表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
HILU  作者: サキ・ヒルズ
24/34

働いて。


男、『ガブリエル』は、

殺人者だ。


片親だったガブリエルは、

自分のためだけに身を削る母を、

心から愛していた。


ガブリエルが十六歳の頃、

母親が、街の流行病にかかり、

働けなくなった。


その影響でガブリエルは、修道院をやめ、

働きに出ることになりました。


ありがたいことに、

恩師である教徒が、働き先を見つけてくれ、

心学に長けていたガブリエルは、

街の教会で務めると同時に、

市民のあらゆる不満や悩み、恐れを聞く、

相談役として駆り出されました。


教会でのお給紙はそこまで高いものではありませんでしたが、

母の病院代には、十分でした。


そしてガブリエルは、母の気が良くなるよう、

母の名が刻まれた、

魔除けのロザリオをあまったお金で買い与えました。


母は大変喜び、日中はそれをずっと着けるようになりました。


ある時、いつものように務めていたガブリエルは、

その神父に呼び出せれました。


内容は、懺悔室となるものが新しくできたので、

ガブリエルに、その役を任せたいと、そういった話でした。


特に断る理由のなかったガブリエルは、

あっさり引き受け、相談役と並行して、

懺悔室を請け負いました。


ガブリエルは、対して相談役と変わらないものと考えていました。

ですが、それは愚かな考えでした。


一番最初、初めの客は、男です。

声を聞くに中年か、またそれ以上か、

ガブリエルは聞きました。


「今日は、どうされましたか」


ガブリエルの声に男は一瞬だけ体を震わせ、

鼓動が早くなりました。


声をかけようと思ったその時、

男は話し始めました。


「あ、あの、こ、ここで話したことは、

外には、漏れないんですよね…」


ガブリエルは嫌な予感がしたが、

教え通り、


「真実を話し、己の罪を受け入れることで、

神は、あなたを許すでしょう。

ここでの話は、外に漏れることはありません。

今話す、私と、あなた以外は、

絶対に知ることはありませんよ」


それ聞くと、男は安心したのか、

ため息を付き、首を下から上にあげました。


「わ、私は、この街で、

医者をしているものです、

…あなたも知っていると思いますが、

この街には今、流行り病が蔓延しています」


「えぇ、知ってますとも、

近隣の修道院が、

流行り病の患者様で、

埋め尽くされてしまった。

本当に恐ろしいですね」


「はい、それで、私も駆り出され、

日々、解決法を探しています…」


男の声が急に低くなる。


「それはそれは、本当にお疲れ様です。

原状回復を、私も神に願います」


「はい、教徒様に言ってもらえるとこころ強い…

それで、実は、その解決法…

もう見つかっているんです」


「…はい?どういうことでしょうか」


「…もう、すでに、流行病は、ただの病気に成り下がりました。

治そうと思えば治せるのです」


おかしな話だった。

今でも修道院には、数え切れない患者と、

救えずに死んだ、

哀れな死者が多数いるのです。


ガブリエルも、その病に侵された母親を救うため、

毎日教会で金を稼いでいるのです。


男は息を飲んだ。


「これは、教会の方針です…

病への治療費と入院費、教会への献金、

はっきりいうと、流行り病は一番儲けるんです」


「……」


「ただの町医者の私は、口止めに利益の二割を、

受け取ってしまいました。

でも、罪の意識が、頭から消えなくて、

かといって相談できる内容でもなくて…」


男は泣いていた。


ガブリエルはその内容に、返せる言葉がなかった。

眼の前で泣いているのは、長い事母を苦しめている悪。

だが、ここは懺悔室、

どんな罪人も受け入れないといけない。


ガブリエルは、引き受けたことを後悔した。


男はそれから、自分を正当化する文言を垂れ流し、

ガブリエルの前で、自らを慰め始めた。


ひととおり話した男は満足すると、

ガブリエルに話しかけた。


「私は…許されるでしょうか…」


(許されるわけ無いだろう)

ガブリエルは心で即答した。


だが、ここは懺悔室、どんな罪人も、

罪を告白したならば、許さないといけない。


「は、はい、罪を受け入れ、自らを戒めれば、

神様はきっと、あなたを許すでしょう」


その言葉に安心したのか、

男は、満足げに出ていった。


残ったのは、不満の残ったガブリエルだけだった。


「…」


それから日の経たないうちに、ガブリエルは教会をやめた。

正しくは逃げた。


もう、誰の言葉も、信じられなかったからだ。


ガブリエルはそのまま、母のいる修道院へと向かった。

母を、そんなところで死なせるわけにはいかなかった。


修道院につくと、

そこでは丁度、

死んだ患者達の火葬が始まっていた。


修道院では、これ以上の感染を防ぐため、

死体を集団で燃やし、

菌を消滅させるのだ。


ガブリエルは、すぐに、母のいる病室に向かいました。


だが、

ベットの上には誰もいません。


ガブリエルは、嫌な予感がしました。


すぐさま、火葬場へいくと、

死体は既に、だが誰だか、わからなくなっていました。


真っ黒に焦げた、肉の匂いに、

吐きそうになりながら、

ガブリエルは、燃えカスとなった死体を漁り始めました。


もちろん見つかるわけがありませんでした。















































































































































































彼は、彼女の母親を犯し、

孕ませた。


母親となる女性は

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ