第176話「学生にとって憂鬱な日」
新作
『学校を支配する容姿端麗な女王様二人に歯向かったら、なぜか許嫁にされてしまったんだが…』
を公開致しました!
超自信作なので、
是非是非、よろしくお願いします(≧◇≦)
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ついにこの日が来てしまった。
長くて短かった夏休みが、終わる日だ。
多くの学生にとって憂鬱な日であり、それは俺も例に漏れない。
というか、記憶にある限り初めて憂鬱な日だと思っている気がする。
「んぅぅぅ……」
腕の中には、アラームによって俺と同じタイミングで目を覚ましたかわいい彼女がいた。
目を覚ますなり俺に抱き着き、俺の胸に顔を擦り付けて甘えてきている彼女だが、どうして彼女が俺のベッドにいるのか。
決して、以前のように朝早く俺の部屋に来たわけではない。
夏休み最終日――というか、昨日の出来事なのだが、本来家に帰るはずだった彼女は、キョトンとした表情で平然とこう言ってのけたのだ。
『えっ? 帰らないよ? だって、一ヵ月近く朝から晩までずっと一緒にいたんだよ? 今更、離れられるわけないもん』
と。
なんなら――
『もしこれで家に帰らされたら、私多分学校で来斗君からいっさい離れられなくなっちゃうと思うな~? それどころか、いちゃいちゃできないと我慢できないと思うな~?』
――と、脅しまでしてくる始末。
最初のはともかく、脅しのところは美咲の知恵とは思えなかったので問い詰めたら、案の定このいらない入れ知恵をしたのは母さんだった。
つまり、いつもの通り母さんは美咲側に回っており――もはや決定事項だったのだ。
当然美咲父が許すはずもなく、夜になって家に押しかけてきたが、美咲が譲るはずもなく、美咲父は後から家に来た美咲母に半ば強引に連れて帰られていた。
そう……もうわかりきっていたことではあるが、美咲母も美咲側だったわけで――もうこうなると止める人はおらず、美咲は今も俺の部屋で暮らしているというわけなのだ。
まぁお泊まり開始直後こそテンションが上がりすぎたのか変なテンションになっており、ちょっと危うい感じもあったが、ずっと一緒にいて彼女を甘やかし続け、他の女性の気配も匂わせなかったことがよかったのか、今の美咲はとても落ち着いている。
だから俺としても何か困ることはないし、なんなら美咲は家事を凄く頑張ってくれるので、助かってるまであるのだけど――逆に言うと、学校が始まる今日からはちょっと怖い。
なるべく女子と関わらないに越したことはないだろう。
「んっ……くすぐったい……」
考えごとをしながら無意識に美咲の頬から首にかけて撫でると、美咲は身をよじって撫でていた俺の手を首と肩で挟む。
だけど、すぐに俺の手の平にすりすりと頬を擦り始めた。
「時々、猫っぽくなるよな……」
「……にゃあ?」
思ったことを口にすると、美咲は両手を顔の近くで丸め、猫っぽいポーズをとって小首を傾げた。
うん、かわいいんだけど……。
「あざとい」
「ふふ……でも、甘やかしてくれる……」
再度頬を撫でながら抱き寄せると、美咲は満足そうにまた俺の胸に顔を押し付けてきた。
ご機嫌そうで何よりだ。
ちなみに、ここに心愛がいない時点でお察しと思うが、笹川先生も結局うちで暮らしているままだ。
彼女は帰ろうとしたのだけど、それはもう全力で心愛が引き留めていた。
最終的には泣き落としという手段にまで出たのだから、我が妹ながら将来が恐ろしい。
正直、笹川先生のことを思うと負担になるし、帰らせてあげたほうがいいと思ったのだけど――なんだかんだ慣れてからは休日の度に心愛と共にお昼寝していて、この家にいれば毎日美咲のご飯を食べれるってことで、笹川先生にとってもいいらしい。
むしろ彼女が気にしていたのは、俺や母さんに迷惑になってないか、ということらしいので、俺や母さんが反対することもなかったというわけだ。
特に母さんは、俺が美咲、心愛が笹川先生と一緒にいるからか、休みの日も一人の時間を作れているようだし。
日曜日の度に出かけては、遅めに家に帰ってくるようになった。
俺や心愛しかいなかった時は、俺たちに気を遣ってか家にいることが多かったのだけど、こうして母さんが自分に時間を使えるようになったことも、いいことだと俺は思う。
ただ、一つ問題もあって、それは――――――俺が、心愛ロスになっていることだ!!
だってあの子、笹川先生がいると本当に離れないし、最近はもう俺に見向きもしないからな……!?
俺に甘えてくるのなんて、保育園の行き帰りとその前後の時間のみ!
それ以外だと笹川先生が傍にいるので、俺なんてそっちのけで、笹川先生に甘えるのだ!
今まで散々俺に甘えてきて、手塩にかけて育ててきたのに、こんなのありか……!?
と思いたくなるくらいには、心愛を完全に笹川先生に取られてしまった。
「――学校、行きたくないな……」
頬を撫で続けていると、美咲が俺の腕の中でボソッと呟いた。
「美咲も憂鬱なのか?」
「聞かなくてもわかるよね? こうして来斗君に甘えられる時間が減るからだよ……」
美咲はそう言って、グリグリと顔を押し付けてくる。
まぁ、そういう駄々をこねるのはわかっていたから、今日はいつもよりも早起きしたわけなのだが。
そうしないと、絶対に学校で我慢できなくなるからな。
……こうして時間を設けても、我慢できるかは疑問であるが。
「とはいっても、学校のみんなは美咲と会いたがっているだろ? 結局夏休み遊んでないんだから」
夏休みの間、美咲はずっと俺と一緒にいた。
それはつまり、鈴嶺さん以外といっさい遊んでいないというわけだ。
あの、男子どころか女子からも大人気な美咲が――だ。
これが何を意味するか、わかるだろうか?
美咲が遊びに誘われていない?
――ありえない。
強く断言できるが、決してそんなことはありえない。
むしろ、誘いのメッセージなんて鬼のように来ていただろう。
彼女のスマホがよく鳴っていたことは知っている。
なんなら、俺が気にすると思ったのか、途中で音が鳴らないようにしていたのまで知っている。
彼女がメッセージを返していたのは、俺と一緒にベッドに入る直前。
それ以外にも時間があれば返しているだろうけど、俺と一緒にいる時は甘えるのに夢中で、スマホは手に取ろうとしなかった。
そして、今までの美咲の言動を考えるなら――俺のことは、十中八九匂わせているだろう。
なんなら、明言していたとしても不思議ではない。
……間違いなく、俺は学校の女子たちから恨みを買っているはずだ。
「来斗君との時間が大切……」
当の本人がこの状態なので、『友達と遊べよ?』と言っても意味がないため、俺もわざわざ言わなかったのだが。
まぁ、『一緒に遊ぼう』と言われなかっただけでマシかもしれないが、美咲は俺を他の女子たちに近付けたくないようなので、その可能性はそもそもなかっただろう。
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新連載の
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