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第59話「突き刺さる言葉」

「――ごめん、ちょっと席を外すな」


 一緒に食事をしてから数時間が経ち、来斗君のお部屋でゆっくりとしていると、来斗君は突然立ち上がって部屋を出て行ってしまった。

 おそらく、おトイ――(きじ)を撃ちに行ったんだと思う。


 甘やかしてくれる人がいなくなった私は、彼のベッドでスヤスヤと気持ちよさそうに寝ている心愛ちゃんの顔を覗き込んだ。


 寝る子は育つというので、よく寝るこの子は健やかに育つと思う。

 というか、そうなってほしかった。


 私は血が繋がっていないけれど、一緒にいることが多くて本当の妹のように思っているから。


 ――もしかしたら、本当に義妹(いもうと)になるかもしれないし。


「ふふ……心愛ちゃんと姉妹になれたら、凄く嬉しいなぁ」


 昔から妹がほしかった私にとって、心愛ちゃんは理想の妹と言っても過言じゃない。

 来斗君が素敵なお兄さんだからこそ、こんなにもかわいくていい子に育っているのだとは思うけど、天使のようにかわいいので私の妹になってほしいと思っている。


 心愛ちゃんも私のことを《ねぇね》と呼んでくれているし、お母様は優しいし、来斗君はとても素敵だし――このお家は、私にとってとても居心地がいい。

 ずっとここに居たいくらいだった。


 さすがに、一緒に住まわせてください――とは、言えないのだけど。


「――美咲ちゃん、ちょっといい?」

「お母様?」


 突然ドアがノックされ、来斗君のお母さんが部屋を覗き込んできた。

 来斗君に用事ならタイミングが悪いのだけど、私の名前を呼んだということは私に用事があるようだ。


「どうかなさいましたか?」

「こっちに来てくれる?」


 ここで何か用事を言われるのかと思ったけど、場所を移すらしい。

 私はチラッと心愛ちゃんを見る。


「大丈夫よ、来斗はすぐに戻ってくるだろうから」


 お母様は勘がいいようで、私が心愛ちゃんを見た理由をすぐに察したようだ。

 寝ているとはいえ、幼い子を一人にするのは不安があるけど……確かに、来斗君はすぐに戻ってくると思う。


 お母様に悪い印象を持たれたくない私は、言う通りに従うことにした。


 そして、リビングに降りると――

「来斗が美咲ちゃんを離さないから、こうでもしないと二人きりで話せないのよね~。あの子の独占欲にも、困ったものだわ」

 ――お母様は、私の前にお茶とお茶菓子を置いた。

 長話をするつもりらしい。


 来斗君は、私がいないことにすぐ気付くと思うんだけど……いいのかな……?


「彼女冥利(みょうり)に尽きますね……」


 本当は、私を離したくないんじゃなく、私がお母様相手にボロを出さないように、自分の部屋に居させてくれてるだけだと思う。

 でも、お母様に勘違いして頂いていたほうが、私たち(・・)にとって都合がよかった。


 ――そんなことを考える私に、お母様の信じられない一言が突き刺さる。


「そうよね、本当の(・・・)彼女なら」

「……えっ?」


 私は聞き間違いかと思い、思わずお母様の顔を見つめてしまう。

 そんなお母様は、ニコッと笑みを浮かべて首を傾げた。


「どうして、恋人のフリなんてしているの?」

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