表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/139

第54話「甘やかし好き」

「……私が甘えん坊なら、来斗君は甘やかし好きだよ……」


 撫でて甘やかしていると、突然美咲が物言いたそうな目を向けてきた。

 反抗のつもりらしい。


「意味がわからないな」

「私や心愛ちゃんを、嬉々として甘やかしてる……」


 心愛はともかく、美咲を相手にそんな様子を見せたつもりはない。

 随分と都合がいい解釈だ。


「甘やかし好きなら、誰でも彼でも構わず甘やかしてる気がするけど?」


 少なくとも漫画やアニメだと、そんな感じに描かれている気がする。

 まぁ男キャラではなく、女性の年上キャラだけど。


「それを言うなら、私だって来斗君にしか甘えてないし……」


 俺に甘えていることは認めるらしい。

 まぁこれだけくっついてきているのに、本人に自覚がないはずがないか。


「俺が甘やかし好きなら、美咲はどう思うんだ?」


 美咲がなんで引き合いに出してきたのか気になったので、反応を見てみることにする。


「私と心愛ちゃんだけなら、いいかな……」


 それはつまり、心愛以外の他の人を甘やかすのは許さないということだろう。

 清楚可憐で優しそうな顔をしておきながら、意外と独占欲があるようだ。


「他に甘やかす相手なんていないだろ?」

「氷華ちゃんとか……?」


 俺が鈴嶺さんを甘やかす?


 少し、彼女を甘やかす姿を想像してみる。


 ――寒気がした。

 そもそも、美咲のように甘えてくる鈴嶺さんが想像できない。


「俺はそんな、命知らずじゃないぞ……?」

「いったい氷華ちゃんをなんだと思ってるの……」


 思ったことを言うと、苦笑いを返されてしまった。

 鈴嶺さんは、学校外では随分と態度が柔らかいとは思うが、それでも男から甘やかされるのを喜ぶような子ではないだろう。

 気軽に頭を撫でようものなら、絶対零度並に冷たい目で(ののし)られそうだ。


「ぶちぎれられる未来しか見えない」

「そんなことないと思うけど……」

「いや、そんなことあるだろ」


 美咲や女子には鈴嶺さんも優しいんだろうけど、男を嫌っている彼女が男に触れられて怒らないはずがない。

 海の一件でも、かなり根に持たれていたし。


「まぁ、来斗君にその気がないならいいんだけど……」


 どうやら美咲は一人勝手に納得したようだ。

 俺としても特に親しくない相手を甘やかす気なんてないので、それでいい。

 甘やかそうとしても、相手から気持ち悪がられるだけだろうし。


 鈴嶺さんは幼馴染であり、美咲の件もあって距離は近付いているかもしれないが――甘やかすような関係になることは、ありえないだろう。


「まぁ今のところは予定がないな」

「今のところは……」


 美咲が言っていることが変なので呆れ気味に返すと、俺がてきとーに言った言葉が彼女には引っかかったようだ。

 再度物言いたげに俺の顔を見上げている。


「一生ないから、気にするな」


 俺はそう言うと、美咲の頭を優しく撫でて落ち着かせるのだった。


「――ねぇね、あしょぶ?」


 そうしていると、目を覚ました心愛がドアを開けて、部屋の中を覗き込んできた。

美咲がかわいいと思って頂けましたら、

評価やブックマーク登録をして頂けますと幸いです(/・ω・)/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました』5月23日1巻発売!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
数々1巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』8巻発売決定です!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊び6巻表紙絵
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』コミック2巻発売中!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊びコミック2巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ