第32話「刺激的な水着姿」
海に着いた。
そして、一人になった。
当然だ、男女割合が一対四なのだから。
心愛も、幼くても女の子なため、笹川先生に着替えを任せている。
おかげで着替えが終わった俺は、一人ボーッと海を眺めていた。
「――おい、見ろよあれ」
「はは、まじか。海に一人で来てるのか?」
うん、なんだかチャラ男たちが俺を指さしながら笑っているが、気にしないでおこう。
別に、一人じゃないしな。
そう考えていると――。
「ごめん、待たせちゃったね」
「ちょっと、着替えるのに時間がかかっちゃったわ」
美咲と鈴嶺さんが来た。
「ど、どうかな……?」
美咲は俺の前に来ると、前かがみになりながら、水着姿の感想を聞いてくる。
彼女が着ているのは、白を基調としたフリフリがついているビキニだ。
清楚でありながら、かわいさもある彼女にはよく似合っている。
出るところは出て、引っ込むところは引っ込むという、女性の理想像のような体つきをしているので、これだけで男は悩殺されそうだ。
普段はあまり気にしないようにしているけど、美咲は同級生に比べて胸が大きいんだよな……。
もちろん、俺は直視できず、目を逸らしている。
「よく似合っていると思う」
「……ちゃんと、見てくれてないような……?」
美咲は不満そうに頬をプクッと膨らませる。
しかし、どうしろというのだ。
目のやり場に困っているから、逸らしているというのに。
「美咲の体勢が、悪いと思う」
どうして俺が美咲を直視しないかわかっている鈴嶺さんが、少し声のトーンを落としてツッコミを入れる。
彼女は美咲と逆で、クラスメイトたちに比べて控えめな胸をしているため、美咲に思うところがあるようだ。
「…………」
そして、俺が何を考えているのかわかったのか、無言でとても冷たい目を向けてくる。
殺気でも混じっているのかと思うほどに目が鋭いので、俺は再度目を逸らした。
「悪かったわね、美咲と比べて魅力的な体をしていなくて」
「別に、そんなこと言ってないだろ……」
確かに胸はないかもしれないが、その代わり美咲よりもスラッとした体形をしていて、スタイルがいいと思う。
少なくとも、クールな彼女には似合っている体形だろう。
「……私の水着姿が見れるのは特別だから、お金でも取ろうかしら……?」
俺が体に視線を戻したからだろうか?
鈴嶺さんは顔をほんのりと赤く染め、胸と股に手を当てながら目を逸らしてしまった。
ちなみに、彼女は一面黒のビキニを着ている。
てっきり、肌を男に見られたくないということでワンピース型を着てくると思っていたのに、意外だ。
「取るなら、外野から取ってくれ」
先程まで俺を馬鹿にしていたチャラ男たちが、口をパクパクとしてこっちを見ているんだから。
俺みたいな陰キャに、アイドル顔負けにかわいい二人が寄ってきたから、驚いているんだろう。
彼らはナンパをしに海へ来たように見えるが、声をかけてこないということは、男がいると手を出さないタイプか?
「そういえば、髪括ったんだな?」
普段の美咲は、髪をまっすぐと下ろしている、ロングストレートヘアーだ。
それなのに、今は髪を後ろで括って、ポニーテールヘアーになっている。
ポニーテールといえば、笹川先生がそうなのだけど、こうしてみると本当によく似ていた。
「うん、海に入ると邪魔になっちゃうかなぁって思って、括ったんだよ」
「美咲は体育の時も、いつもポニーテールにしてるでしょ?」
「……確かに」
言われてみれば、そうだった気がする。
「「…………」」
俺の返事が気に入らなかったらしく、美咲と鈴嶺さんがジト目を向けてきた。
関心がなさすぎだろ、とでも言わんばかりの目だ。
「鈴嶺さんは、髪が短いから結ばなくていい感じか」
気まずいので、俺は話題を逸らす。
クール美少女といえば、美咲と同じロングストレートヘアーを思い浮かべるところがあるが、鈴嶺さんは片耳に髪をかける、耳掛けボブヘアーだ。
そんな髪型をしている女子に会うのは鈴嶺さんが初めてだったため、やっぱり俺は昔彼女に会ったことはないと思う。
「何、私が髪を括るところ見てみたかった?」
鈴嶺さんはニヤニヤとしながら、自身の髪を指で弄り始める。
こちらを挑発しているようにも見える態度だ。
意外と、かまってちゃんだな。
「まぁ、なんでも似合いそうだよな」
まともに取り合うのはめんどくさいので、てきとーに流すことにした。
すると――。
「お、お世辞を言うなんて、らしくないわね」
なぜか、頬を赤められてしまった。
怖いイメージがあるせいで、普段容姿を褒められないみたいだから、褒められるのに弱いのだろうか?
「…………」
そして、美咲が不満そうに俺を見つめてくる。
また疑われてしまったようだ。
確かに彼女の前で他の女子を褒めるのは良くないだろうけど、どう見てもてきとーに言っただけだし、そもそも本気で付き合っているわけでもないのだから、文句を言われるようなことでもないと思うが……。
まぁだから、美咲も顔に出すだけで、何も言わないんだろうけど。
そうしていると――。
「にぃに~!」
着替えを終えた、天使がやってきた。
「お待たせして、すみません……」
その後ろからは、笹川先生が駆け足できたのだが――大人のお姉さんという妖艶さを纏いながら、贅肉がついたムチムチボディは、思春期の男子にとってかなり刺激が強いものだった。
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…この話、
明日(2/18)の朝7時に投稿予定だったのに、
設定ミスった…!!笑







