表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

116/137

第116話「甘えたがり彼女」

「膝の上に座るか?」


 まだ納得できずに俺の胸にグリグリと顔を押し付けてくるかわいい彼女に対し、俺は優しい声を意識しながら耳元で囁く。


「んっ……」


 彼女は迷うことなく頷き、俺の胸から離れた。

 俺が座らないと膝に座れないからだろう。

 相変わらず自分の欲求に正直というか、その欲求を満たせるものには抵抗なく素直に従うようだ。


 ――まぁかわいいからいいのだけど。


「おいで」


 俺は椅子に座るなり、両手を広げる。

 一応心愛が見えるようには座っているので、あの子が起きても大丈夫だろう。


 ――と、思ったのだけど……。


「美咲、その座り方は困るんだが……?」


 美咲はいつものように俺に対して横向きに座るのではなく、今回はなぜか俺と向かい合うように座ってきた。

 当然、膝の上に座られているのだから、目の前は美咲で覆い隠されてしまう。

 これでは心愛が見えないので起きた場合気付けないし、何より目のやり場に困ってしまうのだ。


「キス……」


 熱を帯びた息を吐きながら、美咲は潤った瞳でジッと俺の目を見つめてくる。

 どうやらキスをしたくて、向かい合わせに座ったらしい。


 ……しまったな、逃げ場をなくされた……。


 俺から誘ったとはいえ、現在美咲は俺の両足に跨いで座っている。

 つまり、立ち上がろうにも彼女が避けてくれなければ立ち上がれないのだ。

 もちろん、軽い彼女なら強引に持ち上げることはできるだろう。

 しかし、持ち上げようとすれば絶対に美咲は抵抗をするし、暴れもする。

 そうなれば彼女に怪我をさせかねないので、俺は無理矢理動くわけにはいかなかった。


「美咲、駄目だよ?」


 俺は刺激しないようにしながら、優しく美咲の頬を撫でる。

 下手に刺激すると、ムキになった美咲が強引にキスをしようとする可能性があるのだ。

 そうなれば躱せないというか、押し切られかねないので、気を付ける必要があった。


「んっ……」


 くすぐったかったらしく、美咲は目を細めたが、撫でられることを拒絶しようとはしない。

 むしろ、自分から頬を押し付けてきて、もっと撫でてと言わんばかりのアピールをしてきた。

 俺が今しがたした注意は聞いていなかったようだ。


 かわいいんだけどな……。


 付き合っていることからもわかる通り、甘えてくる美咲のことを俺は好きだ。

 だから本当なら沢山甘やかしてあげたいし、好きにさせてあげたい。

 だけど、そうすると俺だけでなく美咲自身が困ることにもなりかねないので、線引きをするしかなかった。


 甘えたがりの彼女なら、俺がしっかりしないとだ。


「今日一日我慢すればいいだけなんだよ?」

「できないもん……」


 再度声をかけてみると、美咲はまるで幼子かのような口調で唇を尖らせてしまう。


 う~ん、まぁ……まだ朝だしな……。


 一日が始まったばかりともいえる時間なのに、一日我慢しろというのは可哀想なのかもしれない。


 ――と思うが、ここで俺が折れるとなしくずしになるのは目に見えているので、させないのだけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました』5月23日1巻発売!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
数々1巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』8巻発売決定です!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊び6巻表紙絵
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』コミック2巻発売中!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊びコミック2巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  

― 新着の感想 ―
我慢にも限界が!美咲はもちろんの事、隙あらば迫ってくるんだからどこかで我慢しきれないんじゃないかな~ 偶然を装ってチュッとしてあげるのもいい手かもしれない、あくまでも悟られないように‼
可愛すぎます〜〜
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ