第48話「ご機嫌な彼女」
「――怒ってる……?」
母さんがお茶やお菓子の準備で離れると、美咲が上目遣いで聞いてきた。
現在俺と彼女は母さんに言われてテーブルについており、心愛はソファの上で気持ちよさそうに寝ている。
「なんで来たのか、という理由次第だな」
何か大切な理由で来たというのなら、当然怒りなどしない。
「……来ちゃだめってこと忘れてて、遊びに来ました……」
美咲は気まずそうに俺から目を逸らす。
大切な理由などなく、単純にポカをやらかしたらしい。
相変わらず、天然が入っているというか、なんというか……。
彼女は大きめの鞄を持ってきているので、多分宿題を持ってきていて、遊ぶだけでなく宿題も一緒にしようとしていたんだとは思うが……。
「おかげで、母さんに彼女がいると誤解されることになったわけだが……」
「うぐっ……!」
状況が状況なので、嫌味の一つでも言ってみると、美咲は胸を手で押さえた。
思った以上にダメージが入ったらしい。
「ごめんなさい……」
「まぁいいけどな。過ぎたものは仕方がない」
今更どうこう言ったところで、母さんの誤解は解けないのだから、言っても仕方がない。
それに、美咲に悪気がなかったというのもわかる。
わざとやったわけじゃないのに、責める気にはなれなかった。
大方、昨日海で大変な目に遭ったせいで、今日のことは忘れていたのだろうし。
「怒らないの……?」
「美咲が彼女なのはある意味事実だしな。いずれ心愛の口から洩れた可能性もあるし――というか、近所のおばさんのせいで知られてはいたみたいだから、逆にいい機会だったのかもしれないな」
結果論でしかないが、母さんが元々知っていた以上、遅かれ早かれだっただろう。
母さんがしびれを切らしたら、連れてこいと言われていたはずで……その時俺が否定をしたところで信じてはもらえない。
近所のおばさんに知られた時点で、詰んでいたというわけだ。
「ありがと……」
美咲はなぜか、お礼を言いながら熱っぽい瞳を俺に向けてきた。
そして机の下では、恋人つなぎをしてくる。
母さんがいるから、恋人のふりを頑張ってしているのだろうか?
いきなりこんなことされると、心臓に悪いんだが……。
シレッと、ニギニギと手を握って遊んでいるし。
家に上がった時は緊張してたり、落ち込んだ様子だったけど、機嫌は直ったようだ。
――これから母さんの質問攻めに遭うだろうし、これで頑張ってくれるだろう。
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