第168話「女友達の小言」
「すぅ……すぅ……」
拗ねていた美咲だが、頭を撫でていると腕の中で寝始めてしまった。
きっと今日は睡眠時間が足りていなかったんだろう。
だから横になっていて、眠たくなったんだと思われる。
まさか、夜のために体力を溜めている――というわけではないと思いたい。
「さて、そろそろいいかな……?」
美咲が眠りについて結構時間が経過したので、俺は彼女を起こさないように気を付けながら離れる。
正直俺も睡魔が襲ってきているが、今のうちにしておかないといけないことがあるのだ。
リビングに降りた俺は、スマホを取り出してあるところへ電話をかける。
出てくれればいいが……時間的に、塾で取れないかもしれない。
そう思っていると、運よく電話は繋がった。
『もしもし、どうしたの?』
俺から電話を掛けたことが意外だったらしく、鈴嶺さんは心配しているような優しい声色で電話に出てくれた。
やはり、学校以外では優しく感じる。
「急に電話して悪いな。今大丈夫か?」
『えぇ、大丈夫よ。美咲のことで何かあったかしら?』
俺が鈴嶺さんに電話するのなんて、美咲のことくらいだろう――というのは、向こうもわかっているらしい。
相変わらず話が早くて助かる。
「ちょっと聞きたいことっていうか、相談なんだが――」
俺は誤解を生まないように気を付けながら、美咲とのことを話す。
もちろん全てを話すわけにはいかないが、美咲が踏み込んだ話を勝手にしているようなので、大方彼女には通じるだろう。
そう思っていると――
『電話、切りたくなった……』
――辟易とした声が返ってきた。
どうやらお疲れのようだ。
「切らないでくれると助かるんだが……」
『なんでせっかくの休みなのに、惚気話ばかり聞かされないといけないのよ……。そんなの、もう美咲だけで十分よ……』
「別に惚気ていないだろ……?」
『いちゃいちゃ話を聞かされる身にもなりなさい……』
鈴嶺さんは凄く嫌そうにしているが、俺は本当に惚気ていない。
ただ、美咲がする言動を正直に話すと、そう聞こえてしまうだけだ。
いや、うん……これも惚気だな……。
「悪いとは思うけど、困っているというのも本当なんだ」
『まぁあの子ならやりかねないとは思うわ。でもそれは、依存させてしまった白井君の責任だとも思う』
「別に依存させたわけじゃないんだが……」
俺が依存するように策を講じたわけではない。
普通に接していたら、いつの間にか依存されていただけだ。
『美咲が依存してる時点で、一緒の話よ。甘やかしまくるからそうなるのよ』
「うっ……」
おかしい。
なんで相談しただけなのに、今俺は責められているんだ……?
まぁ彼女も美咲の被害者なんだろうけど……。
正直俺も、親友の惚気話ばかり聞かされたら嫌気が差すし。
――親友どころか、男友達がいないが。







