誤って。
あの子は、
街一番の金持ち。
父はこの街の町長で、
母は外国からこの街に来た資産家。
住居は、
誰もが羨む庭付きの大豪邸。
食べてるものも、
次元が違う。
そんな、幸せの模範は、
ひとつだけ、欠けていた。
あの子は障害者。
左腕と、右手の中指と小指がなく、
大脳が少し凹んでいる。
体の部位欠損はどうでもいい、
大脳の凹みがまずかった。
彼女は、倫理観が欠如してしまった。
ためらいという、誰もが持っている緩徐がなかった。
そのせいで『サキ』は死んだ。
サキの死体は、たいへん惨たらしかった
顔は、原型がなくなるまで踏み潰され、
四肢が引きちぎられていた。
お腹のあたりが刃物で切り裂かれ、
文字通りハラワタが飛び出ている。
特に酷かったのが子宮で、
子宮口までの性器全体に、牛糞が詰められ、
卵巣を切り取り、サキの口につめている。
サキは、この街の貧民の住まうスラムから、
友達に会いに来たらしかった。
そこで、あの子に見つかり…
その友達とされる『カナ』は現在行方不明となっている。
この殺人を機にあの子は、
街で度々、殺人を行うようになった。
死体はどれも惨たらしく、
誰を誰と断定できるものがなかった。
そして、いつの日かこの街で、
ある噂が立ち始める。
深夜すぎると、
狂人に食い殺されるという。