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第71話「告白」

 美咲は切実そうに、ギュッと胸の前で手を組む。

 彼女にとって、とても大切なことなのだろう。


「相変わらず、まじめだなぁ」


 言い直しても意味は変わらず、ましてや俺に伝わる気持ちも変わらない。


 無意識だったとはいえ返事をしたのなら、それで終わらせればいいと思うのだけど――

「そんなんじゃないよ……。けじめ、だから……」

 ――彼女にも、思うところがあるのだろう。


「わかった、聞かせてくれ」


 俺は美咲がテンパらないように優しく言い、なるべく心愛を見つめるような温かい笑顔を意識して、美咲を見つめる。


 彼女が変わろうとしていることはわかっていた。

 今まで逃げ回っていたり、流れに身を任せて嘘を言ってしまう彼女が、ちゃんと向き合える人間になろうとしているのだ。


 だったら俺は、ちゃんと彼女と向き合い、彼女の言葉を待たなければならない。


 それが、美咲の成長に繋がる。


「ちょっとだけ、待ってね……」


 気持ちを作る時間が必要なようで、美咲は深呼吸を始める。

 こういうところは、マイペースな女の子だと思う。


 だけど、俺は既に彼女の気持ちを知っているわけなのだし、落ち着いて待つことができた。


「――よし……!」


 二分ほど深呼吸をしていた美咲は、覚悟を決めた表情を浮かべた。

 優しくて天然な彼女には珍しく、意気込んでいるのがわかる。


「わ、私もね、来斗君のことが……好き、だよ……」


 覚悟を決めた彼女から発された声は、霞むようにとても小さかった。


 せっかく深呼吸をしている間に戻った顔色も、また真っ赤に染まってしまっており、無理をさせて申し訳なくなってくる。

 しかし、その分彼女の気持ちも伝わってきた。


 頑張ってくれたんだな……。


「うん、ありが――」

「え、えっとね、来斗君って素っ気なくていじわるなところもあるけど……」


 お礼を言って終わり――そう思ったのだけど、美咲は話を続けてしまった。

 多分、舞い上がっていて俺が声を発したことにも気が付いていない。


 というか、言われていることは悪口か?

 悪口だよな?


「でも、私のことちゃんと考えてくれたり、優しくしてくれたり……甘やかしてくれるから……凄くいいなぁって思ってて……大好き、なの……。だから、お付き合いしたい……」

「――っ」


 不意に向けられた、照れくさそうなかわいらしい笑み。


 ドクンッと胸が高鳴り、彼女の笑顔へと視線が引き寄せられる。


「あっ……」


 見つめていたせいだろう。

 美咲は、何かに気が付いたように目を開く。


 そして、落ち着きなくキョロキョロと視線を彷徨わせ――覚悟を決めたように、ギュッと目を瞑って顎を上げた。

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