
私は死ねない。
それが続いた。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も
何度もね。