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幸せ。
私は彼を離した。
食べては、いけないと思った。
手を離した瞬間、彼は一瞬固まると、
私を蹴飛ばして、“ダッ”と走り出した。
「はぁっはぁっは」
お腹辺りが蹴られたが、痛みはない。
むしろ、彼からの暴力。
私は…嬉しかった。
ここで初めて私は、愛を知ったのだ。
好き、好き、好き、愛してる。
食べる事は食欲を満たす。
寝る事は、睡眠欲を満たす。
彼といる事は、性欲を満たす。
こんなにも、人生最高潮のチャンスがあったのに、
こうもあっさりとなくしてしまった。
でも、そう悲観する事はない。
彼は、私と同じ、HILUなのだから、
彼は、私の、運命の相手なのだから。