第95話「まだ足りない」
5月になりましたね…!
今月23日
ついに
『数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました』
1巻が発売されますので、是非是非よろしくお願いします(≧◇≦)
大人気作になって、アニメ化したい…!
ひげ猫先生がめっちゃ最高なイラスト描いてくださってますので、
是非是非よろしくお願いします(#^^#)♪
「思わせぶりって、何を想像したんだ……?」
顔を真っ赤にして怒る美咲に対し、俺は戸惑いながら尋ねる。
「ゆ、ゆえないよ……!」
しかし美咲は、そう言って両手で顔を隠してしまう。
うん、まじで何を想像した?
「……まぁ、いいか」
美咲が変な想像をしたのは間違いないのだけど、泣き止んだのは都合がいい。
「元気になったなら、膝から降りてくれ」
「……やだ」
ポンポンッと背中を優しく叩くと、美咲は離れないという意思表示なのか、再度ギュッとしがみついてきた。
そして、顔を俺の胸に押し付けてくる。
「えぇ……」
当然、こんな反応を取られた俺は困ってしまう。
目の前には笹川先生がいるのだが、美咲はお姉さんの存在を忘れてしまったのだろうか?
「座らせてすぐ降りろは、いじわるだと思います……」
美咲は顔を押し付けてきたまま、頬をプクッと膨らませている。
膝の上を気に入っているようなので、座った以上すぐに降りたくないようだ。
精神的に追い込まれていたから、いつも以上に子供になっているな……。
――というか、そろそろ終電がやばいんだが……。
「そういえば、今日はお友達と出かける予定だったんじゃないですか?」
ここで無理に降ろすと美咲の機嫌が悪くなるのは明白なので、俺は笹川先生に話しかけることで美咲が満足する時間を作ることにした。
もちろん、美咲の機嫌が早く良くなるように、頭を優しく撫でている。
「あっ、そうだったのですが……友達に熱が出てしまい、今日の予定はなくなってしまいました」
なるほど、それで部屋で寝ていたというわけか。
美咲が日付を勘違いしたというわけではなかったらしい。
「先程美咲に頼もうとしていたのは、晩ご飯ですか?」
彼女が最初部屋を訪れた際にしていた発言を拾い、俺はそう尋ねてみる。
「えぇ、まぁ……恥ずかしながら、私は料理が苦手でして……」
「……家事全般ね」
笹川先生が苦笑しながら話す中、俺の胸に顔を押し付けている美咲がボソッとツッコミを入れる。
小声だったので、笹川先生は気付いていないようだ。
「いつも美咲が遊びに来た際には、この子に作ってもらっているんです」
それで、美咲がいることに気付き、ご飯をお願いしに来たというわけか。
――ちょうどいいな。
ある案が思い浮かんだ俺は、美咲が満足したらある提案をしてみようと思うのだった。