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HILU  作者: サキ・ヒルズ
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押して。

彼女は、


何もしなかった。


首を噛み、そして僕を食べようとした。


多分、食べようとした。


でも、食べなかった。


そこでそっと口を離して、

僕の涙を舐めた。


また、感情が増えた。


これは、疑問。


さっきまで、僕の事を殺そうとしていた彼女が、

今、犬みたいに顔を舐めた。


正直、悪い気はしなかった。

血塗れで、目の焦点が合ってなかったけど、


一つ、美しいな。


そう思った。


彼女は美しかった。

まるで食人鬼とは思えない美貌。


そんな子に、顔を舐められた。


これは、高揚しないわけがない。


僕は恐怖していた。

そして勃っていた。


恐怖は生存本能を無理やり引き出すんだなと、

そう思った。


彼女は、血のついた舌を向けて一言。


「あなたも……」


そう言った。





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